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53、终焉之章 ②巫女 ...
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翌朝、都の西門前。準備の整った晴明一行は、一晩中門を見張っていた源博雅と合流した。
次日清晨,京都西城门前,整装待发的晴明一行人来到城门下,与彻夜守门的源博雅会合。
【晴明】
「これは……」
这是……
【源博雅】
「昨夜の真夜中から、もう少しで撃退できるところだった蛇魔が人の亡骸に巻きつき、一体化してこの大蛇の群れになった。夜明けには退却すると思っていたが、どうやら敵を見くびっていたようだ。」
昨夜子时开始的,原本快被我们击退的蛇魔缠绕在人类的遗骸上,与遗骸化为一体后,就生出了这群巨蛇。原以为到了天亮时它们会撤退,如今看来,是我们轻敌了。
博雅が敵を迎え撃とうとするのを見て、晴明は止めた。
眼见博雅要上前迎击,晴明一把拦住了他。
【源博雅】
「な……離せ、俺が道を開く。」
唔……放开我,我得去开路。
【神楽】
「お兄ちゃん、行かないで。少し休んで。力尽きたら、元も子もない。」
博雅哥哥请不要再去了。休息一下吧,你如果耗尽力气,还怎么和大家上路。
【源頼光】
「そうだ。まだ強敵を倒していない、力を残しておけ。」
说的不错,大敌当前还需保留实力。
【源博雅】
「やっと出てきたな。こうなったのは誰のせいだ?」
终于知道出来了啊。也不知是托谁的福,才弄得这么狼狈。
【源頼光】
「鬼兵部を発動するのには、時間がかかる。」
鬼兵部的启动需要时间罢了。
大蛇が突然動き出し、源頼光に向かってきたが、舌の先に斬撃を受け、真っ二つになった。鬼切は刀についた汚れを地面に投げつけ、嫌そうに振り返った。蛇魔達が切られた仲間の骨を飲み込み、門の下で一行を取り囲んだ。
蠢蠢欲动的巨蛇突然发力,朝着源赖光张口咬来,中途却被一刀劈开,从舌的分叉处斩为两半。鬼切将沾在刀上的污秽甩在地上,不快地回过头来。蛇魔们迅速吞下了被斩断的同族骨骸,将一行人围堵在城门下。
【源頼光】
「どうやら今日都を出るのは、簡単ではなさそうだ。」
看来今天想要出城,可不是那么容易。
【鬼切】
「問答無用。」
多说无益。
そう言って鬼切は蛇群に突進し、刀を振るって襲いかかる蛇を切り裂いて、鬼兵部に道を切り開いた。鬼兵部はその巨体で蛇魔の攻撃を防ぐ。
说罢,鬼切冲入蛇群,挥刀斩开袭来的蛇群,为鬼兵部开路。鬼兵部紧随其后,用巨大的身躯挡住了蛇魔的进攻。
【源頼光】
「源氏の陰陽師諸君!今こそ都のために力を尽くす時だ!」
源氏的阴阳师们!此时正是你们为京都效力之时!
その号令で源氏の陰陽師が壁に並び、共に結界を展開し、強固な盾と化して門の前を防ぐ。しかし蛇魔はおかまいなしに突進し、仲間をも呑み込んだ。
号令下,源氏的阴阳师列队于城墙上共同张开结界,化为坚不可摧的盾牌,挡在了城门前。然而蛇魔们却毫无理智地冲上前去,甚至不惜吞食同类。
【鬼切】
「こいつら……城内の蛇魔よりも強いのか?」
这些东西,竟比城中的蛇魔更加难对付?
【源頼光】
「城外の蛇魔は、山中の妖怪を呑み込んで生まれたものだ。それに妖怪は人間より強く凶暴だ。生まれた蛇魔がさらに凶暴なのも当然のことだろう。」
城外的蛇魔是吞食山中妖鬼所化,妖鬼比人类强大且凶残,生出的蛇魔自然更加狠毒。
【鬼切】
「他に良策は?」
就没有什么良策吗?
【源頼光】
「良策?賊を捕らえるには先ずその頭目を捕らえよ、だ。」
良策?擒贼先擒王吧。
蛇群の中から、数十丈ある大蛇がゆっくりと姿を現した。巨体が地面を這い、舌を出しながら、門の方向へと進む。鬼切は手にした刀を握り締めた。
只见蛇群中间,一条数十丈高的巨蛇缓缓显现。巨大的身躯匍伏在地上,吐着信子朝着城门的方向袭来,鬼切握紧了手中的刀。
【鬼切】
「あれか。鬼兵部、道を開けろ。」
就是那个吗。鬼兵部,为我开路。
鬼兵部はすぐに一列に並び、その体で蛇の群れの中に大蛇に通じる道を作った。鬼切は鬼兵部の肩を踏み、大蛇に向かって飛び上がる。しかしその直前、大蛇が突然頭を上げ、魔炎を吐き出した。その炎に触れた鬼兵部は、皆溶けてしまった。鬼切がよろめき、蛇群に落ちるそうになる。
鬼兵部闻言列成一列,用身躯在蛇群中搭建了一条道路,径直通向巨蛇的面前。鬼切一跃而上,踩着鬼兵部的肩膀朝着巨蛇跳去。然而就在即将到达之前,巨蛇突然抬起头颅,口吐魔焰,将触及的鬼兵部熔为一滩铁水。鬼切一脚踩空,险些跌落蛇群。
【鬼切】
「うっ!」
唔!
【晴明】
「危ない!」
小心!
気がつくと、鬼切は結界の内側に投げ返されていた。晴明と源頼光が強化した結界が魔炎の侵入を阻み、鬼切を助けた大天狗は翼を羽ばたかせ、雪女と共に空へと飛び立った。
等到回过神来,鬼切已被丢回结界内。晴明和源赖光共同加固的结界阻挡了魔焰入侵,救下鬼切的大天狗拍了拍翅膀,和雪女一起飞上空中。
【大天狗】
「今日の邪神退治は、大義のためだ。雪女、全力を尽くせ!」
今日讨伐邪神,是为大义。雪女,使出全力吧。
【蝉氷雪女】
「黒晴明様のために、全力を尽くします。」
为了黑晴明大人,定然是全力以赴。
刃羽の嵐と吹雪が同時に発動し、氷晶を伴う暴風が魔炎に向かって渦を巻いた。いたるところで魔炎が消え、蛇魔さえも凍りつき、更に氷像になったところを嵐が粉々にする。吹雪の中、黒晴明も晴明と源頼光の側に来て、陰陽術を駆使して結界を強化した。
羽刃暴风和暴风雪同时发动,缠绕着冰晶的暴风旋转着朝着魔焰袭去。所到之处魔焰熄灭,连舞动的蛇魔也被冻结,紧接着化作冰雕的蛇魔又被风暴撕成碎片。暴风雪之中,黑晴明也来到了晴明和源赖光的身侧,驱使阴阳术加固了结界。
【黒晴明】
「なんとのろまな部下だ、攻撃速度を高める必要がある。」
真是两个迟钝的下属,攻击的速度还需加强。
【燼天玉藻前】
「人間の陰陽師を助けるのは非常に不愉快だが、今日は特別に手を貸そう。」
虽然帮助这些人类阴阳师十分不快,但今日我也破例出手一次。
放たれた狐火が、嵐の風向きに沿って火の渦となり、大蛇を包み込んだ。氷、火、風の三属性に囲まれた大蛇は、肉が裂け、鱗が雨のように削げ落ち、地面でのたうちまわっていた。そして大蛇は突然悲鳴をあげたかと思うと、己の体を突き破り、脱皮して逃げ出した。その直後、怒りのままに尻尾を振り、大天狗と雪女を蹴散らすと、結界に激しく叩きつけた。大蛇の猛攻に城壁の上にいた数人の陰陽師が倒れ、城壁の下の蛇の群れの中に落ちた瞬間、喰われて白骨と化した。城壁の下にいた晴明、黒晴明、源頼光の三人も後退を余儀なくされる。しかし、大蛇が二回目の攻撃を行う前に、背後に突然現れた鬼手がその尻尾を掴んだ。
随即放出狐火,火势顺着暴风的风向化作火旋涡,将巨蛇包围其中。被冰火风三重力量围攻的巨蛇满地打滚,皮肉撕裂,蛇鳞如雨般刮落。然而巨蛇突然发出一声嘶鸣,冲破自己的身躯,褪去蛇皮,竟然从中脱逃了出来。紧接着怒火中烧地甩尾将大天狗和雪女踢开,然后用力撞向结界。在巨蛇的冲击下,城墙上的数名阴阳师应声倒地,跌落城墙下的蛇群之中顿时就被啃食成了白骨。而城墙下的晴明,黑晴明,源赖光三人也被迫后退了数寸。然而巨蛇的第二次冲击尚未到来,就被背后突然出现的鬼手捉住了蛇尾。
【煉獄茨木童子】
「私を一晩中城外で待たせたのだ、ありがたく思え、この蛇め。」
我在城外已等了一整晚,你这条蛇好大的面子。
【鬼王酒呑童子】
「ははははは、いつまで我慢できるか見ものだな!」
哈哈哈哈,我还在猜你何时会按捺不住!
【煉獄茨木童子】
「都の占領ならまだしも、我が鬼族の尊厳を踏みにじるなど、数百年早い!」
想要占领京都也就罢了,要践踏我等鬼族的尊严,这群蛇还早几百年呢!
そう言うと、茨木童子は動けない蛇を横目に跳び上がり、黒炎を蛇の頭に叩きつけた。蛇魔が巨大な口を開けると、紫黒色の魔炎が口の中で大きくなっていく。しかし噴出する前に黒炎と正面からぶつかり、口の中に抑え込まれた。黒炎を飲み込んだ蛇魔の体からは炎が噴き出し、脱皮して再び逃げることもできず、一瞬にして黒焦げになり灰と化した。
说罢,趁巨蛇无法动弹之际一跃而起,手持黑焰朝着蛇头砸去。蛇魔张开巨口,紫黑色的魔焰在口中凝聚,然而未等喷出,就被黑焰正面击中,塞入口中。吞下黑焰的蛇魔浑身爆发出火焰,无法再次脱皮逃脱,顿时就被烧成焦黑化为灰烬。
【煉獄茨木童子】
「ふん、痛くも痒くもない。」
哼,不痛不痒。
【大天狗】
「おい!足元に気をつけろ!」
喂!小心脚下!
【煉獄茨木童子】
「ん?」
嗯?
突然地面が揺れ、茨木童子の足元から割れると、何十丈も盛り上がった。皆の目の前に現れた高さ百メートルの大蛇が目を開け、その鼻先に立つ茨木童子を憤然と睨んでいた。
大地突然震动,自茨木童子的脚下裂开,地面竟突然抬高数十丈。一条高百米的巨蛇出现在了众人的眼前,巨大的蛇眼张开,怒视着站在自己鼻尖的茨木童子。
【煉獄茨木童子】
「なんだ?」
什么?
蛇の目から突然眩いばかりの白い光が放たれる。茨木童子がそれが攻撃の予兆だと気づいた時にはもう遅かった。しかし、一瞬のうちに酒呑童子が蛇の頭に飛び乗って茨木童子を庇い、蛇の目に妖火を放った。大蛇は慌てて目を閉じる。
蛇目中突然浮现出耀眼的白光,等茨木童子察觉这是攻击的前兆为时已晚。刹时,酒吞童子却跳上蛇头,挡在了他的身前,用妖火燎向蛇眼。巨蛇不敌,急忙闭上双眼。
【鬼王酒呑童子】
「今だ!」
趁现在!
【煉獄茨木童子】
「ふん!」
哼!
二人は力を合わせて蛇の目を焼いた。目を失った大蛇は苦しさのあまり地面に倒れ、のたうち回っていた。振り回される尾に人々は吹き飛ばされ、近づくことはできなかった。その傷口から無数の蛇魔が現れ、津波のように結界に向かって押し寄せる。間一髪のところで、空から鈴鹿山の鬼船が降りてきた。
二人合力将蛇目烧毁,失去双目的巨蛇吃痛倒地,疯狂地扭动身躯,挥舞蛇尾将众人打飞,根本无从靠近。从它的伤口中冒出无数蛇魔,如同潮水般朝着结界奔来。情急之时,铃鹿山的鬼船从天而降。
【鈴鹿御前】
「矢を放て!」
放箭!
矢が雨のように降り注ぎ、結界の前で蛇魔の動きを止めたが、大蛇の傷口からは次々と蛇魔が現れ、一波を防いでもまた次の一波が迫って来た。蛇の傷口に突然巨大な金の蓮が咲き、蛇魔の体内に根を張って縛ると、蛇の群れの出口をしっかりと塞いだ。
箭如雨下,将扭动的蛇魔们钉在结界之前,然而蛇魔从巨蛇伤口中不断涌出,即使抵御了一次,下一波又紧跟着涌来。巨大的金莲突然自蛇目的伤口中绽放,扎根在蛇魔体内将其束缚,并严严实实堵住了蛇群的出口。
【帝釈天】
「苦界に生まれ、故に目を閉じ、浄土を見る。」
生为苦界,是故闭目,可见净土。
大蛇は痛みで全身を引きつらせ、震えていたが、諦める様子はなかった。
巨蛇痛苦地伸直了身体,浑身颤抖,却迟迟不肯就此罢休。
【鬼王酒呑童子】
「その粘り強さだけは認める。」
唯独顽强这一点倒是值得称赞。
【煉獄茨木童子】
「はははは、この蛇魔をも褒めることができるとは、さすがは広き心を持つ我が友。」
哈哈哈,面对这蛇魔也能出口称赞的,也就只有胸怀无量的挚友你了。
二人は協力して妖火を放ち、金の蓮とともに大蛇の体を呑み込んだ。蛇の腹から次々と蛇魔が出てきたが、妖火に焼かれて灰になった。残りの蛇魔は逃げ出したが、雪女の吹雪と大天狗の嵐によって引き裂かれた。大蛇が死闘の末に頭を上げたが、鬼切が刀を振り下ろすと、その頭は地面に落ちて鈍い音を立てた。
二人联手放出妖火,和金莲一起吞噬巨蛇的身躯,陆续又有蛇魔自蛇腹中爬出,紧接着就被妖火烧成灰烬。剩下的蛇魔见状陆续逃窜,却被雪女降下的暴雪和大天狗掀起的狂风撕成碎片。巨蛇垂死挣扎的最后一刻抬起了头颅,鬼切挥刀斩下,巨大的蛇头落在地上,发出沉闷的声响。
【鬼切】
「これで終わりだ。」
这样一来,就结束了吧。
【黒晴明】
「どうかな。」
谁知道呢。
この悪戦の一部始終は黒鏡に映し出されていた。大蛇を創り出したロチは、最初から興味津々でその様子を見つめていた。退却する蛇魔を見て、苛立つどころか、むしろ最高に楽しんでいた。
这一场恶战倒映在黑镜之中,而制造蛇魔的八岐大蛇自始至终都津津有味地看着这一切。见到蛇魔节节败退,非但并不恼怒,反而愉快至极。
【ロチ】
「これでいい、長い間埋もれていた戦への渇望を引き出すのだ。正義のために手を赤く染め、その手でわずかな希望を掴む。感謝しているぞ、晴明。お前が雲外鏡を浄化していなければ、この世界の最後の希望はこれほど巧みに破壊されてはいなかっただろう。お前には、特別な贈り物を用意しなければいけないな。」
这才对啊,一个个都拿出埋藏许久的嗜战之心。为正义而染红双手,然后用这双手去抓那飘渺的希望。我可要好好感谢你啊,晴明。若不是你为我净化了云外镜,这世界的最后一丝希望,又岂会毁灭的如此巧妙。为此,我可要特别为你准备一份大礼才是。
黒鏡に映し出される都の城下の人々の中、まるでロチの言葉を聞いたかのように、荒が突然頭を上げた。彼はまるで鏡の外の誰かを見つめるかのように、空をじっと見つめていた。
然而,黑镜中所浮现的京都城下一行人中,荒突然抬起了头,仿佛是听见了八岐大蛇的话语。他有如在凝视着镜外之人一般,凝视着天空的方向。
……平安京の城下
——平安京城下
【藤原道綱】
「とりあえず、門は今のところ安全だし、陰陽師御三家の弟子達が警戒しているから、問題はないはずです。源氏の主と私は精兵を編成し、皆さんと一緒に都を出る準備をしていますが、いかがでしょう?」
总而言之,城门暂时安全了,有三家阴阳师的弟子们守备,应该也不会出什么乱子。我和源家之主已整理了精兵,准备和诸位一起出城,不知几位意下如何?
【小白】
「……この数の陰陽師を見るのは初めてですね。」
……这一行的阴阳师数量可是前所未有的呢。
【晴明】
「特に意見はないが、共に行く者はもう決まっている。他の鬼王達もそれぞれ行き先がある。陰陽師と同行してもいいと言うかどうかは、彼ら次第だ。」
我虽并没有意见,但也已决定了同行的对象。此行另外几位鬼王也各有去向,他们是否愿意与阴阳师同行,就要看他们的意思了。
【藤原道綱】
「それは困ります。あなたがだめなら、黒晴明殿はどうでしょう。黒晴明殿、いかがでしょう?」
哎呀伤脑筋,既然不能和晴明一起走,不如就和这位黑晴明大人了,不知黑晴明大人是否准许呢?
【黒晴明】
「藤原家の人間か?来たいならついてこい。」
藤原家的吗?想要跟来,我也不拦你。
【藤原道綱】
「では、黒晴明殿にお願いします。」
那就请黑晴明大人多多关照了。
【御饌津】
「でも……そうなると、玉藻前様一人では危険すぎるのでは?お供は朧車だけなんて。」
但是……这样的话玉藻前大人一个人会不会太危险了?只有胧车作伴。
【燼天玉藻前】
「気遣いは嬉しいが、心配は無用だ。私はとある友人を招待した。君と彼女は何かと縁もあるだろう。」
你真是心思细腻,不过不必多虑,我邀请了一位友人同行,想必你也与她有些渊源。
【御饌津】
「私と?」
我吗?
【燼天玉藻前】
「陣眼の集合場所に着けば分かる。」
等到了阵眼的集合处,你自会知道。
六つの隊は都の門の下で別れ、それぞれ六つの陣眼へと向かった。荒は月鏡を使い、晴明、神楽、そして己の分身を投影した。三人の分身が博雅一行と出発した後、晴明は二人を連れて別の門から静かにヤマタノロチの隠れ家を探しに黒夜山に向かった。
六队人马在京城门下作别,各自朝着六处阵眼的方向进发。荒以月镜化出晴明、神乐和自己的投影分身。三人的投影分身随博雅一行出发之后,晴明才带着二人悄悄自另一处城门,朝着黑夜山进发,寻找八岐大蛇的藏身之所。
【晴明】
「ヤマタノロチは自身の好みに従って行動し、楽しいことばかり考えているように見えるが、これも彼の真の目的を隠すための手段にすぎない。」
八岐大蛇看似凭喜好行事,一味追求乐趣,但这也是他隐藏自己真实目的的方式。
【神楽】
「例えば彼が密かに、源氏に巫女を生け贄にするよう唆したように……全ては封印から抜け出すための準備だ。つまり、これまで彼がしてきたこと、陰界の裂け目、鈴鹿山の侵食、争いを煽ること……無関係に思えるかもしれないけど、実は共通の目的がある?」
就像他暗中蛊惑源氏献祭巫女那样……其实都是在为脱离封印做长远的准备。那他至今为止所做的许多事情,阴界的裂缝,铃鹿山的污染,煽动纷争……或许看似互不相关,其实有着共同的目的吗?
【晴明】
「彼の狙いが本当に高天原への「審判儀式」であるならば、真実を解明するためには、高天原から取りかからなければならないだろう。」
若他的目的真是对高天原的「审判仪式」,想要拼凑出真相,恐怕就必须从高天原入手了。
【荒】
「その通り。彼のやっていることは、かつて高天原で罪神を裁くのに行われた儀式の模倣だ。審判儀式とは、元々天照大神が人界に害をなす罪神を罰するために設けられた特別な儀式だった。高天原の神王、天照大神のことは知っているだろう。」
你们说的不错,他的所作所为,确实在模仿高天原曾经用来审判罪神的仪式。所谓的审判仪式,原本就是当年天照大人,为了制裁为害人间的罪神们,而设立的特殊仪式。高天原的神王天照大人,想必你们是听说过的。
【神楽】
「天照大神……巫女の起源となった神で、高天原の神々の支配者でもある。」
天照大人……是我们巫女的起源之人,也是高天原众神的统治者。
【荒】
「今は名目上の支配者に過ぎないが。」
虽然她如今只是名义上的统治者罢了。
【神楽】
「え?」
欸?
【荒】
「本題に戻ろう。ヤマタノロチをはじめとした七悪神が出現した後、神王である天照大神でさえも人界を襲う罪神を一人で解決することはできなかった。そして天照大神は自身を中心とした「三貴子」の力を結集させた。天照大神自身が審判の神となり、策定し、太陽と光輝の力を掌る。また、月読様を予言の神に任じ、天命をうかがい、月と星の力を掌る。須佐之男様を処刑の神に任じ、軍隊を率いて妖魔と戦い、雷と稲妻の力を掌る。天照大神は主君、月読が軍師、須佐之男が主帥となり、七悪神を鎮圧し、裁くことで人世を守ることが目的だ。この悪神の戦いの末、七悪神は確かに敗れ、ヤマタノロチも閉じ込められたが……審判儀式はうまくいかなかった。」
言归正传,在以八岐大蛇为首的七恶神出现后,即使是神王天照大人,也无法独自解决罪神们对人世的侵扰。于是她集合以自己为首的「三贵子」之力。天照大人自身为审判之神,为决策统帅,掌太阳光辉之力。另外又命月读大人为预言之神,可窥测天命,掌月亮星辰之力。命须佐之男大人为处刑之神,率军与妖魔作战,掌雷电万象之力。为的就是以天照大人自己为主君,月读为军师,须佐之男为主帅,镇压七恶神,并将其一一制裁,以此守护人世。在这场恶神之战的最后,七恶神确实被击败,八岐大蛇也被关押。但是……审判仪式却出了差错。
【晴明】
「その審判儀式の内容を聞かせてくれないか?」
可否请荒大人告知我们,审判仪式的内容呢?
【荒】
「本来の審判儀式では、罪神の神格の罪は天照大神の八咫鏡と秤で比べることになる。掟は極めて簡単だ。善行が悪行より多ければ、八咫鏡よりも軽くなり、天照大神の加護を受けることができる。しかし悪行が善行より多ければ八咫鏡よりも重くなり、その場で処刑される。」
在原本的审判仪式上,罪神神格中的罪行将会在天平上与天照大人的八咫镜相较。规则再简单不过,若是善行多于恶行,则会轻于八咫镜,被审判者将受到天照大人的庇佑。但若恶行多于善行,则会重于八咫镜,将被当庭处决。
【晴明】
「その場で処刑される?」
当庭处决?
【荒】
「三貴子の須佐様が神器天羽々斬を使用し、審判の場で罪神の神格を滅ぼすということだ。天羽々斬は天照大神の命令により鍛造された神器で、一度発動すれば罪神の神格を滅ぼすことができる。だが不思議なのは、ヤマタノロチの罪は間違いなく八咫鏡より重いはずだが……天羽々斬も確かに使用されたのに、ヤマタノロチは灰にならず、今も生きている。」
由三贵子中的须佐大人使用神器天羽羽斩,于审判庭上毁去罪神的神格。天羽羽斩是天照大人下令锻造的神器,一旦启动,将使罪神神形俱灭。但奇怪的是,八岐大蛇的罪行毫无疑问会重于八咫镜,天羽羽斩也确实启动过,然而八岐大蛇却并未被诛灭,还活到了今日。
【晴明】
「つまり、審判儀式が行われるには審判官と罪人だけでなく、処刑人と処刑の神器も必要だということだな。それこそが、ヤマタノロチがずっと準備していたことかもしれない。彼の性格からして、審判者の座を狙うだろうが、処刑人と処刑のための神器も必要になる。しかし、彼の欲しがっていた天羽々斬は、須佐之男以外に扱える者のいない神器だ。」
这么说来,审判仪式想要举行,不仅要有负责裁决的审判者和被审判的罪人,还需要有行刑人以及处刑神器这些元素。或许这就是八岐大蛇一直以来所在准备的东西。以他的性格自然会稳坐于审判者的位子,但他却也需要属于自己的行刑人和处刑神器。然而他所觊觎的天羽羽斩,却是除了须佐之男外,几乎无人能拔出的神器。
【荒】
「……」
【晴明】
「……七悪神の戦いの時に、高天原でも予言の神が設けられた。ではこの月読様は、なぜ審判場の変化を予見できなかったんだ?」
……荒大人,既然七恶神之战中,高天原也设立了预言之神,那么这位月读大人,为何没有预知出审判场上的变故?
【荒】
「天照大神は、月読様にその審判のことを予言するようにと、命じていた。それは、たった一言だった。」
天照大人,曾特意命月读大人对那场即将举行的审判进行预言。结果只有一句。
【晴明】
「一言?」
一句?
【荒】
「裏切る神有れば、高天原は墜ち、一瞬にして灰と化す。」
「若神明有异心,高天原或会陨落。弹指一瞬,灰飞烟灭。」
これを聞いて晴明は沈黙し、しばらく考えた後、再びゆっくり口を開いた。
闻言,晴明陷入了沉默,思索片刻后,才缓慢地再度开口。
【晴明】
「荒様……」
荒大人——
【荒】
「源氏の巫女、なぜ一言も話さない?」
源氏的巫女,你为何不发一言?
【神楽】
「う、苦しい……」
呜,好痛苦……
その時、神楽の体から紫色の妖気が漂い、意識も次第に混濁して昏睡状態に陥りそうであることに、二人はやっと気がついた。
二人这才发现,神乐的身上正飘散出紫色的妖气,神智也逐渐混乱,仿佛随时都要陷入昏迷一般。
【晴明】
「神楽!」
神乐!
晴明が神楽に手を伸ばすと、脱力した神楽は彼の腕の中に倒れた。
晴明立刻伸手去接神乐,神乐脱力倒在了他怀中。
【晴明】
「一体どうしたんだ?蛇魔に襲われてはいないはずだが。」
到底是怎么一回事,神乐应该没有被蛇魔袭击过。
【荒】
「彼女の魂にある怨念は、一度分離されている。しかし、それは表面的な枝葉を切り取られただけで、頑固な根はまだゆっくりと成長している。やがて芽を出し、彼女の魂の深い部分を蝕んでいく。ましてや、かつて源氏が巫女を生贄にした禁制の地に、再び神楽を連れてきたのだから。」
我能看到她灵魂中的怨念曾被拆分过。然而这只是剔除了表层的枝叶,顽固的根茎依然会慢慢生长发芽,侵蚀她灵魂的最深处。更不要说你带她再度来到了这里,曾经源氏献祭巫女的禁地。
【晴明】
「この地に刻まれた残酷さは、もうとっくに時の流れが消し去ったと思っていたが、そうではなかったか。罪はいつも、人が思うよりも根深いものだ……」
我原以为镌刻在此地的残酷早已被时光所冲淡,然而却并非如此。罪恶永远扎根在比人们所想象中更加深远的地方……
……神楽は悪夢の暗闇の中で目覚めた
——昏迷的神乐在一片黑暗的噩梦中醒来
【神楽】
「ここは……?」
这里是……?
【???】
「神楽……神楽よ……」
神乐,神乐啊……
【幼い頃の神楽】
「あ、母上の声……母上、神楽はここです!」
啊,是母亲的声音,母亲,神乐在这里!
【神楽の母】
「神楽、私の可哀想な娘よ……悲しき宿命を背負った生け贄の娘よ……」
神乐,我可怜的女儿…被当作祭品生下来,背负着悲伤宿命的女儿啊……
【幼い頃の神楽】
「母上……」
母亲……
【源氏長老】
「本家の巫女になることは、一族の最高名誉じゃ。光栄に思え。一日中泣くなどみっともない。」
成为本家的巫女是家族无上的荣耀,你应该感到荣幸,整日哭哭啼啼的成何体统。
【神楽の母】
「……うう。」
……呜呜。
その時、帰宅した幼い博雅は母親が正座して泣いているのを見た。
这时,年幼的博雅刚好回到家中,看到母亲跪坐在地上哭泣。
【少年の頃の博雅】
「お前らは誰だ!なぜ家に押し入り、母を泣かせた?!父上がいないから、家に男がいないとでも思ったか!」
你们是谁,为何闯进我家中,还弄哭母亲!是觉得父亲一直不在,这家里就没有男人了吗!
【源氏長老】
「お前!」
你!
【???】
「博雅、下がれ。」
博雅,下去。
【少年の頃の博雅】
「父上!お戻りですか!」
父亲!您回来了!
【神楽の父】
「下がれ、これは大人の問題だ。」
下去,这是大人们之间的事。
博雅は障子を開けて、憤然と立ち去るしかなかった。部屋に残されたのは泣いている母親、冷たい目をした父親、源氏の長老達、そしてその間に挟まれてどうしたらいいかわからない幼い神楽。
博雅只好拉开纸门愤愤离去。屋里剩下哭个不停的母亲、冷眼旁观的父亲、源氏的长老们和夹在几人之间不知如何是好的小神乐。
【幼い頃の神楽】
「父上……母上は……」
父亲……母亲她……
【神楽の父】
「こうなってしまった以上、私達夫婦は本家の決断を覆すつもりはない。この子の天賦の才能を恨むしかない。」
事已至此,我们夫妻二人也无意颠覆本家的决定,怪就怪这孩子的天资吧。
【源氏長老】
「お前はまだ良識があるようじゃが、息子をもっと躾けろ。でなければ誰かが代わりに躾けることになる。」
还是你比你夫人识时务,但还请你管教好自己的儿子,不然自会有人替你管教。
【神楽の父】
「今日はお帰りください。娘の荷物を整理し、改めて直接本家へお送りします。」
还请您今日先回去,留我和内人为小女整理行装,改日亲自将她送去本家府上。
源氏の長老達はその言葉に満足げに微笑んだ。父親は泣いている母親をちらりと見てから、長老達と共に去った。
源氏长老们闻言露出满意的神色,父亲看了一眼哭泣的母亲,转而和长老们一同推门离去。
【幼い頃の神楽】
「母上……もう泣かないで。神楽はどこにも行かない、ずっと母上と一緒にいる。」
母亲……请不要哭了。神乐哪里也不去,神乐要一直陪着母亲。
【神楽の母】
「私の哀れな娘、哀れな娘よ!」
我可怜的孩子,可怜的孩子啊!
その後、母親は毎日神楽のそばにいて、できるだけ彼女を喜ばせようと努めた。何も知らない神楽は、母と兄と遊べる喜びに浸っていた。長い間家を空けていた父親が、源氏本家の馬車で突然帰ってきた時だった。
在那之后,母亲日日陪着神乐,竭尽全力让她开心。浑然不知的神乐沉浸在和母亲与哥哥共同嬉闹的快乐中。直到许久不曾回家的父亲突然驾着源氏本家的马车归来。
【幼い頃の神楽】
「父上、やっと帰ってきた。ずっと会いたかった!本家のお姉さん達が、新しい服をたくさん作ってくれたの。父上に見せてあげる。」
父亲,你终于回来了,神乐好想你!本家的姐姐们给神乐做了好多新衣服,让神乐穿给父亲看吧。
【神楽の父】
「神楽、あれは巫女服だ。」
神乐,那是巫女的白袍。
【幼い頃の神楽】
「本家のお姉さん達が神楽に新しいおもちゃを作ってくれたの。父上に見せてあげる。」
大姐姐们还给了神乐新的玩具,神乐愿意让给父亲玩。
【神楽の父】
「神楽、あれは巫女の神楽鈴だ。」
神乐,那是巫女的神乐铃。
【幼い頃の神楽】
「本家の踊りも覚えたの。まだうろ覚えだけど、お姉さん達に褒められた。巫女のお姉さん達に、神楽は天資に恵まれた子だって言われた。父上にも神楽の踊りを見せてあげる。」
神乐还学了本家的舞步,虽然还只是皮毛,但姐姐们夸奖了神乐。巫女姐姐们都说神乐天资极佳,让神乐也跳给父亲看吧。
神楽の話を聞いた父親は、冷たい様子で黙っていた。父親に褒めてもらいたい神楽は、覚えたばかりの踊りを踊り始めた。踊りを見た父親は何も言わなかったが、ずいぶん時間が経ってから口を開いた。
父亲闻言沉默了许久,不再说话,似乎非常冷淡的样子。神乐开始跳起了新学的舞步,想要获得父亲的夸赞。看完了神乐舞步的父亲却什么也没说,过了许久,才开口说道。
【神楽の父】
「この神楽鈴もこの踊りも、神楽には似合わない。苦労してそんなものを学ぶ必要はない。神楽、君は踊りも下手だし、天資に恵まれてもいない。」
神乐铃和这支舞都不适合你。你不必费心学那东西,神乐啊,你舞步笨拙,天资愚钝,并不是学舞的料子。
【幼い頃の神楽】
「でも……!」
可是……!
神楽は神楽鈴を捨てて、父親の服にしがみつこうとしたが、父親はそれを受け流した。
神乐丢下手中的神乐铃,试图抓住父亲的衣角,父亲却拂袖而去。
【幼い頃の神楽】
「父上!」
父亲!
【神楽】
「父上は踊りを認めてくれなかった。でも本家に行く日になったら、巫女の舞を見に来てくれるって約束した。だけどあれ以来、父上と会うことはなかった。その後、本家の長老達が私を新しい巫女として育てた。父上は二度と現れなかった。」
虽然父亲没有认可这舞步,但他还是与我约定,到了去本家的那天,会来看这巫女舞。然而,那却是我最后一次见到父亲。之后,本家的长老们将我带去作为新的巫女进行教养。而父亲却没有再出现过。
広大な本家の屋敷から見えるのは、終わりのない塀。幼い神楽はより高いところに行けば、両親と兄がいる分家が見えると思い、一生懸命に黒夜山の山頂に向かって走ったが、日没までに山頂に辿り着けなかった。幼い神楽は一人で鳥居の下で泣いていた。
空旷的本家老宅中,放眼望去是无尽的院墙。小神乐以为站到更高处就能看见父母和哥哥所在的分家,她拼命朝着黑夜山上跑去,却还是没能在日落之前赶到山顶。小神乐独自一人在鸟居下哭泣。
【神楽】
「その時の私は、父上との約束のことだけを考えていた。私はできる子で、努力をすれば、父上も笑顔になるって証明したかった。でも、これから起こる悲劇について、私は何も知らなかった。」
那时的我,只一心想着和父亲的约定。我想要向他证明自己并不笨拙,也不愚钝,只要我足够努力,一定能够让他露出笑容。但却对即将到来的悲剧,一无所知。
【???】
「そう、お前が悲劇を促した。故にどう足掻いても、お前は最初の悲劇に戻る。」
没错,是你促成了悲剧的发生,故而无论如何,你都会回到最初的悲剧之中。
【神楽】
「だ……誰?」
谁……是谁?
【???】
「私が誰なのか、本当にわからないのか?我が巫女よ、私の声を、私の意思を、私の力と審判をこの世に伝えろ。」
我究竟是谁,你真的不知道吗?我的巫女啊,将我的声音,我的旨意,我的力量与我的裁决传达给这世间的一切。
【ロチ】
「そのために生まれてきたのだろう?」
难道不就是你诞生的意义吗?
【源博雅】
「神楽!神楽!」
神乐,神乐!
博雅の声が、荒の月鏡を通じて届く。
博雅的声音通过荒的月镜从空间的另一侧传来。
【神楽】
「うん?」
唔?
目を覚ました神楽は、顔が涙で濡れていることに気づき、急いで顔を拭った。
神乐惊醒过来,这才发现自己满脸泪水,急忙擦了擦脸。
【晴明】
「ようやく目が覚めたか。どうしても起きないから、月鏡を使って博雅に起こしてもらった。」
你终于醒了,我如何也叫不醒你,只好让博雅隔着月镜尝试将你唤醒。
【源博雅】
「妹を預けて一日も経ってないのに、なんでそんなことになってるんだ?くそ、今どこだ?すぐに行く!」
我才把妹妹交给你们不到一天,怎么就发生了这种事情?可恶,你们现在在哪,我这就赶过去!
【神楽】
「心配しないで、ただ疲れて寝てただけ。お兄ちゃん。もし本当に来たら、お盆まで話さないよ。」
不用担心,我只是走得太累路上睡着了。如果哥哥赶过来的话,我在孟兰盆节之前,都再也不跟哥哥说话了。
【源博雅】
「うっ!」
唔!
【荒】
「ずっと寝言を言っていたな。」
你一路上一直在说梦话。
【神楽】
「悪夢を見たの。」
我做了噩梦。
【荒】
「またヤマタノロチの記憶か。」
又是八岐大蛇的记忆吗。
【神楽】
「ううん。今回は私の記憶の奥に隠していた、記憶の断片。叶わない約束を思い出した気がする……でも思い出そうとすればするほど、胸が苦しくなる……息ができなくなりそう。」
不。这一次,是埋藏在我记忆深处的片段,我好像记起了一个未能实现的约定……然而越是想要想起就越是觉得难过……胸口,仿佛无法呼吸般地痛苦。
【荒】
「真実を知ったところで、決していい結果にならないことも多い。もし人間が生涯どれだけの苦難を乗り越えなければならないのか予め知っていたら、この世では生きていけないだろう。生きたいなら、忘れた方がいい。」
很多时候,知晓真相并不会带来美好。人如果生来就知晓自己一生的经历有多痛苦,恐怕就无法存活在这个世上了。若想要活下去,你还是忘记为妙。
【源博雅】
「おい、いいかげんにしろ!俺の妹はお前の言うような弱い人間でもないし、お前に同情されるような人間でもない!神楽は愛されて生まれてきた。そしてこれからも愛されて生きていくんだ。」
你这家伙不会说话就不要说话!我源博雅的妹妹既不是你口中的软弱之人,也不是需要你同情的可怜人!她是伴着所有人的爱降生,也必将会被所有人爱着活下去!
【神楽】
「愛されて生まれてきた…でも、私なんかに愛される価値があるの?」
被爱着,降生的吗……可我是否,真的配拥有这样的祝福呢。
【荒】
「……」
荒に一方的に月鏡の繋がりを切られ、源博雅は怒鳴った。
荒单方面切断了月镜的联系,源博雅震怒非凡。
【源博雅】
「あいつ……まだ神楽と話してたのに!」
这家伙,我还没有跟神乐说完话呢!
【御饌津】
「博雅様、ご心配なく。荒様はこう見えても、神楽さんの面倒をちゃんとみてくれる人よ。」
源博雅大人不必担心,荒大人虽然不近人情,但一定会好好照顾神乐的。
【小白】
「あんまり信憑性がないですね……」
这种保证话听起来就很没有保证……
【源博雅】
「お前も大変だな。」
有这样的上级你也真是辛苦。
【小白】
「博雅様、何て思いやりのある発言でしょう……」
博雅大人,居然说出了体谅别人的话来……
【源博雅】
「今の俺の怒りは一、二匹蛇魔を殺しただけで済むようなもんじゃないからな!陣眼はどこだ!蛇の巣を潰しに行く!」
我现在的怒火可不是宰一两个蛇魔能够解决的!阵眼在哪!我现在就去捣了这蛇窝!
そう言うと長弓を手に取り、敵陣に向かって一人で突進していく。
说着就背起长弓,单枪匹马朝着敌阵中冲去。
【御饌津】
「博雅様の闘志が高まったのは、荒様の策略かもしれないわ!」
博雅大人战意这般高涨,或许这就是荒大人所秘藏的计策吧!
【小白】
「小白はそうではないと思いますが……」
小白觉得,并不是……
博雅の怒りのもと、一つ目の陣眼はすぐに鎮圧された。しかし、黒夜山の向こう側、濃い陰気の中でヤマタノロチの気配を探している晴明達は、より危険な局面に直面していた。
在博雅的怒火之下,一处阵眼很快就被镇压。然而在黑夜山一侧,在浓重的阴气之中探寻八岐大蛇所在的晴明一行,却面临着更加危险的局面。
【晴明】
「この辺の蛇魔は他のところの蛇魔よりも大きく、霊力も異常に強いようだ。」
看来这一带的蛇魔比其他地方的都要巨大,而且灵力也异常强大。
【神楽】
「黒夜山は源氏の禁地。元々地下には、他所にはない力が埋蔵されてる。数百年間、巫女が生贄にされてきたから、ここの霊力は他所より強いの。」
黑夜山是源氏的禁地,本来地下就蕴藏着不同于别处的力量,数百年的巫女献祭,也让这里的灵力比别处充沛。
【荒】
「勝手に前に出るな、後ろに隠れていろ。魂の奥にまだ蛇神の力が残っている。この蛇魔に触れたら、何が起こる分からないからな。」
你最好别贸然上阵,躲在我们二人身后就好。你的灵魂深处还有蛇神的力量残留,如果接触到这些蛇魔,难保会发生什么变故。
【神楽】
「うん。」
嗯。
その時、巨大な蛇魔が空から降りてきて、三人の周りを旋回した。紫がかった黒い目がじっと三人を見つめ、口から舌を出していた。だが二人の後ろにいる神楽を見ると、突然頭を下げた。巨大な蛇魔は人間のように、礼節をもってお辞儀をしていた。その後、木々の間を這って行ってしまった。
就在这时,一条巨大的蛇魔突然从天而降,盘旋在了三人周围。紫黑色的蛇眼一动不动地盯着三人,口中吐着信子。然而在看到二人身后的神乐之后,却突然低下了头。巨型蛇魔如同人类一般恭恭敬敬地匍匐行礼,然后缓慢地沿着树间穿行,爬开了。
【晴明】
「この蛇魔達は力は強いが、知能は低い。神楽と主人の区別ができないようだ。」
看来这些蛇魔虽然力量强大,但并不机敏,无法区分神乐和他们的主人。
【荒】
「……」
【神楽】
「ある意味難を逃れられたかな……」
算是逃过一劫吗……
【晴明】
「尾行すれば、ヤマタノロチの手がかりが見つかるかもしれない。」
我跟去调查看看,或许能找到八岐大蛇所在地的线索。
晴明はそう言い終わると、蛇魔を追いかけていった。荒と神楽の二人だけがその場に残された。
晴明说完,迅速跟上蛇魔而去,只留下荒和神乐二人。
【荒】
「さっきの蛇は、君を崇拝し、恐れていた。」
刚才那条蛇,是在向你表示崇拜,以及惧怕。
【神楽】
「私を?」
我?
【荒】
「君がこの世に大難をもたらすが、あのお方はそんなことは許さないと言っただろう。その日が近づいてきた。」
我曾说过,你会给现世带来巨大的灾难,而那位大人不会放过这样的遗漏。那一天或许不远了。