晋江文学城
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65、祈神之宴 ③ ...

  •   ——都の中心

      ——平安京中心

      【小白】

      「セイメイ様!見てください、あそこはとても賑やかですね!」

      晴明大人!快看,那边好热闹啊!

      近くの屋台には長蛇の列ができている。縁結神の屋台だ。

      不远处排着一条长龙,正是缘结神的摊位。

      【縁結神】

      「あれ?やっとの思いで手に入れた霊語の絵本が見つからぬ。それに、春惜の国の花の種はどこじゃ?」

      诶?我好不容易淘来的言文画册呢,还有春惜之国特有的花种子,被我放哪去了?

      忙しなく動き回る縁結神は、荷物に頭を突っ込んで、全部屋台の上にぶちまけたい気分だった。一方、隣で縁結神の手伝いをする御饌津は余裕綽々で商品を梱包している。

      缘结神忙前忙后,恨不得把头埋进自己的篓子里,将带来的小玩意们统统铺到摊位上。一旁,御馔津则有条不紊地帮着缘结神打包。

      【御饌津】

      「急がず、順番を守ってください。皆様ご希望の品物をご購入いただけます。」

      别着急,一个一个来,大家都会选到自己喜欢的东西的。

      ついに目当てのものを見つけ出した縁結神はそれを高く掲げ、今まで以上の勢いで客を集めている。

      缘结神终于扒拉到了想卖的货物,一把举了起来,招呼着吸引更多路过的人。

      【縁結神】

      「よってらっしゃいみてらっしゃい、これは香行域の特別な香炉じゃ。精神を落ち着かせる効果……ではなく、見たい夢を見ることができるのじゃ!決して損はさせぬぞ。どれもここでしか買えぬ特別な品物じゃ!四人の舞姫様の紙人形もあるぞ。これは今日しか買えぬ特別記念品じゃ。」

      看一看,瞅一瞅,这可是从香行域来的特制小香炉,可以养神安眠……不对,可以直接做想做的梦哦!不买不吃亏,过了这村就没这店啦,都是些别处没有的好货哦……这边还有四位舞姬大人的剪纸小像,是仅在今天限定出售的特殊纪念品哦。

      【藤原陰陽師】

      「うーん……見たことのないものばかりだな。最近懐が寒いけど、一つだけなら……」

      唔……还真都是些没见过的奇物,钱包空空,就挑一个吧……

      【賀茂の陰陽師】

      「冷やかしならさっさとどいてくれ、他の人が待っている。」

      你要不买就让开,这么多人还等着呢。

      【縁結神】

      「みなさん……わあ、危ないのう、屋台にぶつかるところじゃった……」

      大家……哎哟,小心点,别撞到我的摊子了……

      誰かに見られていることに気づいた御饌津が顔を上げると、晴明の姿が目に入った。

      御馔津觉察到一道不同的目光,抬头便看到晴明。

      【御饌津】

      「晴明様?何かお探しですか?縁結神に言って一つ取っておきましょうか。」

      晴明大人?你也有什么想要买的吗,我可以让缘结神给你留一份。

      【晴明】

      「ありがとう、だが大丈夫だ。他の場所に比べてとても賑やかだから、ちょっと寄ってみたんだ。売上は順調に伸びているようだな。」

      多谢,暂且不用了,我只是看见这处相比其他地方更加热闹,看来你们的生意好起来了。

      【御饌津】

      「ええ、四人の舞姫様が舞台に上がった後、様子を見に来た陰陽師たちが増えたので、商売も繁盛します。」

      毕竟四位舞姬大人登台后,确实吸引了不少阴阳师们驻足围观,生意自然而然就好起来了。

      【???】

      「これ、これ、あとこれも……ああもう、全部買いますから、まとめて包んでください。」

      这个、这个,还有……算了,这些东西全都包起来,我都买下了。

      【縁結神】

      「はいはい!少々お待ちを、今すぐお包みします。」

      好!好!这位客人,我们这就给您全都装起来。

      【小白】

      「太っ腹な異国のお客様ですね。孔雀明王様関連の商品を、一つ残さず買うなんて。」

      真是一位阔绰的异域客人,居然把与孔雀明王大人相关的货品都买下了。

      その時、異国の女性は晴明一同に気づいたようで、そのまま近寄ってきてお辞儀をした。

      此时,异域的女子注意到了晴明一行人,于是径直走上前,向他们点头示意。

      【翠】

      「晴明様ですよね?私は孔雀明王様に仕える護衛、翠と申します。実は晴明様を探しに来ました。こほん……ですがどこを探しても見つけられなかったので、ここに来てみたのです。」

      您就是晴明大人么?我是孔雀明王大人的侍卫——翠,是专程来找您的。咳咳……只是四处都没看到您,这才走到这里来的。

      【晴明】

      「そうか。私の何の用だろう?」

      我明白了,请问你前来所为何事呢?

      【翠】

      「女王様は、相談したいことがあると仰っていました。私と一緒に来ていただけませんか?あ、そうそう、女王様はできれば二人きりでお会いしたいとも仰っていました。」

      女王大人有要事要与您商议,不知晴明大人是否有空与我一同前去呢。啊对了,女王大人希望能与您,单独见面。

      【晴明】

      「……そういうことなら、小白、須佐之男様たちと一緒に結界の見回りに行ってくれ。」

      ……既是如此,小白,你随须佐之男大人他们去巡视一下结界吧。

      【小白】

      「セイメイ様……」

      晴明大人……

      【晴明】

      「心配するな、すぐ戻ってくる。」

      不必担心,我稍后便回。

      【小白】

      「はい……」

      唔……(那小白等下应该可以偷偷让须佐之男大人给小白买油炸豆腐吃吧!)

      【晴明】

      「一つ聞きたい。孔雀の国から平安京にお越しになった後、孔雀明王様の体調はいかがだろうか。ここ数日は一歩も外に出られなかったと聞いたが。」

      还请问,孔雀明王大人自孔雀国来到平安京后,可还习惯,听闻最近几日女王似乎都闭门不出。

      【翠】

      「包み隠さずお話しすると、近頃女王様は精神的に疲れていらして、我々も心配しているのです。女王様のような偉大な方は、もう二度と孔雀の国に現れないかもしれません。ですから私は、どんなに些細なことであっても見逃すわけにはいきません……今日晴明様を探していたのも、女王様がこの地で邪気に侵されてしまったのではないか、確かめたかったからです。」

      不瞒晴明大人,女王最近精神欠佳,令我们很是忧心。孔雀国不会再有这么一位伟大的女王了,所以任何一点闪失,我都不会允许发生在女王的身上……今日找到晴明大人,正是想要确认女王是否在这地界内沾染上了污秽不祥之物。

      【晴明】

      「女王様は誘いに応じて来てくださった。我々も全力でお守りしよう。」

      女王既愿应邀至此,我们也定会护她万无一失。

      【翠】

      「では晴明様、どうぞ中へお入りください。私はここで女王様のお呼びを待ちます。」

      那么,请您进去吧,晴明大人。我会守在门口,等待女王的传唤。

      中に入ると、晴明は真っ先に、部屋中にいい香りが漂っていることに気がついた。垂れ下がる帷越しに、美しい女性の人影がぼんやりと見えている。しかし美しい人影とは裏腹に、ちょきちょきとよく響く鋭い鋏の音が聞こえる。晴明は帷の前で足を止めた。

      晴明步入室内,未见其人,先闻其香,一股怡人的香味弥散满室。层层帷帐之后,隐约可见一个曼妙的身姿。而与那美丽身影形成对比的,却是一声接一声干脆利落的剪子碰撞声。晴明在帷帐前停下脚步。

      【晴明】

      「孔雀明王様、ご体調が優れないと聞いたが、何かお手伝いできることはないだろうか。」

      听闻孔雀明王大人身体不适,精神欠佳,不知有无可以帮上忙的地方。

      【孔雀明王】

      「ふふ……」

      呵呵……

      鈴を転がすような声が聞こえると、孔雀明王は帷の中から華奢な手を伸ばし、砂漠の花を晴明に見せた。

      银铃般的笑声中,孔雀明王纤细的手从中伸出,将一支荒漠之花递到晴明面前。

      【晴明】

      「これ……は?」

      这……是?

      晴明が花を受け取る。

      晴明接过花朵。

      【孔雀明王】

      「これは孔雀の国から持ってきた砂漠の花。水の少ない砂漠にしか生えない、健気に咲く花よ。」

      这是从孔雀国带来的荒漠之花,只有在缺水的荒漠之中,才能找到它那无惧盛开的身影。

      突然吹き出した風が帷を押し開けた。鋏を持つ孔雀明王の姿が目に入る。彼女の笑顔は砂漠の薔薇のようにとても美しい。しかし鋭い鋏に、思わず恐怖を感じる。

      一阵风来,吹开帷帐,帷帐之后,是拿着剪子的孔雀明王,她的笑容如同这荒漠玫瑰一样迷人,手中闪着寒光的利器却让人不寒而栗。

      【晴明】

      「……ありがとうございます。」

      多谢……孔雀明王大人的好意。

      適当に机上に鋏を置くと、孔雀明王は耳にかかっていた髪をまとめ直した。

      孔雀明王将手中的剪子随意地扔到桌上后,将耳边落下的鬓发挽起。

      【孔雀明王】

      「でもね……健気に咲くだけじゃないの。綺麗だけれど、この花は死に至る猛毒を隠している。」

      不过……它不光能无畏盛开,在那极致美丽的花瓣下,还隐藏着瞬间致命的毒刺呢。

      【晴明】

      「……!」

      【孔雀明王】

      「心配しないで、毒を持つ棘はさっき全部剪定したから。晴明様に贈るものだもの。」

      不用担心,我方才已经将毒刺悉数修剪完了,毕竟是要赠予晴明大人的礼物呢。

      【晴明】

      「女王様がお呼びだと聞いたが、用件は何だ?」

      不知道女王此番找我来所为何事?

      【孔雀明王】

      「用件?それはね、晴明様に「教えてほしい」ことがあるの。この前、平安京に来るよう誘ってくれた時、必ず身の安全を守ると約束してくれたでしょう。でも今、私は見ての通り、邪気に侵されているの。」

      何事?当然是喊你来「兴师问罪」的。此前,你们邀我来到平安京,许诺会护我安全,可如今却让我沾染上了这里污秽邪气。

      羽衣を脱ぐと、孔雀明王の鎖骨の下方には、汚れた邪気が漂っていた。

      孔雀明王脱下羽衣,她的锁骨下方,竟然正缠绕着一股污秽邪气。

      【孔雀明王】

      「晴明様は、どうやって私に償うべきかしら?」

      晴明大人,你说该如何补偿我?

      晴明は落ち着いた様子で呪文を唱え、霊符を燃やした。すると霊符は数多くの呪言となり、孔雀明王のほうに飛んでいった。

      晴明面色沉静,他口念咒语,点燃符咒,符纸皆幻化为咒言,纷纷指向了孔雀明王。

      【晴明】

      「孔雀明王様、不躾だが、あなたも隠している事があるはずだ。そもそも孔雀明王様の満開の舞は厄払いの力を備えている。並の邪気では、御身に近づくことすらできないだろう。つまりその邪気は、おそらく平安京のものではなく、むしろ……御身によるものだろう。」

      孔雀明王大人,恐怕是您有所隐瞒吧?您的绽放之舞本身就有除厄驱邪的力量,一般的邪气并不能近您身。所以说,您身上的邪气,恐怕并不来自平安京,而是源于您自身。

      【孔雀明王】

      「晴明様は、私が邪悪だと言いたいのかしら?」

      按照晴明大人的意思,我是邪恶的吗?

      【晴明】

      「そういうわけではない。孔雀明王様が罹った、邪心の火こそが悪なのだ。おそらくそれは孔雀明王様が自分にかけた呪いだろう。未解消の執念、執念の蟠りは往々にして人を惑わす魔になるものだ。」

      邪恶的并非您,而是您所染上的这股心邪之火。这恐怕是您加诸于自己的诅咒,难以消除的执念,而久未解开的执念,往往最后都成了困住内心的魔。

      【孔雀明王】

      「……さすがは平安京一の陰陽師。ならば私と一つ、賭けをしましょう!私の心の魔を見つけてくれたら、一つだけ願いを叶えてあげる。できなければ、残念だけど、祈祷の舞は延期せざるを得ないかもしれない。どうかしら?晴明様、平安京の守護者のあなたなら、この程度の試練は朝飯前でしょう。」

      ……不愧是平安京最负名望的阴阳师,不如就由你来与我打个赌吧!若你能找到我的心魔所在,我便答应你一个愿望;但倘若你无法做到,祈神之舞的事,恐怕是要延期了~如何?晴明大人,作为平安京的守护者,这点小小考验,想必不会造成你的困扰吧。

      【晴明】

      「先程言った通り、何があろうと必ず御身を、孔雀明王様の身の安全をお守りしよう。あなたの要望であれば、もちろん引き受ける。とはいえ邪心の火はすぐ解決できるものではない。もし可能なら、いつも持ち歩いているものを一つ貸してくれないか。術を使うのに必要なんだ。」

      方才便已说过,无论何事,我们都会保护您孔雀明王大人的安全。既是孔雀明王大人的要求,我自不会推托。不过心邪之火很难一举斩除,如果可以,女王能否借我一随身携带之物,让我感应一番。

      【孔雀明王】

      「そんな面倒なことはいいのよ、晴明様。」

      不必如此麻烦,晴明大人。

      孔雀明王は晴明に向かって手を差し伸べた。返事の代わりに頷いたあと、晴明は礼儀正しく孔雀明王の手を掴んだ。孔雀明王の手に触れた瞬間、骨まで凍えそうな寒さが伝わってきた。

      孔雀明王径直朝晴明伸出手,晴明微微颔首,礼貌地握住了孔雀明王的手。触碰到手的瞬间,晴明感受到一股彻骨寒意从孔雀明王的手心传来。

      【晴明】

      「ずっと邪心の火に対抗していたようだな。しかしこのまま消耗し続ければ、じきに邪心の火の悪影響を受けてしまう。」

      看来您一直都在与这股心邪之火做着斗争,如果再如此消耗下去,您很快便会被这股邪火反噬。

      【孔雀明王】

      「本当に……あなたに隠し事はできないわね、晴明様。」

      看来……什么都瞒不过你呢,晴明大人。

      孔雀明王はようやく少し気が楽になったようだ。彼女の体に、いくつもの恐ろしい傷跡が浮かび上がってきた。鎖骨の下にある恐ろしい傷跡が、一番目立っている。

      孔雀明王似乎终于放松了一些,而她的身上竟然开始接连浮现出道道触目惊心的疤痕。而在她的锁骨之下,出现了一道尤其显眼的可怖伤疤。

      【晴明】

      「……!」

      【孔雀明王】

      「どこを見ているの?晴明様。 」

      你在看哪里呢?晴明大人。

      【晴明】

      「すまない、私は……」

      抱歉,我……

      急に目眩に襲われたせいで、晴明は目がかすみ、女王の顔もはっきり見えなくなってきた。

      一阵强烈晕眩突然袭来,女王的面孔也随之渐渐变得模糊不清。

      【孔雀明王】

      「あ、そうだ、言い忘れていたわ。砂漠の花の毒の棘は剪定したけれど、催眠効果を持つ花粉を取り除くのを忘れたみたい。でも心配いらないわ……」

      噢,对了,忘记告诉晴明大人了,虽然我剪去了荒漠之花的毒刺,但是似乎忘记拂去它那会令人沉睡的花粉了呢。不用担心……

      孔雀明王がふらつく晴明を支える。

      孔雀明王扶住步伐不稳的晴明。

      【孔雀明王】

      「疲れが溜まっているあなたへの、贈り物だと思って。」

      就当是我送予劳累的你的一份礼物吧。

      晴明は術で体に入り込んだ花粉を取り除きたかったが、いかんせん体に力が入らない。

      晴明想用术法逼出体内吸进的花粉,却只觉得越来越乏力。

      【孔雀明王】

      「最初から、安神香は効用を発揮し続けているのよ……」

      从一开始这安神香,可是源源不断地……

      孔雀明王が晴明の顔を優しくなでる。

      孔雀明王轻抚晴明的面庞。

      【孔雀明王】

      「きっといい夢が見れる……」

      你会有一个好梦的……

      何もわからない中、ふと目覚めた晴明は、細長くて暗い洞窟の中にいた。

      混沌之中,晴明苏醒过来,发现自己身处一条悠长黑暗的隧道之中。

      【晴明】

      「さっきまで孔雀明王と話していて、うっかり彼女の策にはまったが、ここは彼女が作り出した幻境なのか、それとも……とりあえず、彼女の心の魔を探してみよう。」

      方才还在与孔雀明王对话,却不料中了她的计,这里是她制造的幻境还是……总之,先去寻找一下困住她的心魔吧。

      洞窟の奥にわずかな光が見える。そこからかすかに鼻歌が聞こえてくる。光を抜けた晴明は、ある宮殿に足を踏み入れた。広々とした客間に月明かりが降り注いでいる。純白の羽衣をまとった白孔雀が月明かりを浴びながら、もう一人の小柄な孔雀に手取り足取り舞を教えている。回り翻る衣、月明かりを浴びたきらびやかな羽衣は光を反射していて、きらきらと光っている。

      隧道的尽头泛着白光,白光处隐隐传来哼唱之声,晴明穿过白光,踏入了一座宫殿。空旷的大厅中,月光从上方铺洒下来,而在月光之中,一位身披纯白羽衣的白孔雀,正扶着一个身形稍小的孔雀共舞。旋转的舞裙,华丽带着亮片的羽衣,在月光的映照下泛起层层涟漪。

      【白】

      「青、少し休まない?もうずっと練習しているわ。その足……きっと痛いでしょう。 」

      青,要不要休息一下,我们已经练习很久了,你的脚……应该很疼吧。

      【青】

      「大丈夫!全然痛くない。今日はせっかく姉様が舞の練習に付き合ってくれてるから、もう少し練習したい。もう少しだけ……」

      不疼!一点也不疼,姐姐今天好不容易能有时间和我练舞,姐姐,我们就再练一会好吗?就一会……

      【白】

      「舞の練習に打ち込むだけの青より、私はこうして甘える青のほうがいいと思うけれど。 」

      我倒宁愿你像这样多撒会娇,而不是只想着练舞。

      【青】

      「満開の舞を習得できれば、姉様と、皆と同じ尾羽が生えてくるかもしれない。」

      只要我努力学会绽放之舞,或许就能早点恢复,长出和你,和大家一样的尾羽了。

      言っているうちに、青の表情が少し暗くなってきた。この時ようやくはっきりと見えた。彼女は尾羽が不完全で、足が歪な形をしている。

      青说着,表情有些黯淡,此时才看到她的残缺的尾羽,和略带弯曲的腿骨。

      【白】

      「尾羽が生えてこなくてもいいじゃない。あなたが私の一番可愛い妹であることには変わりないんだから。」

      就算不长出尾羽又怎么样呢?你依旧是我眼中最可爱的妹妹。

      白は青の頬をつまむと、無理やり彼女の口角を上げた。

      白揉了揉青的脸庞,把她耷拉下去的嘴角撑了起来。

      【白】

      「ほら、可愛い。」

      看,多可爱。

      【青】

      「またからかって!」

      你又拿我打趣!

      【白】

      「からかったんじゃないよ、私は元気いっぱいの青が見たいだけ。」

      怎么会,我倒是很想看到青这般开朗活泼的样子。

      白は青に柔らかい羽衣を羽織らせた。

      一件柔软的羽衣披在了青的身上。

      【白】

      「これは私の尾羽で紡いだ孔雀羽衣よ、着てみて。これで、あなたも綺麗な孔雀舞が踊れる。いつも本を読むばっかりじゃなくて、たまには外に出てみんなと遊んでね。みんな、きっと青を受け入れてくれるよ。」

      这是用我的尾羽编织的孔雀羽衣,穿上它吧。如此,你也能跳出漂亮的孔雀舞了,不要总把自己关在书库里,偶尔也出门跟小伙伴们散散心吧,我想,他们会接受你的。

      【青】

      「姉様…… 」

      姐姐……

      【白】

      「あなたが頑張っているのは知ってる。私がいなくても、一度も練習を怠らなかった。満開の舞に宿る力がきっと治してくれるよ、きっとね……」

      我知道你一直很努力,即便我不在的时候,你也从未停止过练习,我相信绽放之舞中所蕴含的神力一定会让你好起来的,一定会……

      それを聞いた青は俯いて、長い間考えに耽った。そして着ていた羽衣を脱ぎ、綺麗に畳んだ。

      青听闻反而垂下了头,思考了良久,她将披在身上的羽衣脱下叠好。

      【青】

      「姉様の羽衣は一時的に私の劣等感をごまかせるかもしれない。でも現実は何も変わらない。姉様、私は守られるだけの孔雀にはなりたくない。姉様にできることは、私にもできるはず。いつか私も姉様のように、眩しい綺麗な姿で皆の前に現れる。その時、私は姉様の側で、姉様を守る資格を手に入れる。」

      姐姐的羽衣或许能遮掩我一时的自卑,但却不会改变羽衣下的事实。姐姐,我不想成为被你护在羽翼下的小孔雀。姐姐能做到的,我也可以做到。而总有一天,我会像姐姐一样,以同样耀眼之姿站于众人面前。到那时,我便有资格站在姐姐身边,守护姐姐了。

      白は優しく青を抱きしめ、彼女の額に口づけした。

      白温柔地抱住青,在她的额前留下一吻。

      【大長老】

      「白の女王様、祈りの時間です、どうぞこちらへ。」

      白女王大人,祈祷时刻到了,随我们来吧。

      【白】

      「青、あなたもそろそろ休みなさい。眠れなかったら書庫で本を読めばいい。私を待たなくていいから。」

      青,你也早点休息,如果睡不着就去书库看看书,不必再等我回来了。

      月の初めはいつも、白の女王は長老に導かれて、謎の祈りの儀式に参加する。儀式の詳細は、白の女王と長老を除けば、誰も知らない。儀式が終わったあと、白の女王は毎回疲れ切った様子で帰ってくる。青は姉様にどんな儀式なのか聞いたが、女王は何も言わずにただ眉をひそめ、珍しく不愉快そうな顔を見せた。

      每个月初之日,白女王都会跟随长老参与神秘的祷告仪式,这个仪式除了白女王与贵族长老,无人知晓其中内容。只是每次参与仪式归来,白女王都异常疲惫,当青问起姐姐那是什么仪式时。女王都闭口不提,只是眉头紧皱,脸上难得地露出不快的神色。

      【大長老】

      「王女様、あれは聖なる儀式、神への献身でございます。女王は少しお疲れなだけ、なにも心配いりません。」

      小公主,仪式是非常神圣的,那是向神明的奉献。女王只是累了,你不必担心。

      【青】

      「でも……」

      可是……

      【大長老】

      「足と尾羽の病を治すことだけを、姉上のように美しい舞を踊ることだけを考えていてください。その他のことは考えなくてもいいのです。」

      你只需要专心治好腿疾和尾羽,像你的姐姐一样,跳出漂亮的舞蹈,其他的你无需烦忧。

      姉を待つ夜、青はいつも地下書庫に来る。書庫の隅っこには、彼女だけの特等席がある。彼女は本の世界に浸り、古の象形文字が描き出す孔雀の国に夢中になる。本を通じて、彼女は孔雀の国の成り立ちを知っていく——

      每一个等待姐姐的不眠之夜,青都会来到地下书库,靠近角落的地方,有她的专属座位。她沉迷在书海中,沉浸在这些古老象形文字所描绘出的孔雀古国,她在书中,逐渐知晓了孔雀国的由来——

      「千年前、ここは荒れ果てた、砂に覆われた大地だった。砂を追い払った孔雀神は、種を植え、緑地をもたらした。」

      「千年前,此地曾是一片荒芜,被黄沙所笼罩,驱散黄沙的神孔雀将种子埋在沙中,诞生了绿地」

      「この緑地こそが最初の孔雀の国である。孔雀の国の人々は舞が得意で、舞の不思議な力で厄を払うことができた。」

      「这片绿地就是最初的孔雀国,国中之人,人人擅长以舞化灵,驱散灾厄。」

      「しかし、孔雀神が亡くなったあと、すべては変わった。孔雀神の死を境に、緑は砂嵐に侵され、何も芽生えなくなった。」

      「然而这一切,最终都伴随着神孔雀的离去而画下了终结。自神孔雀陨落后,绿意开始被沙暴蚕食,再也无法长出新苗。」

      「それ以来、文明は衰退の一途をたどり、孔雀の国の霊力も減り続けていた。緑地を奪われ、人々は存続の危機にさらされていた。」

      「自那以后文明倒退,孔雀国的灵力也走向衰败,绿地被不断侵蚀,人们的生存压力与日俱增。」

      「その後——新たな神が降臨し、婚姻の契約を結んだ。おかげで侵食の速度はようやく少し落ちた。」

      「直到——新的神明到来,订下联姻的契约,绿意的侵蚀才减缓。」

      「かろうじて残ったいくつかの壊れた遺跡や遺物だけが、あの時代を証明している。」

      「那个时代残存下来的,只剩部分损坏的遗迹文物。」

      「白の女王は過去の文献や遺物の修復に心血を注いでいるが、孔雀の国が繁栄を極めた時代を取り戻すことはできないだろう。」

      「虽然白女王一直在致力于修复过去的文献古物,但孔雀国已再回不去那个极其繁荣昌盛时代。」

      【青】

      「本の記録を除けば、私は夢の中でしか繁栄を極めた孔雀の国を見たことがない。あの時代には、一体どんな美しい景色が広がっていたの?孔雀神って、一体どんな人なんだろう?孔雀神は孔雀の国のために全力を尽くし、一生をかけて無限に湧いてくる砂嵐に抗い続け、やがて力尽きて亡くなったと本には書かれている。私も孔雀神のような、偉大な英雄になれるかな……ううん、やっぱり無理。孔雀神はきっと凛々しくて、綺麗な尾羽を持つすごい孔雀だもん。私とは全然違う……こんな願い、もし人に知られたら、きっと馬鹿にされる……長老が言ってたみたいに……足と尾羽の病を治して、美しい舞を踊るべきなんだ……そろそろ帰ろう、もっと現実的なことを考えないと。」

      除了在书里,我就只在梦中见过繁华的孔雀国,那个时代的风花雪月,该是如何的美丽呢?神孔雀,又是怎样的一个存在呢?书中说神孔雀将身心都奉献给孔雀国,衪的一生都在与无尽的沙暴作斗争,而最终神力衰竭,陨落在了孔雀国。说不定我也能像衪一样的,成为一个大英雄呢……唉,还是算了吧,神孔雀肯定是位身姿英气,长着华丽尾羽的耀眼孔雀,不像我……若是被其他人知道了,他们一定会嘲笑我的愿望……我的任务便是像长老说的那样……治好腿疾和尾羽,跳出漂亮的舞蹈吧……差不多也该回去了,或许我该想些实际的愿望。

      青は杖を取り、高い椅子から降りようとする。しかし急に椅子が揺れたせいで、彼女は転げ落ちてしまった。膝に激痛が走る。高い椅子はよく揺れるから、青は椅子の下に紙切れを敷いておいた。しかし確認してみると、紙切れはすでに消えていた。だからさっき、椅子は急に揺れたのだった。

      青拾起手杖,支撑着想要从高椅上下来,然而突然晃动的高椅却使她一不小心摔倒在地,剧烈的疼痛从膝盖处传来。因为高椅四脚不平,她曾在椅脚下垫了些废纸,可如今一看,废纸早已被人抽走。这才是导致刚才高椅倾倒的原因。

      【晴明】

      「大丈夫か……?」

      你没事吧……

      隣で一部始終を見ていた晴明は、思わず女の子に手を差し伸べた。女の子は顔を上げて、変な服を着た男を観察する。

      默默旁观的晴明忍不住向女孩伸出了手。女孩竟看到了他,抬起头打量起这个衣着怪异的男子。

      【青】

      「あなたは……もしかして、書庫のお化け?」

      你莫非是……书库里的妖怪吗?

      【晴明】

      「お化け?」

      妖怪?

      【青】

      「うん!姉様が言ってたの。書庫の古文書には、命と霊力が宿ってるって。だから、あなたはきっと、古文書のお化け。だって変な服を着ているもの。それは繁栄を極めた時代の装いかしら?」

      嗯!姐姐跟我说过,书库中的古文献都有着生命和残存的灵力,我想,你一定是哪本古文献的化灵,毕竟你的装扮如此奇特,难道这就是繁荣时代流行过的装扮?

      【晴明】

      「繁栄を極めた時代?何だそれは……」

      繁荣时代?那是什么……

      【青】

      「私にもわからない、でもあなたを知っているような気がする。」

      我也不知道,只是感觉你似曾相识。

      女の子を立たせると、包帯をぐるぐるに巻いた女の子の脚からは血が滲んでいた。晴明の視線に気づいた女の子は、血がついた脚を不格好な尾羽の中に隠した。

      晴明将女孩扶起时,注意到她□□着双脚,上面缠满绷带,隐约有鲜红渗出。感受到目光的注视,女孩将渗出鲜红的脚藏到灰扑扑的尾羽之下。

      【晴明】

      「靴はどうした?血が出ているうえに、裸足で冷たい石床を歩くなんて。」

      你的鞋呢?光脚踩在如此冰冷的地砖上,脚掌还流了血。

      【青】

      「靴は……誰かに隠されたんだと思う。私が使うものはいつも隠されるの。でも、もう慣れたから…… もちろん、あなたみたいな書庫のお化けに隠された可能性もあるよ。隠す理由は、そうだなぁ、私の注意を引きたいんじゃないかな。」

      鞋么……大概是被人藏起来了吧,我的东西总是会莫名其妙的消失,不过,我已经习惯了……当然,也有可能是像你一样的,书库里的小妖怪。之所以把我的东西藏起来,是想引起我的注意也说不定。

      【晴明】

      「私の靴は少し大きすぎるかもしれないが、とりあえず履いてくれ。」

      这是我的鞋,可能有些大,但暂且穿上吧。

      【青】

      「大丈夫……冷たい床を歩く時だけ、感覚の鈍い脚でも感じることができるの。その時だけは、床の存在を感じることができる。」

      没事的……踩在冰冷的地面上,我麻木的双脚才能有一点感知,至少在这些时刻里,我能感受到它们是真实存在的。

      青は晴明の手を開くと、指で何か書いた。すると、晴明の手のひらには見たことのない金色の文字が出現した。

      青将晴明的掌心打开,用手指在上面比划了几下,没过多久,晴明的掌心便浮现出一个金色的从未见过的文字。

      【晴明】

      「これは……?」

      这是……?

      【青】

      「私の名前で、青って読むの。芽生える草木の活力を示す色だよ。友達になれて嬉しい。」

      这是我的名字,青。萌发于草木的生机之色。很高兴能与你成为朋友。

      【晴明】

      「……私もだ。」

      ……我也是。

      そう言った瞬間、急に地面が激しく揺れ出した。本棚が倒れ、ものすごい数の本が立て続けに地面に落ちる。その揺れは、世の終わりかと思えるほど激しい。

      话语刚落,突然间,地面震动起来,书架纷纷倾倒在地,大摞大摞的书砸到地面上。这剧烈的晃动简直就像是整个世界都陷入了坍塌一般。

      【晴明】

      「危ない!!」

      小心!!

      晴明は青を庇い、呪文を唱えたが、その時彼は陰陽道が使えないことに気づかされた。時を同じくして、地面に裂け目が出現した。裂け目はどんどん大きくなり、書庫は丸ごと裂け目に呑み込まれた。逃げ場のない晴明と青は、一緒に深淵に墜ちた。

      晴明将青护在身下,并念诵符咒,却发现自己施展不出阴阳术。而此时,下方出现裂开缝隙,缝隙越裂越大,整个书房皆倾倒进裂隙之中。无法逃脱的晴明与青,也一起坠入了深渊之中。
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第65章 祈神之宴 ③

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