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57、终焉之章 ⑥川海 ...
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都の城門を出た後、鈴鹿御前は海国の兵力を整え、計画通りに兵を配置し始めていた。計画の「目くらましの術」の一部として、鈴鹿御前は玉藻前が授けた朧車を使わずに、直接鬼船で陣眼へと近づいて行った。
自京都城门离开后,铃鹿御前便开始整顿海国的兵力,将其布置到计划路线沿途。作为计划中「障眼法」的一部分,铃鹿御前并没有接受玉藻前提供的胧车,而是直接驱使鬼船靠近阵眼。
【鈴鹿御前】
「私達が向かっている場所に巣食う蛇魔は、おそらく泉の中に潜んでいるだろう。海妖は水中での戦闘に長けているとはいえ……非常に危険だ。これはあの大陰陽師が私を信頼しているということか?それとも別の意図が……」
我们将去的目的地处的蛇魔,极有可能隐藏在泉水中。虽说海妖擅长水中战斗,但……真是凶险万分啊。也不知道这就是那位大阴阳师对我的信任呢,还是有意为之呢。
【蝎女】
「主人?」
【鈴鹿御前】
「何でもない、ただの独り言だ。(鈴鹿山か大嶽丸には、何かあるはずだ。裏で糸を引いている奴を上手く処理しなければ。)」
没事,只是我在自言自语。(对于铃鹿山亦或是大岳丸,确实有笔账,要好好和那藏在背后的家伙算一算。)
【久次良】
「鬼船の航路を確認しました。あなたが指示されたように、鬼船は蛇魔をおびき寄せるための餌になります。あなた達が敵陣に向かう際の目くらましになるでしょう。」
鬼船航行的路线已经确认完毕。如您之前吩咐的那般,鬼船会作为诱饵来吸引蛇魔,方便你们前往阵眼。
【鈴鹿御前】
「分かった、ご苦労だったな。」
明白了,辛苦你了。
【風狸】
「おい、鈴鹿御前。俺も敵陣を通り抜ける道を探っておいたぜ。あんたの言った通り、最も険しい道をな。」
哟,铃鹿御前,我也把通往阵眼的路线打探好了,按你说的,找了条最崎岖的。
【蟹姬】
「え?最も険しい道?どうしてわざわざ苦しい目に遭わなきゃいけないの?」
啊?最崎岖的?我们为什么要自讨苦吃哇?
【鈴鹿御前】
「途中にいる蛇魔は、敵が私達を消耗させるためだけに用意したものだ。その後に一体どんな罠があるか、考えている時間はない。私達の目的は、終着点の陣眼を鎮圧し、そこに巣食う蛇魔を駆逐することだ。道中の蛇魔と交戦する必要はない。険しい道の方が、隠れるのに都合がいい。」
沿途的蛇魔只是敌人为了消耗我们而设立的,没有时间辨别那后面隐藏着什么陷阱了。我们的目的是要镇压终点的阵眼,清剿盘踞那里的蛇魔,道中的蛇魔大可不必交手。崎岖的路线更方便我们隐藏。
【久次良】
「鬼船の準備ができました。」
鬼船已经准备妥当了。
【鈴鹿御前】
「ああ、分かった。」
嗯,明白了。
鈴鹿御前は意気揚々と鬼船の船首に立ち、今にも戦いを始めようとする海妖の集団を眺めた。
铃鹿御前高高跃起,站在鬼船船头,目光扫过一众即将参与战斗的海妖。
【鈴鹿御前】
「よし、コホン……かつて大嶽丸に追従していた諸君にとって、目の前に広がる邪神に傷つけられた平安京は見るに堪えないものであり、きっと複雑な気持ちだろう。私はあなた達に、如何なる選択も強制しない。最初に平安京に来た時、私は鬼王の宴で、他の鬼王にこう告げた。私は大嶽丸と鈴鹿山の真実を知りに来た、と。そして今、決着の時が来た。最後の答えはあそこにある……」
嗯,咳咳……曾经跟随大岳丸的诸位,对于眼前这个正饱受邪神伤害的平安京,你们想必态度复杂。我不会强迫你们怎么选择。最初来到平安京时,我便在鬼王之宴上告知其他鬼王,我为知晓大岳丸与铃鹿山的真相而来。如今,已是决战时刻,最后的答案就在那里——
鈴鹿御前は遠くの場所を指さした。空にかかる利刃からは、遠方にいる人ですら震え上がる程の力が放たれていた。
铃鹿御前指向远处,悬于天际的利刃散发出的力量,即使相隔如此之远,也令人胆战心惊。
【鈴鹿御前】
「戦いの意義は、生者の心にのみ存在する。あなた達が誰の為に戦おうが私は気にしない、しかし……もしもまだ、昔の主人の事を思うものがいるならば。もしも夜な夜な、汚染される前の故郷を夢見る者がいるならば。もしも他所の地に身を寄せた日々の中で、懐かしい感覚を覚え、過去の行動を振り返った者がいるのなら……今こそ、あなた達が持つ剣を掲げ、この土地で再び戦いの狼煙を上げよう!!海国の民よ、我が力、我が武器となれ!もちろん、私もあなた達に最後の答えを与えよう!!」
战斗意义只存在于生者心中。我无所谓你们为谁而战,但——但倘若仍有人念及旧主,仍有人午夜梦回,忆起未曾污染的故乡。亦或者在寄身他乡的这段时日里,生出过一丝熟稔之感,对曾经所做之事有过半分思考……那么,就举起你们手中的剑,在这片土地上再度战斗吧!!海国的子民啊,成为我的力量与武器吧!相对应的,我也会为你们讨要一个最后的答案!!
雄叫びと共に、鈴鹿御前は目的地に向かって長い刀を振り上げる。巨大な鬼船が突然現れた波に乗って地上に降り立ち、巨大な音が近くにいた蛇魔達の注意を引きつけた。久次良は七人岬と海妖の一団を連れ、鬼船に乗り、陽動のため無数の蛇魔の間を走り抜けた。他の者は鬼船を離れ、鈴鹿御前と共に、陣眼へと向かった。
伴随着应和的战吼,铃鹿御前向着目的地方向举起长刀,巨大的鬼船乘着凭空生出的海浪俯冲向地面,巨大的声响吸引来附近的蛇魔。久次良带领七人岬和一众海妖,乘着鬼船作为诱饵,穿行在无数蛇魔中。其他人则离开鬼船,随铃鹿御前一起,前往阵眼。
【風狸】
「まったく素晴らしい演説だったぜ。」
真是精彩的演说呀。
【鈴鹿御前】
「……素晴らしくなどない。そもそも優秀な指導者であれば、全員の前で演説などする必要はないんだ。「我が力、我が武器となれ」などと恥じらいも無く言い放った私は、きっと後で彼らに笑われるだろう。他に選択肢があれば、私もこんな計画を立てたりはしない……これではまるで、仲間達を捨て駒として扱っているようだ。」
……一点也不精彩。优秀的领导者根本不需要走到阵前演说这一步。什么「成为我的力量与武器」,厚着脸皮说这些话的我,之后肯定会被他们嘲笑吧。如果有其他选择,我都不会这样计划的……这近乎是把同伴们当做弃子了。
【蟹姬】
「よくわからないけど、あなた、まさか久次良の事を馬鹿にしてるの?」
虽然没有听懂,但你刚刚是不是在看不起久次良?
【鈴鹿御前】
「え?」
诶?
【蟹姬】
「強いのは自分だけだなんて思わないで!私達は皆、百戦錬磨なの!それぞれが意思を持って、ここに戦いに来ているのよ。駒であろうと、捨て駒であろうと、それは久次良が望んでやったことよ!」
长尾巴,别以为只有自己天下无敌!我们每个人都是身经百战的!我们都有自己想做的事,所以战斗至此。当棋子还是弃子什么的,那也是久次良他们自愿的!
【風狸】
「そうだそうだ。武器を振り回している人間が武器を哀れに思ったりなんかしたら、武器自身もきっと嬉しくないぜ。あいつら、いや、「俺達」は、お前を信じて自分たちが囮になると決めたんだ。こういう時は、とにかく仲間のことを信じろ。」
就是就是,挥动武器的人自作主张地怜惜武器,反而会惹得武器自己不开心哟。他们,不,应该说「我们」,是信任你,才会将自己放在诱饵的位置上的。这种时候就相信同伴们吧。
【鈴鹿御前】
「あなた達……わかった。まったく、寄ってたかって私に説教を始めるとはな。時間がない、私達も出発しよう。」
你们……嗯。哎呀哎呀,怎么反而让你们开始教育我了?抓紧时间,我们也出发吧——
鈴鹿御前の一行が森を通り抜ける。風狸の事前調査のおかげで、道中多くの蛇魔と遭遇することはなかった。彼らも乱戦には慣れておらず、急いで目的地に近づく必要があった。しかし戦闘は完全に避けられるものではなかった……
铃鹿御前一行人在林间穿行。正因有风狸的提前打探,一路上并没有遇到太多蛇魔。他们也不过多缠斗,抓紧时间向目的地靠近。然而战斗始终无法避免……
【妖怪】
「うわあああ、助けて!!」
呃啊啊啊啊,救命啊——
【蝎女】
「ちっ。早くここを離れて、邪魔しないで。」
嘁。快点离开这里,别碍事。
【蟹姬】
「サソリ、そんな言い方はよくないわよ!」
坏蝎子,怎么会有你这种救人方法啊!
【妖怪】
「あ、あなた達は……」
你、你们是……
【鈴鹿御前】
「この近くは危険だ、あっちの方向に逃げろ。蛇魔を避けながら、音を立てないようにな。」
总之这附近很危险,往那个方向逃吧,记得别发出声响,躲开那些蛇魔。
【妖怪】
「はい!!」
哦哦哦!!
【風狸】
「はあ、一体いつになったら終わるんだ。俺は潜入することと逃げること専門なんだ、正面からの戦闘はどうも苦手だ……」
唉,这什么时候是个头啊。我的专长是潜入和逃跑,不擅长这种正面战斗啊……
【鈴鹿御前】
「少しの間我慢しろ、すぐに終わる……おっと、危ない危ない。」
就先忍耐一下吧,快到了……啊哟,好险好险。
【蝎女】
「主人の戦闘の邪魔はさせない!!」
不许打扰主人战斗!!
【鈴鹿御前】
「私達はもう道半ばまで来ているはずだ。あそこに近づけば近づくほど、不快な気配を強く感じる。蛇魔に咬まれた者は蛇魔になると晴明が言っていた。少しでも攻撃を受けたら終わりだ。くっ。そうこうしているうちに、また新手が……これはもう避けられない。戦うぞ!!」
我们应该走了有一半路了。越靠近那里,越能感受到那股令人不快的气息。晴明说被蛇魔咬到的人也会变成蛇魔,一点都不能受伤。啧,说完又来了一群……没法避开了。上吧——
【風狸】
「いざ!!」
来咯!!
【蝎女】
「主人の邪魔をするな!!」
别挡主人的路——
【鈴鹿御前】
「…………」
襲い掛かってきた蛇魔を倒すと、鈴鹿御前は歩みを止めた。まだ消えていない蛇魔のもとへ向かい、地面に残った残骸を詳しく調べる。
打败袭来的蛇魔后,铃鹿御前没有向前走,而是趁着蛇魔没有消散,仔细地查看地上的遗骸。
【蝎女】
「主人、どうされましたか?」
主人,怎么了?
【鈴鹿御前】
「……これを見ろ。蛇の鱗の下に、さっき私達が救出した者の衣服に似た布がある。どうやら、蛇魔に咬まれて同化しただけではなさそうだ。私の推測が正しければ……陣眼付近に蔓延する妖気のせいだろう。その中に長時間いれば、徐々に蝕まれ、怪物と化してしまう。」
……你看这个。蛇鳞底下有块布,与刚刚我们救下的那家伙衣服布料相似。看来,不仅仅是被蛇魔咬伤后会被同化。如果我没有猜错……应该是阵眼附近弥漫的妖气的缘故。在其中呆的时间久了,就会被侵蚀转化为这种怪物。
【蝎女】
「そんな?!」
什么?!
【鈴鹿御前】
「妖気……霧……水源?風狸、戻って久次良に伝えるんだ。鬼船の航路を変更して、安全な場所で待機し、あまり陣眼に近づかないようにと。これ以上先に進んではいけない。」
妖气……雾霭……水源吗?风狸,回去通知久次良,修改鬼船的航行路线,保持在安全范围内,不要靠太近。你们不能再往前走了。
【蝎女】
「主人……私は昔、あなたが重傷を負うのをこの目で見ました。今回は何があろうと、あなたを一人にはしません!」
主人……我曾目睹您身受重伤,这次无论如何我也不会和您分开了!
【蟹姬】
「尻尾のやつ、あなたまた自分一人でこっそり全部背負おうとしてない?!そんなの蟹姫が許さないわよ!あなたはいつもそう!若様もそうだった!だから蟹姫は決めたの、今度あなたみたいな人に出会ったら、貝槌を使ってでも必ず目を覚まさせるって!蟹姫を甘く見ないで!」
长尾巴,你是不是又想自己一个人悄悄地担下一切?!蟹姬不许!你总这样!以前少主也总是这样!蟹姬之前就已经决定了,下次遇到你们这种独自担下一切的家伙,就用螺螺锤狠狠地敲脑壳!不许看不起蟹姬!
【風狸】
「鈴鹿御前、どうする?」
铃鹿御前,怎么说?
【鈴鹿御前】
「あなた達……まあいいだろう。仕方ないな。やれやれ、どうして鈴鹿山のガキはどいつもこいつもこう頑固なんだ?昔の大嶽丸もそうだった……はいはい、あなた達の言うことを聞こう、それでいいだろう?」
你们……好吧。真是没办法啊。唉,怎么铃鹿山的小孩们都这么粘人呢,以前大岳丸那家伙也是……知道了,知道了,我听你们的还不行吗?
大げさなため息をつくと、鈴鹿御前は蟹姫と蠍女の頭に手を伸ばし、乱暴に撫でまわした。次の瞬間、二人は首の裏を叩かれ意識を失った。倒れそうになった蟹姫と蠍女を、鈴鹿御前が抱き止めた。
铃鹿御前夸张地叹了口气,伸手抚上蟹姬和蝎女的头,胡乱地揉了揉。下一瞬间,她的手探到两人的后颈,轻轻一点,蟹姬和蝎女失去了意识,将要倒下时,被铃鹿御前揽在怀里。
【鈴鹿御前】
「風狸、あとは頼む。」
风狸,麻烦你了。
【風狸】
「久次良を鬼船に残して、俺だけ連れてきたのは、こうなった時のためか。」
你让久次良留在鬼船,却带上了我,就是为了这种时候吧。
【鈴鹿御前】
「彼女達が手伝いたいと思っているのは分かっている。だから同行を断らなかった。しかし……あなたに頼ることになって、すまない。」
我明白她们想要帮忙的决心,所以没有拒绝她们同行的请求,但是……抱歉有些工作只能你来做。
【風狸】
「はは、平気平気。だが、二人背負って逃げるとなると、なかなか大変だ。」
哈哈,没事。哎哟,扛着两个人可不太好逃跑啊。
【鈴鹿御前】
「そこを何とか。逃げることに関して、あなたの右に出る者はいないだろう?」
拜托你了,毕竟你可是最擅长逃跑了,不是吗?
風狸は鈴鹿御前から蟹姫と蠍女を預かり、来た道を戻っていく。途中で振り返り、鈴鹿御前に別を告げた。
风狸从铃鹿御前手中接过蟹姬和蝎女,转向来时的方向。又回过头和铃鹿御前道别。
【風狸】
「そこまで深刻な顔を見るのは久しぶりだ。一人で解決できるよな、鈴鹿山の主?」
很久没见你这么严肃的表情了。你能应对的吧,铃鹿山之主?
【鈴鹿御前】
「もちろんだ。解決できなかったら、一体誰がこの仕事の報酬をあなたに支払う?」
当然。我应对不了,可没人能给你这次工作的酬劳了。
【風狸】
「おいおい、それはだめだぞ!ついでに言っておくが、二人背負って逃げる分の追加料金ももらうからな。」
哎哎哎,那可不行!不仅如此,扛着人逃跑是额外的工作,得加钱。
【鈴鹿御前】
「分かった分かった。全て終わったら、鈴鹿山の宝庫にある宝物を好きなだけ持っていけ。」
加,都可以加结束之后,铃鹿山宝库里的宝物随便你挑。
【風狸】
「よっしゃ!」
好嘞——
風狸は言い終えるやいなや、「サッ」といなくなった。鈴鹿御前は来た方向をしばらく見つめると、再び陣眼に向かって進み始めた。安全な場所まで移動した風狸は、遠くから恐ろしい妖気を放つ陣眼を見て頭を掻いた。
话音未落,风狸的身影「嗖」地消失了。铃鹿御前向来时的方向看了一会儿后,继续向着阵眼方向前进。风狸移动到安全位置后,远远地看向散发着恐怖妖气的阵眼,挠了挠头。
【風狸】
「今気づいたが……鈴鹿山はとっくに沈んだんだった。宝庫なんかどこにあるってんだよ。仕方ない、これは仕事だからな……さっきの話、お前も聞いてただろう。起きてるならもういい加減機嫌を直して自分で歩いてくれ。二人背負うのはきついんだ。」
才想起来铃鹿山早沉了,哪还有什么宝物库啊。算啦算啦,工作嘛~刚刚的话你应该也听到了吧。醒了就别闭着眼生闷气了,快点起来,我扛不了两个人。
【蝎女】
「…………うん。主人……」
…………哦。主人……
【鈴鹿御前】
「これが邪神の力か……押し寄せてくる圧迫感で気分が悪くなる。幸いこの近くの蛇魔はそう多くない。今のうちに進もう……」
这就是邪神的力量吗……这种四面八方涌来的压迫感真让人不舒服。幸好附近的蛇魔不多。赶紧往前走吧——
体はとても小さいが動きの素早い蛇魔が突然草むらの中から飛び出し、鈴鹿御前に襲いかかった。その瞬間、一筋の水流が蛇魔の体を貫いた。鈴鹿御前はこうなると予知していたかのように、助けてくれた人の方を振り向いた。
一条体型格外小但移动速度极快的蛇魔自草丛中窜出,猛地咬向铃鹿御前。电光石火间,一股水流贯穿了那条蛇魔,铃鹿御前似早有预知般,回头看向出手的人。
【鈴鹿御前】
「最後まで姿を隠しているつもりかと思ったが。」
我还以为你要一直偷偷跟在后头,不打算露面呢。
【聆海金鱼姬】
「……とっくに気づいてたの?」
……我早就被你发现了?
【鈴鹿御前】
「そうだな。この森の中にはあまり生き物の気配がない、その分察知しやすくなった。」
算是吧。毕竟,这森林中没什么活物,还是很好感知到的。
【聆海金鱼姬】
「…………」
【鈴鹿御前】
「そんな顔はするな。あなたのことは知っている。金魚姫、かつて荒川に住んでいた妖怪だろう。荒川の主を復活させる方法を探すために海に出たと聞いていたが、もう平安京に戻って来ていたのか。」
别露出这副表情。我知道你的事。你是金鱼姬,是曾经生活在荒川的妖怪。为了寻找复活荒川之主的方法而出海。原来你已经回来平安京了。
【聆海金鱼姬】
「うん。」
嗯。
【鈴鹿御前】
「ずっとついてきていたのなら、さっきの話も聞いていたのだろう。陣眼に近づけば近づくほど危険になる。やっぱりあなたは……まあ、やめておこう。私とて人を説得できる立場ではない。自分の面倒は自分でみることだ。行くぞ。」
既然你一直跟着我们,想必刚刚我的话你也听到了,越靠近阵眼愈发危险,你还是……呃,算了。我没什么立场劝你回去。照顾好自己,一起走吧。
【聆海金鱼姬】
「……わかった。」
……我知道了。
【鈴鹿御前】
「これはなかなか珍しい機会だ。以前からあなたと話したかったが、今まで機会がなかった。私が平安京に戻った時、あなたはもう海に出ていた。その後私も、あの鏡の欠片の浄化の件で忙しかった。この前あなたが戻ってきたが、また面倒なことが起きてしまった。お互いようやく少し落ち着いたかと思ったら、今度はまた邪神が……」
这机会还挺难得的。我以前就想找你聊聊,却总找不到合适的机会。我来平安京的时候你已经出海了,后来我也跑出去净化那个镜子碎片了。如今你回来没多久,又赶上了其他事。好不容易彼此的事都解决了,得了,邪神又来了……
【聆海金鱼姬】
「何を話すつもり?私達、別に話すことなんかないでしょう。」
你想聊什么?我们没什么好聊的吧。
【鈴鹿御前】
「それは違う。既に荒川の住民達から色々聞いてはいるが、こうして直接話す方がお互いをよく理解できるはずだ。恵比寿のじいさんが、あなたは口数の多い子供だったと教えてくれた。成長して静かになったのか?ふん、大嶽丸もそうだった。昔の彼は……」
很多啊。虽然我之前就从荒川的住民那里问到了不少,但肯定还是没有直接聊天能更快了解你。惠比寿老爷子说你以前是个话特别多的孩子,这是长大了就变沉默了?唉,大岳丸也是这样,他以前啊……
【聆海金鱼姬】
「大嶽丸と一緒にしないで!え、ちょっと待って、金魚のじいちゃん?みんなにも会いに行ったの?で、でもあなたは……」
谁要和他相似啊!等、等等,金鱼爷爷?你还去找他们了?你、你可是……
【鈴鹿御前】
「私は海妖であると同時に、海国の一員でもある。でもそれは関係ないだろう。むしろ、だからこそ、彼らに聞かなければならない。」
我是海妖,也是海国的人。但这个不影响吧。倒不如说,正因为我是,所以我要去找他们问。
【聆海金鱼姬】
「…………」
【鈴鹿御前】
「私は頭を使うのが苦手で、すごく頑固なんだ。だからいつもすれ違ってしまう。往々にして、私が現れた時にはもう何もかもが終わってしまっている。私の大切な人達も、知らないうちに変わってしまった。だからできるだけ知りたい。あなたのこと、荒川の主のこと、荒川のこと、そして大嶽丸のことを。」
我啊,不怎么擅长动脑子的事,又容易死心眼,结果总是在错过。经常是我出现了,却发现一切已经结束了。我爱的人们在我不知晓的时候变了许多。所以我想要尽可能多地去了解我错过的那些事—你的事,荒川之主的事,荒川的事,以及大岳丸的事。
【聆海金鱼姬】
「……私の前でその名前を口にしないで。あなたに彼のことを話すつもりもないわ。」
……我不喜欢听到这个名字,也不想和你谈他的事。
【鈴鹿御前】
「ふん、子供みたいに拗ねた表情になっているぞ。あいつがもう少し素直になって、皆で柔軟に話し合うことができれば、全て違った結果になるかもしれない。」
哎呀,露出小孩子一样的表情了呢。要是那家伙也能坦率一点,大家好好聊聊,都不要那么死心眼,说不定一切就会不一样了。
【聆海金鱼姬】
「ちょっと!!!」
你!!!
【鈴鹿御前】
「失礼。あなたを馬鹿にするつもりはない。私は大嶽丸の姉だが、あなたが彼を恨んでいることは理解している。それは忌むべきことではないし、禁じる必要もない。簡単に消えないから、恨みはいつまでも恨みなんだ。あなたの気持ちを、遠慮なく私にぶつけてくれてもいい。」
失礼。我并没有轻视你的意思。虽然我是大岳丸的姐姐,但我理解你对他的敌意。这不是什么不能说的事,不用顾虑那些。仇恨之所以是仇恨,就是因为它们无法轻易消解。你可以直白地对我表达出来。
【聆海金鱼姬】
「そこまで知ってるなら、これ以上話すことはないわ。今の状況はかなり厳しい。でも晴明は荒川の民を戦いに巻き込まないように、私達のことを計画に入れない。それが彼の優しさ。でも私は証明してみせる。他の勢力ほど強くはないけど、荒川の民は自分達の平和な暮らしにしか興味がないような弱いやつらとは違うって。それに、私は私の目的があってここに来たの。そうじゃなきゃ、海妖と共に行動したりなんかしない!……そして、絶対に彼を許さない。」
既然你知道这些,那还有什么可说的。时下情况危急,但晴明顾及荒川子民,不愿让我们被卷入战火,没有将我们纳入他的计划之中。这是他的温柔之处,但我会证明,即使不似其他势力那般强大,荒川子民也并非只顾自己安居的软弱之辈。况且,我来此还有自己的目的。若非如此,我是绝对不会和你们海妖同行的!……也绝对不会原谅他。
【鈴鹿御前】
「もちろん。もし誰かに家族を傷つけられたら、私はその者を地の果てまで追いかけるだろう。でもそれは、私があなたのことを知りたい気持ちとは矛盾しない。」
当然。如果有人伤害了我的家人,天涯海角我也会找到他。但这和我想了解你并不冲突。
【聆海金鱼姬】
「はあ?」
哈?
【鈴鹿御前】
「悲劇はもう起きてしまったが、何も変えられないわけではない。ならばどうする?どうやって過去を上書きする?私は、荒川の主とあなたのことを知ることから始めたい。陣眼に辿り着くまで、まだ少し時間がかかる。霧の中の邪神の力は強くなったが、幸いこの辺りにはあまり蛇魔がいない。海国から来た仇である私に、あなた達のことを教えてくれないか。」
事情已经发生了,但一定存在改变的可能。如何做,如何改变已经发生的一切……眼下,我想从了解荒川之主和你开始。距离阵眼还有一段路,虽然雾气中邪神的力量变得更强了,但好在这附近蛇魔不多。给我这个来自海国的仇人讲讲你们的故事吧。
【聆海金鱼姬】
「…………あなたって、いつもそうなの?」
…………你这人一直是这样吗?
【鈴鹿御前】
「ん?」
嗯嗯?
【聆海金鱼姬】
「なんでもない。……私だけ話すのは、不公平よ。代わりに、あなたの話も教えなさい。以前、旅の途中に鈴鹿山の辺りに行ってみたけど、あそこにはもう何もなかった。」
没什么。……只有我说,不公平。作为交换,你也得讲。我之前的旅行曾经过铃鹿山附近,但那里已经什么也没有了。
【鈴鹿御前】
「ああ、そのことか。話せば長くなる。私から話そうか?では、大嶽丸が出ていったあとの鈴鹿山のことから話すとするか。彼は…………「大嶽丸」という名前を聞いただけで、嫌そうな顔をするのはよせ。まずは話を……」
啊啊,那个啊,可就说来话长了。我先说?那就先从大岳丸离开后的铃鹿山开始说起吧,他啊…………等等,你别听到「大岳丸」就露出这副嫌弃的表情嘛,你先听我说——
鈴鹿御前と聆海金魚姫は肩を並べて陣眼に向かい、出てくる蛇魔を倒しながら、互いのことを話した。過ぎ去った時間、辛さや悲しさを伴う過去も、危険な状況の中では不思議と話しやすくなる。
铃鹿御前和聆海金鱼姬并肩向着阵眼前进,一边击倒沿路的蛇魔,一边讲述着彼此的事。流逝的时光和那些或痛苦或悲伤的过往,在这样险恶的环境中,反而变得更易开口。
【鈴鹿御前】
「……本当に凄まじい力だ。蛇魔を始末する私達が「目隠し」に過ぎないのなら、晴明が倒さねばならないヤマタノロチの本体は……」
……真是惊人的力量。处理这些蛇魔的我们只是「障眼法」的话,晴明要对付的八岐大蛇本体又会是……
【聆海金鱼姬】
「何が何でも、倒さなきゃいけない。行きましょう。」
无论如何也要解决掉它。走吧。
【鈴鹿御前】
「うん。」
嗯。
陣眼の近くに来ると、蛇魔の姿は見えなくなった。代わりに、陣眼に巣食う巨大な蛇魔が力そのものを体現している。山の中にある他の陣眼とは違って、この陣眼は泉の中にある。蛇魔は水と共に生き、水から力を汲み取っている。
临近阵眼,已经没有徘徊的小蛇魔了,因为盘踞在阵眼中的巨大蛇魔已经昭示着力量本身。不同于其他开在山中的阵眼,这个阵眼坐落于一口山泉的泉眼中。蛇魔依水而生,从水中汲取力量。
【聆海金鱼姬】
「水……?そういうことか。陣眼に近づいただけでも侵食されるのは、陣眼が泉の中にあるから。邪神の力が水霧となって広がっていく。蛇魔は湧き続ける水の中から力を汲み取る。そして各地に流れていく泉の水は……」
水……?原来如此。仅是靠近阵眼就会被侵蚀,是因为阵眼本身就在泉眼中。邪神的力量化作水雾弥散开来。蛇魔还可以通过源源不断的泉水得到增益。而流向各处的泉水……
【鈴鹿御前】
「彼の妖力を遠くに運んでいく。地下深くに潜った妖力は、土地の奥まで侵食していく。道理で蛇魔を退治しても妖気が消えないわけだ……泉の水が流れている場所は、悉く蛇魔の巣窟になってしまった。晴明がこっちを海国に任せたのは、これが理由か?」
又会将它的妖力带向远方,汇入地下,更深地侵入于土地之中。怪不得即使消灭蛇魔,弥漫各处的妖气也不会散开——泉水流经的地方,都已经是蛇魔的巢穴了。这就是晴明为何要我们海国走这边吗?
【聆海金鱼姬】
「……ここに来てよかった。もし蛇魔をこのまま放っておけば、広がり続ける汚染はいつか必ず荒川にもやってくる。」
……来对了。倘若放任蛇魔生长,蔓延开来的污染一定会危及荒川。
【鈴鹿御前】
「いつまでも遠くから観察しているわけにはいかない。行くよ。やつはきっと他の能力も隠し持っている。金魚ちゃん、気をつけて。」
也不能一直停留在远处观察。直接上吧。它一定还有其他的能力,小金鱼,注意些。
【聆海金鱼姬】
「???そんな風に呼ばれるほど親しくなった覚えはないけど……」
???我们关系还没有这么好——
【鈴鹿御前】
「はいはい。行くぞ!!」
是是是——走了!!
二人は巨大な蛇魔に向かって突き進む。蛇魔は既に彼女達に気づいたようだ。周りの妖気がますます濃くなり、二人の視界を遮る。
两人飞快地冲向巨大的蛇魔,而蛇魔似乎已有察觉,周围弥漫的妖气变得愈发浓厚,模糊了两人的视线。
【聆海金鱼姬】
「この霧……やっぱり!ねえ!これがあの……海鳴の能力かもしれない!恐怖の記憶の幻を作り出して、人を混乱させ……うっ!頭が痛い……」
这迷雾……果然!喂!这可能就是我之前讲过的——那个海鸣的能力!可能就是通过幻化出最令人恐惧的回忆,来扰乱……呃啊!头好痛……
【鈴鹿御前】
「気をつけろ!!忘れるな……!!」
小心——你要记得——!!
蛇魔が巣食う泉から濁った水が噴き出し、霧が壊すことのできない壁となって二人を囲む。二人はそれぞれ脱出の困難な幻の中に閉じ込められた。
蛇魔盘踞的泉眼涌出混浊的泉水,雾气构筑成无法摧毁的墙,围住两人,她们各自被拉进难以挣脱的回忆幻境之中。
【聆海金鱼姬】
「ゴホゴホ……ここは……水の中だ。ここは、荒川?…………!!!!!」
咳咳咳咳……这是……在水里。这里是荒川?…………!!!!!
金魚姫は自身の居場所を確かめるよりも先に、背後に異変を感じた。幻境のせいで、体を動かそうとしても動けなかった。噴き出した赤い液体が濁った川の中に落ちると、誰かの傷だらけの体が水底に沈んでいく。金魚姫は手を伸ばそうとするが、その体が暗闇の中に沈んでいく光景を見ていることしかできない……それは彼女が自分の目で見たことはないが、悪夢の中で何度も見た光景だった。
金鱼姬没来得及确认自己的所在,就察觉到身后有异动。她想要拖动身体,却被幻境限制,难以动弹。赤红溅出,又落入早已不再清澈的河水,接着是满身伤痕的身躯径直倒下。金鱼姬伸出手想去拉,却只能看着那身躯沉入漆黑的深海——这是她不曾亲眼目睹,却无数次出现在噩梦中的画面。
【聆海金鱼姬】
「…………これは……」
…………这是……
刃が何かを切り裂く音がした。金魚姫が見上げると、化け物のような金色の目が、赤く染まった水の向こうから、じっと彼女を睨んでいた。雷をまとった岩石が落ちてきて、彼女は思わず頭を抱え込んだ。しかし次の瞬間、さっきの体が彼女の目の前に再び現れた。
刀刃划过的声音响起,金鱼姬抬起头,只见到一双金色的眼睛宛若鬼魅,略过染红的海潮,死死地盯着她。带着电光的坚石坠下,她下意识地抱住头。却发现又是相同的身躯挡在了她面前。
【聆海金鱼姬】
「これは……繰り返してるの?…………反吐が出る!(いけない、早く「あれ」を見つけないと……向き合いたくなくても、やらなきゃ……)」
这是在……不断重复?…………令人作呕!(不行,得尽快找到「那个」,不然的话……即使再不想面对,我也得——)
金魚姫は頭を上げると、幻境の中の状況を見つめ、可能な限り周囲を観察した。英雄の幻は刃に貫かれるたびに海に落ち、そして再び現れる。それがひたすら繰り返される。
金鱼姬抬起头,强迫自己注视眼前幻境中发生的一切,尽可能多地观察四周。英雄的幻影一次次被刀刃贯穿、落入深海,又一次次地出现。循环往复。
【聆海金鱼姬】
「…………くっ、この……」
………可恶,可恶……
彼女は幻境に抗い、よろめきながら、金色の目の幻に向かって歩き出した。彼女の傍では、分かりきった結末が繰り返されている。幻に過ぎないと知っていても、彼女の目は段々と赤くなった。
她顶着幻境的桎梏,摇晃着站起身,开始向着幻境中那金瞳的幻影走去。她的身边,早已尘埃落定的结局不断重现。明知眼前是创造出的幻境,但还是硬生生瞪红了眼。
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「ほう?お前に何ができる?とっくに己の無力さを受け入れたのだと思っていたが。お前には何もできない。」
哦?你又能做些什么呢?还以为,你早已接受自己的无能为力了。你什么都做不到。
いつしか、金色の目をした下手人がよろめく金魚姫に目を向けた。彼は八尺瓊玉剣を構え、自身の背後の無数の死体を指した。死体の顔はどれも懐かしく、そして同時に長い間会っていないせいで少し馴染みのないものだった。それは幻境が作り出した、彼女が最も恐れる光景だ。
不知何时起,金瞳的凶手将目光转向踉跄的金鱼姬,他用八尺琼玉剑指着自己身后的无数遗体。那些遗体的面孔她无比熟悉,又因太久未见而有些陌生是幻境创造出的,她心底最恐惧的画面。
【蛇魔の幻(金魚姫)】
「ここに残り、頭を抱えて泣く子供で居続けるほうがずっと楽だろう?なぜそこまで無理をする?なにも知らずにいたほうが、ずっと気楽だろう?目を閉じれば、全て終わる。もう進まなくてもいい。強い妖怪ならもう何人もいる……お前の存在は必要ない!!」
就留在这里,继续当个抱头痛哭的小孩子不好吗?为什么要这么累?如果一直什么都不知道,不是更开心吗?只要闭上眼睛,一切就都结束了,你不用再往前走了。这里有那么多强大的妖怪——又不是非你不可!!
金魚姫は進み続ける。
金鱼姬向前走着。
【蛇魔の幻(恵比寿)】
「お前のせいだろう。お前がいなければ、荒川は英雄を失わずに済んだ。今更、どの面下げて帰るつもりだ?皆適当にお前をおだてただけだ。まさか本当に英雄になったつもりか?笑えるな!」
是小金鱼你的错吧,如果不是你,荒川也不会失去英雄啊。事到如今,怎么还会有脸回到这里呢?大家随便恭维你几句,你居然真的把自己当做英雄了啊?真是可笑啊!
金魚姫は前に進み続ける。
金鱼姬继续向前走着。
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「お前は恵まれ、甘やかされて育ったガキにすぎない。目の前の景色を見ろ。自分だけが生き残り、新しい英雄になれると、密かに喜んでいるのではないか?お前の僥倖の礎にされたものを、しかと見たのか?彼を復活させる方法を探している?逃げているだけだろう!!!お前は誰を救った?お前は何も変えられない。」
你不过是个受到上天眷顾的、被宠坏的小孩罢了。看着眼前的一切,你是不是心底在庆幸自己能活下来,觉得成为新的英雄而开心了?你的好运下埋着什么,你敢睁眼看吗?说是在寻找复活他的方法?你只是在逃避吧!!!你救下了谁?你什么也无法改变。
金魚姫はふらふらと、幻境の中の大嶽丸に向かって歩いていく。叱責、罵り、号泣、嘆き……幻境中に響き渡る無数の声は、岩石となって容赦なく金魚姫の背中を痛めつける。
金鱼姬摇摇晃晃地向幻境中的大岳丸走去。斥责,咒骂,嚎哭,叹息……无数声音回荡在幻境之中,又化作坚石狠狠地砸在金鱼姬的脊背上。
【聆海金鱼姬】
「私は……一度逃げた……今でも、私はあなたを恨んでいる……そして恐れている!だからあなたは、この幻境に現れた。でも……!!」
我曾经……逃走了……直到现在,我恨着……也害怕着你!所以你才会出现在这个幻境中。但是——!!
岩礁が彼女の足を縛る足かせになったが、次の瞬間押し寄せる波によって打ち砕かれた。聆海金魚姫は波に乗り、蛇魔の幻に飛びかかる。数多の幻が波に押し潰され、無数の蛇の鱗をまき散らした。
海礁化作枷锁束缚住她的双腿,却被涌起的海浪击碎。聆海金鱼姬伴着涌起的海浪,向着蛇魔的幻影冲去。海浪将一个个幻影击碎,留下满地的蛇鳞。
【聆海金鱼姬】
「もう少し……あと少し……」
差一点……还差一点……
あと数歩というところで、彼女は完全に力尽き、波も消え始めた。
就差最后几步时,她已经彻底力竭,凝聚的海浪也开始消散。
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「これで終わりか?よく吠えたな……実にくだらない。お前は、結局幻境から抜け出すことすらできなかった。これでは俺を倒し、運命を変えることなど夢のまた夢だ。」
结束了?真是无聊……说得好听,可你甚至没办法从幻境里挣脱。又何谈击败我、击败命运呢?
岩石が少しずつ金魚姫の体を覆い、彼女をその場に囚えた。再び幻が現れ、金魚姫の目の前で、何度も繰り返された悲劇が再び始まった。彼女は震えながら刃を振りかざしたが、それ以上進むことも、金色の目を持つ幻に傷を負わせることも叶わなかった。
坚石逐渐爬满金鱼姬的身体,将她钉在原地。幻影再一次显现,就在金鱼姬的眼前,重复许多遍的悲剧又一次发生。她向前挥出的刀刃不住抖动着,却无法再向前亦无法伤及金瞳幻影分毫。
【聆海金鱼姬】
「あ、あと少し……!!!!」
还、还差一点……!!!!
背後から温かさが伝わる。誰かが後ろから彼女を押していた……それは倒れる間際の、まだ消えていない荒川の主の幻だった。
身后传来温暖的触感,有人从她身侧向前推了她一把——是一个正向后倒下即将沉入海中、尚未消散的荒川之主幻影。
【驍浪荒川の主】
「先に進め。行け、行って、荒川の新しい英雄になれ。」
「再向前走一步。去吧,去成为荒川的,新的英雄。」
金魚姫がその手に握った武器で蛇魔を刺すと、世界が砕ける音が響いた。記憶の幻境が見せる幻は、満足気に小さくため息をついたあと、これまでと同じように、倒れていく。しかし海中に落ちる寸前、誰かが彼の手を掴んだ。
金鱼姬将手中的武器刺向蛇魔的幻影,世界裂开的声音响起。由记忆幻境呈现出的幻象轻轻呼出欣慰的叹息,如无数次那般向后倒下,却在彻底落入海水的瞬间,被谁抓住了手。
【聆海金鱼姬】
「……でも。私はもう悪夢を恐れない、悪夢の結末はこの手で変えてみせる。それに、今の私はもう一人じゃない!」
——但是。我早已不害怕噩梦了,因为我会亲手改变噩梦的结局。况且此时,我也不是自己一个人!
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「なんだ……!これは……ぐあああ!!」
什么——!这是——啊啊啊啊!!
蛇魔の幻を切り裂いた鎌が、形を変えた。さっき金魚姫が持っていたのは自分の武器ではなく、鈴鹿御前の小通連だった。鋭い刃が海を切り裂き、雨の如く弓矢が降り注ぐ。鈴鹿御前が海の中から飛び出すと同時に、金魚姫は荒川の主の幻を連れて、海の中に沈んだ。陣眼に向かう途中で、鈴鹿御前と金魚姫はヤマタノロチと海鳴に関する情報を交換していた。
那仅仅划破蛇魔幻象的镰刃外形改变——金鱼姬刚刚手中拿着的并非自己的武器,而是铃鹿御前的小通连。锋利的剑刃破开海水,万千箭雨随之降临。铃鹿御前自海中跃出,金鱼姬则拉着荒川之主的幻影,一同坠入深海。在铃鹿御前和金鱼姬向着阵眼前进的途中,她们曾彼此交换了关于八岐大蛇和海鸣的情报。
【鈴鹿御前】
「「心魔幻境」……確かに、私はある方法を通じて大江山での大嶽丸の戦いを垣間見た。その時、海鳴がその術を使ったのも見た。昔の彼はそんな術は使えなかった。大方、ヤマタノロチの力を借りて習得したのだろう。」
「心魔幻境」……确实,我曾通过某些方法重新目睹了大岳丸当时在大江山的战斗,也见过海鸣施展这个法术。他以前并不会这个。想必是借助八岐大蛇的力量习得的。
【聆海金鱼姬】
「私はあの幻境を経験したことがないから、詳しいことは知らない。」
我没有体验过那个幻境,不知道究竟如何。
【鈴鹿御前】
「厄介なことに、蛇魔は妖気の中に留まる者を侵食し、蛇魔に変える力を持つことが判明した以上……幻境の中に留まることすら、とても危険だ。」
糟糕的是,既然蛇魔可以侵蚀置身于妖气之中的存在,将其同化成蛇魔……那么在幻境中停留这件事本身就无比危险。
【聆海金鱼姬】
「幻境に打ち勝つだけじゃなくて、できるだけ早く抜け出さなきゃいけないの?」
不仅要战胜,还要尽可能快地从中挣脱出来?
【鈴鹿御前】
「そうだ。敵からすれば、私達を完璧に閉じ込める必要はない。できるだけ時間を稼げばそれでいいと考えているだろう。例え蛇魔の幻境が私達の精神を崩壊させることに失敗しても、囮の鬼船を壊して大量の蛇魔を呼び集め、私達を襲わせることはできる。「己に打ち勝つ」か?これはもう、武力や策略で解決できるものではないな。」
没错。敌人并不需要把我们彻底困住,尽可能地拖延时间就足够了。即使蛇魔的幻境没能彻底击垮我们的心智,也足够它在击毁作为诱饵的鬼船后,操控大量蛇魔涌来围攻我们了。「战胜自己的内心」吗?唉,这可不是武力或计策可以应对的东西啊。
【聆海金鱼姬】
「もし……もしもの話だけど、私達が交換したら?」
如果……我是说如果,我们能交换呢?
【鈴鹿御前】
「交換?つまり……」
交换?你是说……
【聆海金鱼姬】
「蛇魔が私達を閉じ込めるための幻境を作るとすれば、それぞれ違う二つの幻境を作るはず。私達が最も恐れることに基づいて作られた幻境なら、例え見破ることができても、すぐには解決できない。でもお互い、相手に任せることができたら……」
如果我们遇到的蛇魔试图创造出幻境将我们困住,那我们两人的幻境肯定是不一样的。基于我们心底最恐惧之事所创造出的幻境,即使看穿,也肯定无法第一时间解决。但如果交给彼此,就可以……
【鈴鹿御前】
「なるほど。いい考えだ!」
原来如此。是个方法!
【聆海金鱼姬】
「でも問題は、どうやって二つの幻境を繋げる「要」を見つけるか、どうやって幻境を構築する本体を見出すか、そして…」
可问题的关键就在于如何找到链接幻境的那个「点」,从而找到构筑幻境的本体,以及……
【鈴鹿御前】
「私達が本当に互いを信じているかどうか、だな。」
以及是否信任彼此,对吧。
【聆海金鱼姬】
「……うん。」
……嗯。
【鈴鹿御前】
「うむ、そうだな……金魚ちゃん、この矢を。この矢は私の刀と共鳴するから、あなたの居場所を感知できる。そっち側から、幻境を繋げる「要」を見つけ出してくれ。私は幻境を通り抜け、あなたを見つける。これで互いの担当は決まった。」
呃,我想想……小金鱼,这支箭你拿着。它会与我手中的刀共鸣,我用这个来感知你的位置。你负责从你那一侧找到链接幻境的「点」,我来打通幻境,找到你。分工明确~
【聆海金鱼姬】
「そんなに簡単じゃないでしょう。もし私がその「要」を見つけられなかったり、わざと幻境の中に留まったりしたら………あなたもずっと幻境から出られない。」
哪有说得那么简单。如果我没能成功找到那个点,或者故意停留……你也会一直困在幻境中。
【鈴鹿御前】
「そうだ。」
是啊。
【聆海金鱼姬】
「そこまで私を信用してるの?私は……私はあなた達海妖を恨んでいて、全員いなくなればいいって思ってるのに。」
就这么信任我吗?我可是、我可是恨着你们海妖,恨不得你们全部消失的啊。
【鈴鹿御前】
「本当に?あなたはそんなことはしないだろう。あなたは荒川の主が認めた子。そして荒川の主は、大嶽丸が認めた親友だ。大嶽丸は、私の弟なんだ……彼は人を見る目がある。きっと荒川の主も、そして私も。」
是吗?可我猜你不会这么做。你可是那位荒川之主所认可的孩子,而荒川之主又是大岳丸所认可的挚友。大岳丸呢,是我的弟弟——他不会看错人,想必荒川之主也不会,所以我也不会。
【聆海金鱼姬】
「……めちゃくちゃな理屈。」
……这是什么逻辑啊。
【鈴鹿御前】
「まあ、とにかくそんなに緊張するな。後は出たとこ勝負だ。」
好啦,别这么紧张。剩下的走一步看一步吧。
小通連を金魚姫に渡した鈴鹿御前は、手を伸ばして彼女の頭を撫で回すと、再び陣眼に向かって進み始めた。
铃鹿御前将小通连交给金鱼姬,又伸手乱揉了揉她的头,转身继续向着阵眼行进。
【鈴鹿御前】
「それにしても流石だな、こんなに早く対策を思いつくとは。私の命は、あなたに預ける。」
不过你还真厉害啊,这么快就想出了应对方法。我的性命,交给你咯。
【聆海金鱼姬】
「………………ないで……」
…………不……
【鈴鹿御前】
「ん?」
嗯?
【聆海金鱼姬】
「頭を撫でないで。そこまで親しい仲じゃないし……それに、背が伸びなくなる。」
不许摸我的头,我们还没那么熟……而且,会长不高的。
鈴鹿御前はしばらく呆気にとられてから、「ぷっ」と声に出して笑った。
铃鹿御前愣在原地,过一会儿又「噗」地笑出声。
【聆海金鱼姬】
「……何がおかしいの!」
……你笑什么!
【鈴鹿御前】
「別に、ははは、面白いことを思い出しただけだ。」
我、哈哈哈哈,我想起有趣的事情。
【聆海金鱼姬】
「面白いことって?」
什么有趣的事情?
【鈴鹿御前】
「なんでもない。はは……彼が頭を撫でられるのを嫌がるのは、そういうことか?」
没什么。哈……原来,就因为这个他才不让我摸他的头吗?
【聆海金鱼姬】
「彼?誰?何の話?」
他?谁?什么?
【鈴鹿御前】
「なんでもない。そうだ、幻境を繋げる「要」について、どう思う?」
没什么。对了,关于连通幻境的那个「点」,你有什么想法吗?
【聆海金鱼姬】
「うーん……私達の記憶に存在する共通点、そして私達が恐れていることの中心人物……それはきっと……」
唔……共同存在于你和我记忆中的,又是我们所恐惧之事的主角……那一定是——
【鈴鹿御前】
「大嶽丸。」
大岳丸。
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「…………鈴鹿御前……」
…………铃鹿御前……
【鈴鹿御前】
「さっき私を閉じ込めた幻境の中で、既に疑問が浮かんだが。試してみたところ、こっちも普通に会話できるようだな。」
刚刚在我自己的那个幻境里就在怀疑了。试了一下,原来这边的也可以交谈。
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「……それがどうした。俺は彼ではない。」
……是又如何。我不是他。
【鈴鹿御前】
「あなたは記憶から生まれた幻、幻境に依存する虚像。しかし大嶽丸の幻である以上、私の弟のようなものだ。……大きくなったあなたをこの目で見ることはできなかったが、いくらか背が伸びていたようだ。」
你是诞生于记忆中的幻影,依托于幻境而诞生的假象。但既然是大岳丸的幻影,那就算我半个弟弟吧。嗯……我没亲眼见过这个年纪的你,看来还是长高了些的。
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「…………せっかくの「再会」だが、その程度の感想しかないのか?」
…………难得的「再会」,你就说这些吗?
【鈴鹿御前】
「別にいいだろう。どうせ最後には、あなたも、蛇魔も私に倒されるんだ。人を惑わす蛇魔が作り出した幻に過ぎないとはいえ、その顔をした者を倒すのは流石に気が引けるな。」
无所谓吧,反正我会把你连同你背后的蛇魔都打倒。虽然知道你是玩弄人心的蛇魔创造出的幻影,但顶着这张脸,还真有点下不去手呀。
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「ほざけ。「私」が油断した隙をついて互いの幻境を交換したのか、まったく予想外だ。」
口气不小。是「我」没能预料到你们会寻得机会交换彼此的幻境。
【鈴鹿御前】
「あの子の考えだ。おそらく……おそらく、彼女が成長した時から、あの日起きた全てはいつも彼女の脳内で再現され続けているのだろう。あなたは他の子に、深い心の傷を負わせた。」
主要是那孩子的主意。我想……大概从她长大的那个瞬间开始,那一天发生的一切就不断在她脑海中重现吧。你可真是给别的孩子带来不小的心理阴影啊。
【蛇魔の幻(大嶽丸)】
「俺のせいではないと言いたいところだが、俺が彼女の記憶から生まれた幻であることを踏まえると、俺のせいなのだろう。だが、お前は規則を破った。ならば俺も、お前を幻境に閉じ込めるまでだ。」
我想说这不是我的错,但既然我是从她记忆中生出的幻影,似乎确实是我的错。但现在,你把游戏规则打破了。我也只能将你彻底困这个幻境中了。
【鈴鹿御前】
「久しぶりの手合わせか?かかってこい。だが……私がここに閉じ込められることなど、ありえない。悪夢を見ている時に、その外にある現実に気づくと、それがどれほど恐ろしい悪夢でも人は怖がらなくなる。本当の大嶽丸は、現実の世界で私の帰りを待っている!」
久违的切磋吗?放马过来。不过……留在这里是不可能的。如果在做噩梦的时候知道虚幻之外有现实存在,那再恐怖的噩梦也没有丝毫的威胁。毕竟真正的大岳丸,还在现实之中等着我呢!
数百年越しの「手合わせ」が、赤く濁った海面の上で始まった。幻境の侵入者と幻境が生み出した幻は、陣眼を確保する計画も、侵入者を始末しろという命令も忘れ、無我夢中で戦った。二人の戦いに比べれば、それらは取るに足りないことだった。金魚姫は幻の透けていく手を掴み、共に漆黒の深海の中に沈んだ。頭上の光が遠ざかり、彼女は自分が鈴鹿御前の幻境の中に入ったことに気がついた。巨大な円形の結界が現れた。金魚姫が近づくと、その中に浮かぶ人影が目に入った。
跨越几百年的「切磋」,在鲜红污浊的海面上开始了。压制阵眼的计划?消灭入侵者的命令?幻境的入侵者与幻境构筑的幻影都抛却了这些,与两人久违的战斗相比,都不那么重要了。金鱼姬拉着幻影已经逐渐变得模糊的手,一同沉入漆黑的深海。头顶的光越来越远,她意识到自己已经进入铃鹿御前的幻境中。巨大的圆形结界出现在眼前,金鱼姬靠近,看到那圆形结界之中漂浮着的身影。
【聆海金鱼姬】
「……大嶽丸。」
……大岳丸。
【蛇魔の幻(麓銘大嶽丸)】
「来たか。随分早かったな。」
来了。还挺快。
【聆海金鱼姬】
「ど、どういうこと?あなたは蛇魔が作り出した幻じゃないの?どうして……」
什、什么?你不是蛇魔创造出的幻影吗?为什么……
【蛇魔の幻(麓銘大嶽丸)】
「ここにいる俺は、鈴鹿御前の記憶が生み出した幻だ。邪神の力に操られ、お前達を幻境に閉じ込めるためだけに存在している。だがそれがどうした?邪神の力に侵され、刻一刻と「自我」が曖昧になっていく。それは本来の俺のあり方とさほど変わらない。とっくに慣れた。」
这里的我,确实是诞生于铃鹿御前记忆的幻影,受控于邪神的力量,只为将你们困入幻境而存在。但这又如何?这种被邪神力量侵蚀,「自我」时刻都在被模糊的状态,和我本来存在的方式也没有相差很多。早习惯了。
【聆海金鱼姬】
「「あり方」?鈴鹿御前の幻境は一体……」
「存在的方式」?铃鹿御前的幻境到底是……
それを言い終える前に、目の前の結界が変化した。崩れた鈴鹿山と共に結界の中に閉じ込められている悪霊達が騒ぎ出し、結界を突き破ろうと試みる。形を持つ岩石は粉々に砕け、結界に亀裂が入る。悪霊が互いを喰らい合う中、大嶽丸も体もずたずたになった。
话音未落,眼前的结界出现了变化。与破碎的铃鹿山一同困在结界中的恶灵们开始躁动,他们冲撞着结界。有形的岩石化作齑粉,结界出现裂痕,恶灵彼此吞噬纠缠着,连同大岳丸凝聚成型的身体一同撕碎。
【聆海金鱼姬】
「…………」
【蛇魔の幻(麓銘大嶽丸)】
「おそらく、彼女の幻境は「大嶽丸の魂の残滓が終わりなき苦痛に陥る」というものだろう。さあ、急いでるんじゃねえのか?早く目の前の幻を、跡形もなく消し去れ。」
大概她的幻境是「大岳丸残存的灵魂陷入永无终止的折磨」吧。好了,你们不是赶时间吗?快点消灭掉眼前的幻影吧。
【聆海金鱼姬】
「お前!……彼女が幻境を突破できるように協力したの?」
你!……是你助她打通的幻境?
【蛇魔の幻(麓銘大嶽丸)】
「ああ。大方幻境に閉じ込められるよりも先に、彼女は己を待ち構えているものを見抜いていたはずだ。ふん、俺は敵が作り出した幻だというのに、いきなりもう一つの幻境を繋げるようにと命令されたんだ。まったく、どういう思考回路をしていればそうなるんだ。」
是啊。她大概在被拉入幻境之前,就知道自己会面对什么吧。哈,明明我是敌人创造出来的幻影,却一上来就命令我快点打通另一个幻境。真不知道她到底都在想些什么。
【聆海金鱼姬】
「……あなたは彼女を助けた。」
……你也确实帮了她。
【蛇魔の幻(麓銘大嶽丸)】
「彼女はいつも大嶽丸の「姉」だと名乗っている。だから大嶽丸の幻である俺も、彼女の突拍子もない考えにはとっくに慣れてるんだろうな。早くこの幻境を終わらせ、中途半端な幻の俺を苦痛から解放してやりたい……彼女はそう考えているはずだ。しかしお前は……お喋りするために来たわけじゃねえよな。」
她总是自称大岳丸的「姐姐」,那不论是大岳丸的幻影还是什么别的存在,估计都习惯应付她各种心血来潮的想法了。快点结束这个幻境,让我这个半吊子的幻影从折磨和痛苦里解脱——大概她是如此想的吧。至于你……你来这里,不是为闲聊吧。
円形の結界の中にいる不完全な幻は濁った海水越しに、金魚姫の傍の、同じく消えかけている幻に目を向ける。
圆形结界中破碎的幻影透过有些污浊的海水,看向金鱼姬身后的另一个同样近乎消散的幻影。
【聆海金鱼姬】
「……ここにくる途中、鈴鹿御前に無理矢理あなたのことをたくさん聞かされた。私の記憶や想像の中に存在するあなたは、ずっと残虐非道な悪鬼のまま。あなただって……あなただって心があって、家族を大切にしているのに、どうして?!!どうして相手の家族のことを考えずに、容赦なく人を殺せるの?!こんなに惨めな姿に成り下がったのに、どうして悟ったかのように振る舞ってるの?どうして……あなたによって命を奪われた人達……彼らだって生きていたかった……彼らだって……」
……在来的路上,我被迫听铃鹿御前讲了许多你的事。你在我的记忆和想象里从来都是一个毫无人性的恶鬼。既然……既然你也是个拥有感情,珍视家人的家伙,那为什么!!!为什么不能在痛下狠手时想到他们的家人?!如今落到这副模样,反而豁达了?反而在——那些倒在你刀下的人——他们也想好好活着——他们——
ずっと黙っていたもう一つの幻が手を伸ばし、結界に飛び掛かろうとした金魚姫を止め、頭を横に振った。目を赤くした彼女がこぼした涙は海水に紛れて消えた。彼女は昔のように、普通の女の子のように泣いた。水底の結界の中に閉じ込められ、繰り返し悪霊に喰われる大嶽丸を見て、今までの様々な感情が一気に込み上げてきた。それが果たして怒りなのか、それとも悲しみなのかは彼女にも分からなかった。
一直沉默的另一个幻影伸手拉住了想要冲向眼前结界的金鱼姬,冲她摇摇头。她眼睛通红,泪水已经融入混浊的海水中,难以辨认。她像曾经的自己、像个普通的小女孩那样哭着。长久以来的种种情绪在目睹困在水底结界、被恶灵反复撕碎的大岳丸后爆发,而她自己都不知道究竟在愤怒或是在难过什么。
【蛇魔の幻(麓銘大嶽丸)】
「俺は本当の大嶽丸の代わりに返事をしたりはしない。その言葉は、生きてここを出てから、直接彼に言え。」
我不会替真正的大岳丸对你说什么。这些话,等你活着离开这里,再亲自去对他说吧。
【聆海金鱼姬】
「…………私に指図しないで!」
…………少命令我——
深海より集いし水流は、鋭い刃となり、円形の結界を切り裂き、幻の胸を、そして同時に幻の下に潜む蛇魔をも貫いた。
清流自深海中凝聚,汇成锋利的剑刃,划破圆形结界,穿透胸膛,也一并贯穿了潜伏于幻影之下的蛇魔。
【蛇魔の幻(麓銘大嶽丸)】
「仇を討った気分は、どうだ?」
手刃仇人,感觉怎么样。
【聆海金鱼姬】
「最悪。」
糟糕透了。
深海の下の幻境が崩れ始めた。一方、鈴鹿御前も無事に蛇魔を倒した。見えない力によって、金魚姫は海底から追い出された。目を赤くした彼女が最後に海底を振り返ると、二つの消えそうな幻も彼女を見上げていた。
深海之下的幻境开始破碎,另一边的铃鹿御前也成功击倒了蛇魔。一股无形的力量将金鱼姬拽离海底。她瞪着红肿的眼睛最后回望海底,看到两个模糊的幻影正在一同抬头看着她。
【聆海金鱼姬】
「……さようなら。もう少し待ってて。あなたが言った通り、あと少しだから。もうすぐ会えるから。」
……再见。请再等等我吧。就如你所说的,就差最后一步了。我们很快会再见的。
【鈴鹿御前】
「起きて、金魚ちゃん、起きて……」
醒醒,小金鱼,醒醒——
【聆海金鱼姬】
「……痛っ。」
……疼。
【鈴鹿御前】
「起きたか?大丈夫か?」
你醒了?没事吧。
【聆海金鱼姬】
「ここは……私達、幻境から脱出できたの?」
这是……我们从幻境里出来了?
【鈴鹿御前】
「ああ。陣眼に巣食っていた蛇魔も消えた。」
嗯。而且盘踞在这个阵眼的蛇魔也已经消散了。
鈴鹿御前が指差した泉には、まぶしい光を放つ巨剣だけが残っていた。泉は既に浄化され、周囲の霧も消えかけている。
铃鹿御前指向泉眼,那里只剩下一柄无比耀眼的巨剑。泉水恢复清澈,周围的雾气也开始逐渐消散。
【鈴鹿御前】
「大丈夫か?合図を出しておいたから、仲間達がすぐ来るはずだ。とりあえずあそこまで移動するぞ。」
你还好吧?我发了信号,一会儿我的同伴们就会过来。我们先往那边走吧。
【聆海金鱼姬】
「大丈夫……」
我没事……
金魚姫の赤いままの目を見て、鈴鹿御前はため息をついた。彼女の頭に手を伸ばそうとしたが、途中で何かを思い出し、やめた。
铃鹿御前瞅了瞅金鱼姬依旧通红的眼睛,叹了口气,伸手想揉她脑袋,又想起什么,作罢。
【鈴鹿御前】
「彼に会ったか?」
你见到他了?
鈴鹿御前は誰とは言わなかったが、金魚姫は知っている。それは水底の結界に閉じ込められ、苦痛に苛まれ続けている大嶽丸のことだ。
铃鹿御前并没有明说,但金鱼姬知道她指的是那个困在水下结界、不断经受折磨的大岳丸。
【聆海金鱼姬】
「うん……私……私、あいつに会った時のことを何度も想像した。もっと怒って、もっと激しい感情が湧いて、あの偽りの幻を容赦なくぶっ潰すかと思ってた。でも私はそうしなかった。さっき幻境の中で見たことを思い返すと、私……」
嗯……我……我想象过很多次见到那家伙时的情形,我以为我会更生气,会带着愤怒,狠狠地碾碎那个假的影子。可我没有。现在想想刚刚在幻境中见到的一切,我……
【鈴鹿御前】
「目が覚めてから、見ていた悪夢を怖いと思うことは珍しくない。だがいつまでも悪夢に気を取られていては、目の前の現実が見えなくなる。」
噩梦醒来后会觉得后怕很正常,但如果一直沉浸在噩梦里,反而无法看清眼前的现实世界了。
【聆海金鱼姬】
「知ってる、だから少し怒ってるの。たぶん自分に怒ってるんじゃないかな。」
我知道,所以我有些不爽。大概是在生自己的气吧。
【鈴鹿御前】
「あれ?」
啊?
【聆海金鱼姬】
「やっぱり私はまだまだ弱い。あなた達みたいに冷静に全てと向き合える強さは持ってない。」
果然我还是太弱小了,永远没办法像你们这些强大的家伙一样,冷静地面对一切。
【鈴鹿御前】
「そんなこと。」
怎么会。
少し迷ったあと、鈴鹿御前は手を伸ばし、金魚姫の頭を撫でた。金魚姫の帽子がずり落ちそうになる。
铃鹿御前纠结了一下,但还是把手伸出来,胡乱地揉了揉她的脑袋,把帽子都弄歪了。
【鈴鹿御前】
「冷静でいられなくなり、痛みを感じる。それこそが、成長している証だ。あなたは彼らを強いと言うが、泣きたくないのではなく、泣くことができないのかもしれない。だから代わりに、あなたが泣いて、怒ってあげなさい。」
会变得不冷静,会感到痛苦,才是不断成长的证明。你所说的那些强大的家伙,可能不是不想哭,而是都不会哭了。由你替他们哭出来,替他们生气,不就好了。
【聆海金鱼姬】
「……全然慰めになってないんだけど。」
……这算什么安慰。
【鈴鹿御前】
「あなたには、あなたの目的があると言っていたが。どうだ?うまくいったか?」
你最初和我说,你是带着自己的目的来的。怎么样?解决了吗?
【聆海金鱼姬】
「うん。悪意に満ちた幻境じゃない、目の前の現実の世界に、まだ私がやらなきゃいけない大切なことが残ってる。あの……鈴鹿御前……私やっぱり海妖が好きじゃない。大嶽丸のことも許さない。でも……あなたは悪い人じゃない。ありがとう。」
嗯。比起这种恶意满满的幻境,在眼前的现实中,我还有更重要的事要做。那个……铃鹿御前……虽然我还是很不喜欢你们海妖,也不会原谅大岳丸,但是……你还不坏。谢谢你了。
【鈴鹿御前】
「ふふ、どういたしまして。私の周りはひねくれ者ばかりだから、彼らに比べれば、あなたはずっと素直で可愛いぞ。さあ、行こうか!よい……しょ!」
哼哼,不客气。毕竟我周围的人都是这种别扭性格的家伙,相比之下你可坦率可爱多了。好了,我们走吧!嘿——哟!
【聆海金鱼姬】
「ちょっと!!おんぶしないで、自分で歩けるから!!」
等等等等,不要背我,我可以自己走!!