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12、阿修罗 绘卷第五章:心魔 ...

  •   心の魔

      天域の上空、天人を数百年にわたり統治してきた善見塔の頂。故地忉利天の金色の光が黄金郷の幻のように大空に広がり、雲の端から見え隠れしている。

      在天域的上空,统治天人数百年的善见塔之顶,故土忉利天金色的光芒划破长空,如同一场黄金乡的幻象,在云端若隐若现。

      阿修羅の剣を楽々と受け止めた帝釈天は「これほどの力と相手できるとは、長く待った甲斐があったぞ!」と笑う。

      轻松接下阿修罗一剑的帝释天笑道,“能直面这样的力量,不枉我等了你这么久!”

      その瞬間、帝釈天は幻境を放つ。帝釈天の背後に広がった紅蓮が次々と幻影に変わっていく。超人的な五感をもつ阿修羅であっても帝釈天の位置を正確につかむことはできず、鏡の迷宮の中をひたすら彷徨うしかなかった。阿修羅に殺された者たちが幻境の中に次々とあらわれ、蓮の花から無数の手を伸ばし、阿修羅の手足をつかむ。すすり泣く声が耳にこだまする。

      转瞬间,帝释天就放出了幻境,绽放在他身后的红莲化出一个又一个的幻影,即使是有着超人五感的阿修罗,也无法准确地找到帝释天真正的位置,只能在镜子的迷宫中不断徘徊。被阿修罗杀死的众人一个接一个地出现在变幻的幻境之中,莲花中伸出无数的手,绊住他的手脚,哭声萦绕在他的耳畔。

      かつての戦友がその楽しみをなじり、兵士たちがその暴虐を泣いて責め立てる。魔神たちは闇に潜み、かつての戦神が深淵に呑み込まれたのを嘲り笑う。十天衆は雲の上に立ち、ありもしない罪を告げる。

      曾经的战友痛斥他的误杀,士兵哭诉他的疯狂,魔神们潜伏在黑暗中嘲笑着昔日战神被打入深渊,十天众高高在上地站在云端,宣判他莫须有的罪名,

      闇の果てでは、母が微笑みながら阿修羅に向かって両手を広げている。しかし、阿修羅は霊神体を駆使してかつて自らの手で葬った死霊たちを再び粉々に引き裂いた。触手が鞭のように幻境を切り裂き、幻影たちの体は真っ二つにされる。彼らは恐ろしげな顔で阿修羅を呪い、助けを乞うが、阿修羅は少しも手を休めることはない。闇はより深い闇に呑み込まれ、いつわりの光が走る。光の果てでは、帝釈天が阿修羅の手足を鬼の手でからめとろうとするが、阿修羅は次は思いどおりにはならず、霊神体が変化した長剣が鎖のような鬼の手を断ち切る。鬼の手は紅蓮の血の池に落ち、骸骨となって浮かび漂う。鏡のような幻境は徹底的に打ち砕かれた。

      而黑暗的尽头,微笑着的母亲,向他张开了双手。然而阿修罗驱使着灵神体,将曾经葬身他手中的死灵们再度撕裂成碎片,触手如同长鞭划开幻境,幻影们的身体被拦腰斩断,他们狰狞地咒骂他,祈求他,然而阿修罗却一刻也不曾停留,黑暗被更深的黑暗吞食,反而显露出虚假的光明,在光明尽头,帝释天驱使众鬼手试图缠绕住他的手脚,但这一次阿修罗不让他如愿,灵神体所化作的长剑一剑砍断了枷锁般的鬼手,它们坠入红莲血池,化作漂浮的骸骨。如同镜子般的幻境被彻底击碎。

      阿修羅が自らの幻境を突破したのを見た帝釈天は、ますます興奮した。

      看着阿修罗成功突破了自己的幻境,帝释天越发兴奋。

      「敵となることで貴様を強くできると知っていたなら、もっとはやく貴様との関係を断つべきだったな!」帝釈天は笑う。「貴様はいつも私の想像のはるか上を行く。」

      “若早知成为你的敌人能让你变强,我该早点和你恩断义绝才对!”帝释天笑道,“每一次,你都会远远超出我的想象。”

      「それは貴様が私のことを理解できていないからだ、帝釈天!」

      “那是因为你从来不了解我,帝释天!”

      「貴様も私のことを理解できていない、阿修羅!」

      “而你也从来不了解我,阿修罗!”

      二人の霊神体が空中でぶつかる。阿修羅の力には圧倒的なものがあるが、敏捷さでは帝釈天がまさり、長剣の攻撃の一つ一つが帝釈天に防がれる。阿修羅は霊神体を触手に戻した。真っ赤な六本の触手がさまざまな方向から帝釈天を襲う。その時、蓮の花から突然無数の鬼の手が伸び出て阿修羅の触手に絡みつき、互いにかみつきあう。蓮の花の鬼の手は突然阿修羅の霊神体をきつくしめあげる。阿修羅を善見塔の外に落とそうというのだ。阿修羅はとっさに触手の末端を切り落とし、鬼の手から解放された。塔の頂の宮殿の端に立ち、背後は大空だ。

      二人的灵神体在空中直接碰撞,阿修罗的破坏力无人能及,然而在敏捷上帝释天更胜一筹,长剑的攻击被帝释天一一挡下。阿修罗将灵神体重新变回触手,六条猩红的触手从不同的方向向帝释天袭来。然而莲花中突然伸出无数锋利的鬼手,与阿修罗的触手缠绕起来,互相撕咬。莲花中的鬼手突然狠狠地拉住阿修罗的灵神体,意图将他丢向善见塔外。情急之下,阿修罗斩断了触手的末端,挣脱束缚,堪堪站稳在塔顶王殿的边沿,身后就是万丈高空。

      阿修羅が次第に崩れ落ちていく善見塔の下から見上げると、帝釈天は善見塔の頂から見下ろしている。遠くの忉利天が帝釈天を照らし、二人が初めて会った時と変わらず汚れなく輝いている。昔のままの高慢な笑いを向けられた阿修羅は、狼のような唸り声を発した。

      阿修罗站在逐渐崩塌的善见塔之下抬起头来,帝释天站在善见塔的最顶端低下头来,远方的忉利天照亮了帝释天,他一如二人初见时一般,闪耀着纯洁无瑕的光,朝他露出的笑容,那份一如既往的高傲使阿修罗仰起头,发出如同野狼一样的吼声。

      阿修羅は忉利天が落ちていった万丈の光の中からにわかに躍り上がる。今度は帝釈天が見上げる形となったが、阿修羅の姿は忉利天の万丈の光に隠れてしまう。帝釈天は急ぎ蓮の花に周囲を守らせて迎撃に備える。光の中からあらわれた漆黒の影から落ちたのは傷ついた霊神体の触手ではなく、ボロボロの長剣だった。帝釈天はすぐさま後退りし、阿修羅の全力の一撃を何とかかわしたが、長剣に胸元を切られた。

      他在忉利天所落下的万丈光芒中骤然跃起,这一会换做帝释天抬起头来,然而忉利天的万丈光芒隐去了阿修罗的身形。帝释天急忙召唤莲花围在自己身侧准备迎击,而从光芒中显露出漆黑的身影,落下的并非是受损的灵神体触手,而是伤痕累累的长剑。他急忙后退,堪堪躲过了阿修罗的全力一击,被长剑划开了胸口。

      帝釈天は無意識に手を伸ばし、左胸の心魂の位置を押さえると、口から鮮血を吐き、後退りを繰り返す。

      帝释天下意识伸手捂住了左胸口心魂的位置,大口吐出鲜血,一再后退。

      阿修羅が左手にもつ剣が帝釈天に叩き落とされると、とっさに伸ばした右手が帝釈天の胸元を貫いていた。

      阿修罗左手剑被帝释天击落,右手突然向前,阿修罗的右手直接贯穿了帝释天的胸口。

      「阿修羅よ、場所を間違えたか?」帝釈天が笑う。

      帝释天笑道,“阿修罗,你是不是,搞错位置了?”

      帝釈天の右手は阿修羅が自らの左胸を貫いた腕をつかんでいる。突然自らの胸を貫き、阿修羅の腕をつかんだまま自らの心魂を取り出した。帝釈天の心魂は二人の手の中で脈打っており、機会を待ち構えていた霊神体は突然消えた。

      他的右手握住了阿修罗穿透自己左胸口的手臂,突然刺穿了自己的胸膛,抓着阿修罗的手将自己的心魂扯了出来。帝释天的心魂在二人的手中跳动着,原本蓄势待发的灵神体突然消失。

      「もう少しもつと思っていた。」帝釈天は血に染まった手で阿修羅の腕をつかみ、何とか踏みとどまろうとする。「だがまあいい、これで終わりだ。」

      “我本以为还能再多支撑些时间,”帝释天用染血的手指死死握住阿修罗的手臂,试图将自己重新撑起来,“不过还好,一切都结束了。”

      「暴君は死し、戦いは終わる。阿修羅よ、貴様の名は英雄として天域中で語り継がれるだろう。」

      “暴君已死,战事终结,阿修罗,你的英雄之名将响彻整个天域。”

      これを聞いた阿修羅の表情が変わる。帝釈天は左手を阿修羅の手にかぶせ、指をしっかりとつかみ、二人の手の中で脈打つ心魂に近づけようとする。

      阿修罗闻言,表情变得震惊。帝释天左手搭上了阿修罗的手,手指握紧了他的手指,指引他握住二人手中跳动的心魂。

      「貴様は言ったな、自分の心の闇には自分で打ち勝たなければと。」帝釈天は笑ってかがみ、阿修羅の耳元でささやいた。阿修羅の顔には恐怖や苦痛はなく、あるのはただ狂乱の後の満足だけだった。「今日、私はついに自分の心の闇に打ち勝った。貴様とともにだがな。」

      “你不是说过,自己的心魔,必须独自去战胜它。”帝释天笑着俯下身,在他耳边蛊惑道,他脸上并无恐惧和痛苦,只剩下疯狂过后的满足,“今天,我终于战胜了我的心魔,却是和你在一起。”

      「これを喰らうのだ。そして私と一体となり、最強の天人となるのだ。我が阿修羅よ。」帝釈天は阿修羅の手をしっかりとつかんでいる。恐るべき予感が不意に阿修羅の頭に浮かんだ。阿修羅は俯いて二人の掌に目を向けたが、そこで脈打っていた心魂は帝釈天のものではなく、阿修羅がずっと探していた自らの心魂だった。

      “吃下它吧,与我融为一体,成为最强的天人,我的阿修罗。”帝释天死死抓着他的手,一股可怕的预感骤然涌上阿修罗胸口,他低头看向二人的手心,然而在那里跳动着的心魂却不是帝释天的,而是阿修罗寻觅许久的——他自己的心魂。

      かつて生き、脈打ち、愛し、そして恨んだ心が、帝釈天の掌の中で二人の鮮血を吸っている。

      曾经鲜活过,跳动过,爱过,也恨过的心,在帝释天的手心之中,浸透了两人的鲜血。

      「私の心魂がなぜ貴様の体内に…まさか…」

      “我的心魂,为什么会在你的体内,难道……”

      「阿修羅よ、忉利天神がなぜ忉利天を破壊したか覚えているか。忉利天神が悪龍ヴリトラに打ち勝ち、命を奪ったからだ。」帝釈天は笑う。「忉利天神は勝った。だが私は勝ちたいとは思っていない。私は死刑囚の監獄の中で判決文を手に気を揉んでいた罪人に過ぎない。私が待っていた貴様こそ、私一人のためにやってきた処刑人だ。」

      “阿修罗,你可还记得忉利天神为何会毁灭忉利天。是因为他战胜了恶龙弗栗多,杀死了他。”帝释天笑着说,“他赢了。我却……不想赢。我不过是一名在死囚狱中拿着判决书焦急等待的罪人,所等的你就是为我一人而来的行刑人。”

      「やはり死を望んでいたか。」

      “你果然是在求死。”

      「死を望んでいる?いや、私が望むのは私一人のための公正だ。私が求めるのは貴様が自らの手でこの世の全ての不公正を断ち切ることだ。私が求めるのは貴様が私の罪を公にし、世の人びとに私がいかなる暴君であったか伝えることだ。貴様は王位につき、人びとに英雄として尊崇されるのだ。これはそもそも貴様のものだ。それを私が自ら貴様の手に返そうというのだ。」

      “求死?不,我求的是属于我一人的公正。我要的是你了无遗憾,亲手斩杀这世上所有的不公!我要的是你将我的罪行公诸于世,告诉世人我是个怎样的暴君!我要你登上王位,受万人景仰,高呼英雄之名!这本该属于你的一切,我要将它们,亲手还给你。”

      「帝釈天よ、私には必要ない。貴様がこれをやり遂げれば、名君、暴君、亡国の王となる。そこまですることが私を堂々と天人の王とさせるためであれば、王位などいらぬ。」阿修羅が続ける。「帝釈天よ、貴様の計画は完璧だった。ただ私に英雄になりたいか、たずね忘れたという点を除けばな。」

      “我不需要,帝释天。如果你完成这一切,成为明君,成为暴君,又成了亡国之君。落到如此田地,就是为了让我名正言顺地成为天人之王,那这王位我不要也罢!”阿修罗接着说道,“帝释天,你什么都算到了,却唯独忘了问我到底想不想做一个英雄。”

      「私に間違っていたというのか、阿修羅?世を救えるのは英雄のみ。そして英雄となるのは貴様以外にいない。世の人びとを放っておけぬが…貴様のことも放っておけぬのだ。」

      “我难道做错了吗,阿修罗?只有英雄能救世人,而能做英雄的人只有你。我放不下世人,但也……放不下你。”

      阿修羅が抱えていた帝釈天をゆっくりと地面に下ろすと、頭の上の雨雲が次第に晴れ、金色の忉利天が鮮明に姿をあらわし、金色の光が二人に降り注いだ。

      阿修罗将抱着的帝释天缓缓放在地面,头顶的乌云逐渐散去,金色的忉利天越发清晰,金色的光芒落在二人身上。

      「貴様もおそらく気づいているだろう、私の能力が真の意味での浄化ではないことに。私の能力とは、かつての忉利天神と同じく、共感によって悪念を吸収するというものだ。全ての悪念、全てのかりそめの生、受け入れられぬ死を一身に集めるのだ。私には選別することもできなければ、選別する気もない。自分の能力にかかわらず、全てを受け入れるほかないのだ。しかし、人びとの欲はとどまることを知らぬ。貴様の際限なき強大さがその証拠だ。それに対して私の命は限られている…帝位についた後、私は答えを探して故地忉利天に自ら足を運んだことがあった。精神の海の中で忉利天神の残留思念と出会った。忉利天神は死して千年経ってもなお再び我らと相まみえ、我らの魂を元の姿へと浄化することを願っている。しかし、忉利天神はもう存在しない。そして忉利天神と同じ力をもつ私は存在している。私は忉利天神にかわって全ての族人の悪念を吸収するつもりだ。いや、それだけではなく、天人、鬼族、人間…陽界の全ての悪念を吸収してみせる。」

      “你大概已经猜到了,我的能力并不是真正的净化。而和当年的忉利天神一样,是通过心灵共感,来吸收恶念……所有的恶念,所有苟且偷生和不甘的死都汇集到了我身上,我不能选也不想选,不自量力地全都收下。然而世人的疯狂是无止尽的,你那没有上限的强大正是证据,可我的生命却如此有限……在登基为帝后,我为探寻答案,曾亲自去往故土忉利天,在精神之海中,见到了忉利天神残存的思念。即使在死后千年,他还在期待着能再度与我们相见,将我们的灵魂净化为最初的样子。然而忉利天神已经不在了,和他有着同样能力的我却还在。我会代替忉利天神,吸收所有族人心中的恶念。不仅如此,天人,鬼族,人类,阳界所有生灵的恶念我都会照单全收。”

      帝釈天の声が次第に弱まっていく。「しかし、私は忉利天神のように人びとを自分のそばに縛りつけたくはない。魂の自由を奪うことで自らの孤独をいやすつもりもない。忉利天神のような浄化では不完全なのだ。私は人びとが悪念から一気に解放され、欲海の中で足掻くことがないようにしたいのだ。だから、衆生が忉利天で再会しても私はそこに向かうことはない。私は人びとの悪念を抱いて忉利天神以上の破壊神となり、最強の天人の手によって滅ぼされるのだ。それは阿修羅、貴様をおいて他にいない。」

      帝释天的声音变得越发虚弱,“可我不想像忉利天神那样将人们束缚在自己身边,更不想剥夺任何灵魂的自由来填补自己的孤寂……忉利天神那样的净化是不完美的。我想帮助世人一口气脱离这恶念,再也不在欲海中挣扎。因此,当众生在忉利天重逢时,我并不会去往那里。我会带着世人的恶念化为比忉利天神更甚的破坏神,死在最强的天人手中。而那个人只能是你,阿修罗。”

      「阿修羅よ、知っているか?蓮の実は泥の中で千年眠る。意識もなければ、真の命もない。ただひたすら夢を見るだけだ。そして私の一生は蓮の花を十分に咲かせた。泥の底で目覚めることのない眠りにつく時だ。」

      “阿修罗,你知道吗?莲子能在淤泥里沉睡千年,没有意识也没有真正的生命,只是做着盛开的梦。而我的一生,已经开出了足够多的莲花,是时候沉眠到淤泥之底,不复醒来。”

      「帝釈天よ、眠ってはならぬ。忉利天で私を待つと言ったではないか?」

      “帝释天,别睡,你不是说,你会在忉利天等我吗?”

      「夢で見たあの山腹、入り口に蓮の池のある小屋の中。私はそこで貴様を待っている。」

      “在梦中的那座山坡,在那门口有莲池的小房子里。你的帝释天,会在那里等着你。”

      忉利天はこれ以上なくはっきりとした姿をあらわし、雨雲はすっかり晴れ、天域の上空には金色の光が満ちていた。地上と善見城の人びとは思わず目の前の光景に我を忘れている。忉利天は降下を始め、善見塔の頂に近づいてきていた。善見塔は圧を受けたように崩れ始め、宮殿の大地は裂け、壁は割れ、砂石が絶え間なく落ちてくる。

      忉利天的身形已经无比清晰,乌云尽数散去,天域上空金色的光芒万丈。地面上与善见城中的人们,都不由得为眼前的景象而震惊。忉利天开始从高空向下坠落,朝着善见塔顶压来。善见塔仿佛感受到压迫一般,开始崩塌,王殿大地龟裂,墙壁碎开,沙石不断下落。

      阿修羅はかつてしたのと同じように、血だらけの帝釈天を下ろした。帝釈天は変わらず美しく悲しげであり、思わず息を呑むような奇跡が戦場にあらわれたかのようだった。それは運命が阿修羅一人のために用意した答えであり、阿修羅が運命に何を願ったとしても、帝釈天に答えを見出すことができた。そして帝釈天とは正反対に阿修羅は永遠に傷だらけで永遠に不完全な、永遠にやさしさを学ぶことはなく、永遠に殺戮を続ける存在だった。これは、それこそが真の阿修羅の姿であるためだった。そして阿修羅という名の野獣を無条件に受け入れてくれるのは、この世に帝釈天一人しかいなかった。

      阿修罗将浑身染血的帝释天放下,一如记忆中曾经做过的那样,帝释天仍旧看起来如此完美,又如此悲伤,像一个令人屏息的奇迹突然出现在了战场上,是命运特地为阿修罗一个人制作的答案,无论阿修罗向命运祈求什么,都能在帝释天那里得到回答。而与帝释天截然相反,阿修罗永远都伤痕累累,永远都不完美,永远学不会温柔,永远都嗜杀暴虐。因为那才是真正的他,在这世上只有帝释天一人全盘接受了的,名为阿修罗的野兽。

      「我らは友だ。しかし、私は貴様のために自らが歩みたくない、歩むべきでない道を歩むつもりはない。貴様を忉利天と融合させて新たな忉利天神とはさせぬ。私もヴリトラとなってうわさに聞くあの苦しい戦いに勝利するつもりはない。」

      “你我是挚友,但我不会为了你而选择自己不想走,也不该走的路。我不会让你和忉利天融合,成为新的忉利天神,我也不会化为弗栗多,打赢那场传说中的恶战。”

      「歴史を書き換えてやろう。貴様を窮地へと追い立てたこれは、なくてもかまわぬ。」阿修羅は手にもった血に染まった自らの心魂を、帝釈天が見つめる中粉々に砕いた。欠片は光のように二人の周りを風に舞う。すぐそばを飛んでいるようでもあり、指先から滑り出ていくように風の中に消えていった。

      “我要将历史改写。而这将你逼至绝境的东西,没有也罢。”阿修罗看着手中染血的自己的心魂,在帝释天的注视下,亲手捏碎了它,碎片迎风飞起来,流光一般萦绕在二人周围,仿佛近在咫尺,却又从指尖滑过,消散在风中。

      阿修羅はかがんで昔の友に言った。「私はもはや天人ではない。いや、最初から違ったのかもしれぬ。帝釈天よ、貴様の用意した道を歩むことはできぬ。」

      阿修罗弯下腰,看向昔日的友人,“我早已经不是天人了,也或许从一开始,我就不是天人。所以我不会按照你安排的道路走下去,帝释天。”

      「私は阿修羅なのだからな。」

      “因为我,正是阿修罗啊。”

      忉利天の金色の光が二人を包む。それはかつて帝釈天があらゆる手を尽くして戻ろうとした黄金郷だった。しかし、帝釈天が最後の瞬間に目に焼きつけようとしたのは友の姿だった。

      忉利天的金色光芒包围着他们,那曾经是帝释天倾尽一切手段也想要回归的黄金乡,然而在最后一刻,他却想将友人的样子最后映在眼中。

      帝釈天が笑って阿修羅に言う。「貴様はいつも私の想像を超える力を示してきた。強者の頂点に上ったかと思うと、貴様はさらに高みへとはい上がっていく。誰もが運命の中で高みを目指して飛び続ける鳥に過ぎず、この世には真の強者などそもそも存在しないのかもしれぬ。」

      帝释天笑着看着他,“你永远都比我想象的要强大,每当我以为你已走到了强者的顶点,你却又飞向了更高的地方,或许这世上本就没有真正的强者,每一个人都不过是在命运中不断飞往高处的飞鸟。”

      善見塔は忉利天の引力でほぼ完全に崩落しつつあった。轟音が空に鳴り響き、真っ白な石台には裂け目があらわれ、雲の端では白い鳥が鳴き声をあげている。

      善见塔因忉利天的引力开始彻底坍塌,巨大的轰鸣声传至云霄,洁白的石台上出现了裂痕,云端的白鸟发出鸣叫。

      帝釈天は続けた。「そして私も高い、高い場所へと飛んできたのだろう。」

      “而我,”帝释天说道。“也算是飞到了很高很高的地方。”

      「さらばだ、阿修羅よ。」

      “再见了,我的阿修罗。”

      白い巨塔が崩れ落ちた瞬間、真っ白な巨石が割れて白い雲となった。雲はうずまきながら眠りにつこうとする帝釈天を包み込み、果てしない白い深淵へと連れて行く。純白の流星雨が空から降り注ぎ、光を切望する世界を照らした。そして巨塔が崩れ落ちる瞬間、阿修羅はそれとは正反対に落ちてきた忉利天に飛び乗り、さらなる高みに向かって飛んでいった。金色の忉利天は金色の幻境で阿修羅を迎える。精神の海と心魂の欠片が共鳴し、阿修羅がずっと探し続けていた真相―瑠璃城が姿をあらわした。深淵での一戦の後、帝釈天は重いけがを負った阿修羅のそばでずっと見守っていた。軍医が去ると、帝釈天は自らの心魂を阿修羅の傷だらけの胸に入れ、阿修羅の傷ついた心魂を自分の体内に取り込んだ。

      白色巨塔坍塌的瞬间,纯白的巨石碎裂成纯白色的云朵,它们涌动着,流转着,带着陷入沉睡的帝释天,前往了无边无际的,白色的深渊,纯白的流星雨自天空中落下,照亮了渴求光明的世界。而与之相反的,阿修罗在巨塔坍塌的瞬间,迎着坠落的忉利天而上,朝着更高的高处跃去。金色的忉利天用金色的幻境迎接了他,精神之海与心魂的碎片共鸣,展现出了阿修罗一直寻找的真相——琉璃城,深渊一战之后,帝释天寸步不离地守在重伤的阿修罗身边。在军医离开后,他将自己的心魂放进了阿修罗伤痕累累的胸口,而阿修罗重伤的心魂则放进了帝释天体内。

      「貴様は自分が強靭な□□をもっていると言っていたな。だが私には強靭な精神がある。その強靭な精神を今貴様に贈ろう。いつ、どこであっても、貴様が私を探したくば、振り返る必要さえない。私はそこで貴様を待っているのだからな。」

      “你总说你有一具坚韧的身体,但我却有一颗坚韧的心,如今这颗坚韧的心,我把它送给你。无论何时,无论何地,当你想要找到我,你甚至都无需回头,我都会在这里等你。”

      最強の□□に最強の精神と勇気を抱き、阿修羅は二人の力をもっていつわりの光を容赦なく叩きつぶしていく。忉利天の最後の空中での爆発により万物の色を変えた金色の光は、最後は阿修羅とともに鳥も到達することのできない高空の雲の端に消えていった。

      以最强的身体,怀抱着最强之心的勇气,阿修罗用尽了两人份的全力,狠狠地击向了那虚伪的光明。忉利天最后一次在空中爆发让万物为之变色的金色光芒,最终和阿修罗一起,消失在飞鸟也不能达到的,最高的云端。

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