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10、阿修罗 绘卷第三章:名讳 ...

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      千を超える魔神が、深淵の入り口に一挙に押し寄せた。魔神の軍勢を目視した天人の衛兵が弓を引き、真っ白な矢が雨の如く降り注ぐ。矢を受けた魔神は忽ち灰燼と化したが、いくら殺しても、数に物を言わせる魔神は全然減っていないようだ。押し寄せる深淵の黒い洪水は、皆十善業道に裁かれ、地獄に蹴落とされた罪人だ。

      万千魔神一并爬到深渊的入口。面对魔神大军,守备的天人军队拉开弓箭,纯白的羽箭如雨般落下。中箭的魔神顿时被烧为灰烬,然而魔神数量众多,杀之不尽,如同黑色的洪水般自深渊向上涌出,尽数是被十善业道裁决,推下地狱的罪人们。

      衛兵をまとめる将軍は、真面目くさった様子で、崖の上で罵詈雑言を吐いた。

      守备的将领道貌岸然,站在悬崖上骂道。

      「陛下の命令に従い、深淵の獄に入った者は出るべからず、それを破った者には死を!汝らがまだ生きている理由は、陛下の慈…」

      “陛下有令,深渊之狱只进不出,违者杀无赦!汝等于此苟活,全赖陛下好生之……”

      それを言い終える前に、一本の折れた矢が飛んできて、彼の喉を射抜いた。将軍は喉を押さえながら崖から落ち、忽ち魔神達に食いちぎられた。

      话音未落,一支断箭从悬崖中飞出,射进他喉中,将领捂着喉咙掉下悬崖,转瞬就被魔神们撕成了碎片。

      阿修羅が深淵より現れ、鬼神の如く残酷な笑みを浮かべ、折れた矢の残り半分を捨て、死骸を越えて警備の軍隊に迫った。後ろの魔神の軍隊は耳をつんざくばかりの大声で、天魔阿修羅の名を叫んでいる。その時、天人の兵士は初めて気づいた、昔の闘神阿修羅は既に天魔と化したことに。

      阿修罗自深渊中爬出,如同鬼神,冷笑着丢掉另外半截羽箭,踩着尸骸朝着守备的军队逼来。身后的魔神大军呼声震耳欲聋,高呼天魔阿修罗之名,守备的天人士兵们这才知道,昔日的战神阿修罗已经化作天魔。

      矢の雨は彼に傷を負わせることすらできない。深淵を這い出たのは、復讐の天魔だ。恐れる天人の兵士は後ずさりした。前に出る勇気を持つ者はいなかった。しかし砦まで撤退すると、今度は将校達に刀を向けられ、後退することは許されなかった。「脱走者は、後で深淵の獄に追放されるぞ。」

      箭雨根本不能伤他分毫,此时爬出深渊,是来向他们复仇的,纷纷恐惧地后退,不敢上前。然而退到堡垒下,却又被守边的将领们用刀抵住背后,不能再退。“若有逃兵,事后打入深渊之狱。”

      魔神達がようやく深淵を出た時、急に何かを唱える敵軍の声が聞こえてきた。

      魔神们终于爬出深渊,却听到敌阵中突然传来阵阵吟唱。

      「偉大なり、偉大なり、偉大なりし者。狂人は欲望に耽る、罪人は奈落に帰す。」

      “圣哉,圣哉,无上的圣明。狂徒耽于狂妄,罪人永坠幽冥。”

      天人の兵士の霊神体が一体化して、巨大な白い網を編み出した。巨大な法陣が空から迫ってきて、周りの山を押し潰した。巨石はまだ深淵を出ていない魔神を崖の底へ落とし、今度は皆に迫ってきた。

      天人士兵们的灵神体化为一体,织成一张白色巨网,巨大的法阵从天而降,两侧山体都被压碎。巨石将尚未爬出的魔神砸回崖底,紧接着,又向众人压了下来。

      危機一髪で、阿修羅は石の橋に飛び上がり、両手で法陣を受け止めた。天人の兵士は声高らかに唱える。その目は異様な光を放ち、表情は次第に歪んでいく。例え両手と目が鮮血に濡れても、やめる素振りもなく、ただ法陣を下へと押し続けている。しかし阿修羅も諦めるつもりはない。それを目にすると、魔神は次々と咆哮をあげて、天人の軍隊に切り込んだ。あっという間に、魔神と天人の軍隊との激戦が始まった。

      就在千钓一发之际,阿修罗跳上石桥,用双手接住了法阵。天人士兵们高声吟唱,双目溢出异样的光芒,表情狂热到逐渐扭曲,哪怕双手双目流出鲜血,也不曾停止,只推进那法阵不断下压。然而阿修罗却丝毫不肯退让,众魔神看到,纷纷嘶吼着,冲向天人的防阵之中,转瞬间,就与守备的大军杀成一片。

      阿修羅の立つ石橋は圧力に耐えられず、壊れる寸前だった。遠くの善見塔の頂上にいる帝釈天は、目を閉じながら微笑んだ。幻影が再び阿修羅の前に現れた。帝釈天は慈悲深い表情で、彼の眉間を撫でた。

      在阿修罗的脚下,石桥不堪重负,眼看即将碎裂。远在善见塔顶的帝释天闭着双目,露出一丝笑意。幻影再次浮现在阿修罗面前,帝释天悲天悯人地抚过他的眉心。

      「あなたはもう昔の阿修羅ではない。英雄の名を失って、敗北を喫した。天人とも言えない今のあなたが、なぜ天人のために王宮に攻め入る?徹底的に魔に堕ちることを嫌がるあなたが、何をもって魔神を率いて、天魔と名乗るのだろう?」

      “你早已不是昔日的阿修罗,英名尽毁,落败垂成,如今你并非天人,谈何为天人一族讨伐王殿?你又不肯彻底坠入魔道,凭什么率领魔神攻城,自称天魔?”

      「阿修羅、あなたは一体何がしたいんだ?」

      “阿修罗,你究竟要做什么呢?”

      阿修羅は幻影の言葉に耳を傾けず、法陣の対処に集中する。しかし足場の石橋は、今にも壊れそうだ。追い込まれた彼は両手で法陣の中心を掴み、法陣を真っ二つに引き裂いた。時を同じくして、法陣の兵士数人が血を吐いて倒れた。魔神達は大声で勝鬨を上げたが、阿修羅だけは異常に気づいた。

      阿修罗并不在意幻影,只一心对付法阵,脚下石桥摇摇欲坠。情急之下,他双手抓住法阵中心,向两侧发力,竟然将法阵生生撕裂。布阵的士兵顿时就有数人吐血倒地,魔神们高声欢呼,仿佛胜利在即,唯独阿修罗却觉出不对。

      彼が作った裂け目は法陣の端まで広がり、急に二つになった。そしてまるで目を見開くように、巨大な目を形作った。深遠なる宇宙を白目に、懐かしい紺碧の目を瞳に持つ眼は、漆黒の深淵の上で、静かに全てを見ている。

      那道被他撕开的裂缝越来越大,延伸向法阵两侧,然后竟然猛地分成两片,如同一双眼睑般睁开,露出了后面巨大的眼睛。眼白是幽深的宇宙,而瞳仁则是熟悉的碧色,在漆黑的深渊之上,静静地注视着这一切。

      善見塔の上で、帝釈天はようやく目を開け、慈悲深そうに全てを見た。

      善见塔上,帝释天终于睁开了双目,悲天悯人地看着眼前的一切。

      すると、石橋の上にある法陣の眼は眩い光を放ち、深淵の底まで照らした。光が届くところでは、魔物が忽ち灰燼と化す。天人の兵士もそれに耐えられず、目を押さえて倒れた。白い光は阿修羅を含む全てを呑み込んだ。

      紧接着,石桥上法阵的瞳孔中爆发出刺眼的光芒,照亮了深渊地底,所到之处,魔物们瞬时化作了灰尘。甚至连天人士兵都不堪忍受,捂住双目跪倒在地。白光将一切吞没其中,也隐没了阿修罗的身形。

      阿修羅が目を開けると、すでに白い世界にいた。目の前にあるのは懐かしい瞳、懐かしい紺碧だけだった。眼の深遠なる宇宙の中、帝釈天の姿が次第に浮かび上がった。

      待到阿修罗睁开双眼,已是身在一片茫白里,眼前只有那熟悉的瞳仁,熟悉的碧色。在那瞳孔中浩瀚深邃的宇宙里,逐渐浮现出帝释天的样子。

      かつての友人は彼を見て微笑み、初めて出会った時のように、優しく手を伸ばした。

      曾经的友人笑着看着他,他温柔的伸出手来,一如初遇。

      「阿修羅、あなたは私がついに見つけ出した奇跡。私はあなたがようやく出会った友。私達二人が力を合わせれば、負けることは一度もなかっただろう?そして私達の意見が分かれた時、いつもより多くの犠牲を払うことになっただろう?」

      “你是我终于等到的奇迹,而我是你终于找到的友人,曾几何时只要我们二人齐心协力,又何曾败过?而每一次你与我争执,带来的都是更多的牺牲。”

      「こっちに来るんだ。ここは無垢なる天国。過去に拘る必要はない。全てを背負う必要もない。阿修羅でいる必要もないんだ。そこに留まれば、いつかきっと、あなたが一番嫌いな魔神に成り下がってしまう。」

      “到这里来吧,我这里是无垢天国。不要再计较过去,你不必再背负一切,不必再是阿修罗。而留在那里,终有一天,你会成为你最憎恨的魔神。”

      幻境の中は静まり返っている。しかし紺碧の星海の奥に、雲と海の中に、また微かに鐘の音が聞こえる。

      幻境之中万籁俱寂,一片碧色的星海深处,云与海雾之间,又仿佛隐隐传来远方的钟声。

      「だが帝釈天、お前はもうお前の一番嫌いな暴君になってしまった。」阿修羅はこう言った。

      “然而帝释天,你却早已成为了你最憎恨的暴君。”阿修罗说道。

      言い終わると、阿修羅の額にある天眼が突然開いた。黒い炎が噴き出し、瞬く間に彼の体を全て焼き尽くした。深淵のような黒い炎は目の前にある幻境を呑み込むと、益々勢いを増して、やがては光すら燃やし始め、帝釈天の天眼が放つ白い光を全て取り込んだ。

      说罢他突然睁开了额头的天眼,漆黑的火焰从其中涌出,旋即烧遍了他全身。犹如深渊般的黑火开始吞噬眼前的幻镜,越烧越旺,竟然开始灼烧光明,将帝释天天眼中吐出的白光蚕食殆尽。

      白い光が消えると、魔神はまたいつもの世界に戻った。すると、千を超える魔神が深淵から抜け出してきた。彼らは阿修羅の炎の元で、光を突き破り、光を壊し、光を喰らい、天域を呑み込んでいく。燃え盛る炎の中には、阿修羅の姿が見える。帝釈天の幻影は炎に呑み込まれて決壊し始めたが、どうしても消えることを拒んでいる。

      白光褪去,魔神们重见天日,紧接着,万千魔神一起冲出了深渊。他们紧随着阿修罗的火焰,冲破光明,摧毁光明,将光明当作食粮,不断吞噬着天域。在燃烧着的火焰中心,是阿修罗的身影,帝释天幻影在火焰的吞噬下逐渐瓦解,却迟迟不肯退去。

      「俺は最初からこうだったのかもしれない。生まれた時から、俺は闇の申し子で、この世で一番残虐な罪業で、全てを焼き尽くす業火になる運命だったのかもしれない。この世にまだ焼き尽くしていない闇がある限り、俺の炎はそこに向かう。」

      “或许我从来都是如此,自诞生的那一刻,我就是黑暗之子,是世上最残暴的罪孽,是注定要烧尽一切的业火。只要这世上还有火不曾烧尽的黑暗,我的火焰就会蔓延到那里。”

      燃え広がる黒い炎は広がり続け、烈火が阿修羅の胸の中でふくらんでいく。灼熱のマグマが阿修羅の体から噴き出し、そして最後に出てきたのはより一層強くなった六本の触手だった。

      汹涌的黑色火焰不断爆开,烈火在阿修罗胸中膨胀,沸腾着的岩浆如同要从阿修罗体内喷出,最终喷薄而出的是六条更强壮的触手。

      阿修羅が見上げると、空にある巨大な天眼が崩れ、炎に呑み込まれる光景があった。

      阿修罗抬起头来,看着空中巨大的天眼逐渐崩塌,被火焰蚕食殆尽。

      「光さえも俺を畏れる時まで、俺が至るところに滅びをもたらすまで。」

      “直到连光明都对我望而却步,直到任何我所到之处都会遭受毁灭。”

      阿修羅の炎は帝釈天の天眼を呑み込んだ。生まれ変わった鬼手が残りの兵士を切り刻む。黒い炎が現れると、死体すら跡形もなく燃やされてしまう。帝釈天の幻影もいよいよ紅蓮に呑み込まれた。

      阿修罗的火焰吞噬了帝释天的天眼,新生的鬼手将余下的士兵撕碎,黑焰烧过,连尸骨都不曾留下。帝释天的幻影也终于被烈火吞噬。

      「この世に魔神、悪鬼、暗闇、偽善を畏れる人がいなくなるまで、深淵について口にすることを躊躇う人がいなくなるまで。」

      “直到在这世上没有人再惧怕魔神,恶鬼,黑暗,和伪善,没人再恐于说出深渊的名字。”

      六本の触手が凄まじい勢いで深淵の入り口に振り下ろされ、深淵の獄を丸ごと壊した。阿修羅が炎の中から現れ、深淵の入り口で立ち止まる。帝釈天の幻影はついに消えてなくなった。阿修羅は雲にそびえる白い巨塔を見上げ、ゆっくりと言い放った。

      六条触手喷薄而出,冲向深渊入口,将整个深渊之狱撞得粉碎。阿修罗走出火焰,落在深渊入口。帝释天的幻影终究消失殆尽,阿修罗抬起头看向耸入云端的白色巨塔,一字一顿地说道。

      「それに代わるのは、我が名…阿修羅だ。」

      “取而代之的,将是我的名讳——阿修罗。”

      遠くの善見塔の中、玉座にもたれる帝釈天は、我慢できず笑みをこぼした。しばらくして、彼はようやく再び目を閉じた。

      远方的善见塔内,帝释天倚靠在王座之上,忍不住笑了起来。过了许久,他才再度闭上了双眼。

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