下一章 上一章 目录 设置
42、天魔归来 地狱挽歌③圣莲 ...
-
聖蓮
【阿修羅】
「ここは…」
这里是……
帝釈天の夢の中。深淵の獄を連想させる一面の暗闇が広がる中、遠くに点々と光る灯火が見え、まるで阿修羅を導いているようだ。灯火を頼りにしばらく前へ進むと、突然開けた景色が目の前に広がった。
帝释天的梦境一片黑暗有如深渊之狱,但远方有着点点火光闪烁,仿佛在指引阿修罗向前。阿修罗顺着火光,朝着前方走去,突然豁然开朗——
【阿修羅】
「ここは善見城の神殿。夜なのに明かりが煌々と照らし、無数の蝋燭が本殿前の祭祀の広場を照らした。夜中に天を祭る儀式を行うのか?」
这里是善见城的神殿。虽是夜晚却灯火通明,用万千烛火照亮了大殿前举行祭祀的空地。难道是要在夜里举行祭天的仪式吗?
【十天衆神主甲】
「降神の儀がいよいよ始まる。今回はうまくいくでしょうか。」
降神仪式马上就要开始了,不知这一次能不能成功。
【十天衆神主乙】
「今の貴族の霊神体はかなり弱っている。神の力を操れるものか。今回もおそらく…今まで生贄として捧げた女は皆…」
如今的贵族灵神体都不堪一击,怎么驾驭得了神力,这一回恐怕也……据说之前献祭的女人,下场都……
【善法天】
「静粛に!貴族の娘には忉利天のご加護がある。必ず無事であろう。たとえ今回失敗したとしても、また次がある。この家系が駄目だったら、次の家系に移ればいい。千回失敗したら、もう千回試せばいい。神諭が天域に伝わるまで、この儀式を続けるのだ。儀式を始めろ!」
肃静!贵族之女受忉利天庇佑,自然会安然无恙。就算这次失败,还有下次,如果这一家族失败,还有下一个家族。就算失败了千百次,也会有下一个千百次,一直继续这仪式,直到将神谕带来天域!开始仪式!
【祭司】
「はっ!」
是!
祭司達は本殿前の池の周りに並び、呪文を唱え始めた。善法天が杖を高く挙げ、忉利天の名を呼んだ。阿修羅は彼らの幻を避けながら、前へ進む。
祭司们围着大殿前的水池开始念诵咒语,而善法天高举权杖,呼唤忉利天之名。阿修罗绕过了他们的幻影,朝着前面走去。
【阿修羅】
「池の中には、気を失った女性がいる。自分の妻子を生贄にするほど、貴族どもは堕ちていたのか。」
这水池之中,竟然有一个昏迷的女人。难道说这群贵族们当年就已经堕落到了这种地步,将自己的妻女拿去活祭吗?
やがて詠唱が止まり、祭司と神官達は互いに顔を見合わせた。
没过多久,吟唱停止,神官们和祭司面面相觑。
【十天衆神主甲】
「やはり何も起こらない。今回の生贄も余命長くないだろう。早く家族に引き取らせよう。」
还是什么也没发生。看来这次献祭的女人,也是凶多吉少了,快点告知家人来领走吧。
【十天衆神主乙】
「いや違う、見ろ!」
不对,你们看!
何もなかった水面から蓮の葉が生え、その後綻びそうな蓮の蕾がいくつか伸びてきた。蕾は水面から出ると花を咲かせ、瞬く間に、無数の蓮が池一面を占めた。
原本静谧的池水中冒出莲叶,紧接着是几枝含苞待放的莲花。花苞浮出水面后迅速生长,片刻绽放了满池的莲花。
【祭司】
「これが神の奇跡!千年もの間繰り返された儀式が、今日成功したのというのか?忉利天の神諭が言っていた。純粋な心を持つ聖なる子の誕生だけが、あの予言を阻止できると。この純白な蓮は、神諭の示した通りではないか。」
这是神迹!这仪式已重复了千百年,难道今日真的成功了吗?忉利天的神谕曾说,只有心灵纯洁无垢的圣子降生,才能阻止那个预言成真。这莲花洁白无瑕,不正是应验了神谕?
【善法天】
「神諭を妄りに語るな!こんな女が聖なる子を生むなど、ありえない話だ。今夜のことは口外無用だ。さっさとこの女の家族を呼んでこい。」
不得枉议神谕!区区一个女人何德何能,如何会生下圣子。今夜的异状不得对任何人提起,让这女人的家族前来领人。
【祭司】
「では儀式は……」
那么这仪式……
【善法天】
「通例通り、次の生贄を選ぶ。降神の式は今まで通りに続く。」
按旧例去挑选下一任祭品,降神仪式,必须照旧进行。
阿修羅は池の端へ行き、咲き誇る蓮を一輪摘んだ。
阿修罗走到池边,低头摘下了一朵盛放的莲花。
【阿修羅】
「この蓮花からは、よく知っている匂いがする。」
这些莲花,带有如此熟悉的香气。
【???】
「あなたは誰ですか?どうして僕の蓮を摘んでいるのですか?」
你是谁,为什么要摘我的莲花?
声のする方角を振り向くと、本殿前ではなく、どこかの貴族の華やかな寝室にいることに気づいた。後ろには帝釈天とよく似た子供が、好奇心に満ちた顔で阿修羅を見ている。
阿修罗回过头来,却发现自己已经不在神殿,而在一处奢华的贵族寝室之中。他身后站着一个酷似帝释天的孩子,正一脸好奇地看着他。
【少年帝釈天】
「蓮を返してもらえますか?蓮を誰かに渡したと勘違いされたら、父上に怒られてしまいます。」
你能把莲花还给我吗?如果父亲以为我把莲花摘下给了别人,一定会生气。
【阿修羅】
「お前は誰だ?」
你是谁?
【少年帝釈天】
「帝釈天といいます。まだまだ未熟者ですが、ここの主でもあります。父上は家長で、今夜僕に会いに来ると従者達から聞きました。もうすぐ着く頃でしょう。約束します。蓮を返してくだされば、あなたのことは父上には内緒にします。知らなければ、怒ることもありません。」
我叫帝释天,虽然年纪小,但我是这里的主人。我的父亲是家主,随从们说他今晚会来看望我,他很快就会来了。我保证,只要你把莲花还给我,我一定不会告诉父亲,他不知道,自然也就不会生气。
【阿修羅】
「父親は怒ると怖いのか?」
你很怕你父亲生气?
【少年帝釈天】
「恐くはありません。父上は僕に優しいです。二人の兄と接する時よりも、遥かに。一族に栄光をもたらしたと、どんな願いも叶えてくれました。ただ、父上は怒ると、僕の周りの人を罰するのです。父上にあなたを罰してほしくない。」
我不怕,父亲对我很好,比对两个哥哥还要好,他说我给家族带来了荣耀,从来对我有求必应。但父亲生气了,就会罚我身边的人。我不想让他罚你。
【阿修羅】
「はははは。帝釈天よ、お前の父親に俺を罰することはできないぞ。」
哈哈哈哈,帝释天,你的父亲可罚不了我。
【少年帝釈天】
「どうしてですか?」
为什么?
【阿修羅】
「俺はお前が呼んだ、地獄から来た鬼神だ。お前以外、誰も俺のことが見えないんだ。信じられないのも無理はない、父親が来たらわかる。」
因为我是来自地狱的鬼神,是被你从地狱里召唤而来,除了你,谁也看不见我。不信的话,等他来了,你一试便知。
【帝釈天の父】
「帝釈天、わざわざ会いに来たのに、なぜ独り言を言っているのだ?」
帝释天,我特意来看你,你怎么一个人在这自言自语?
【少年帝釈天】
「独り言……?でも……あ、父上が来ると聞いて、父上に献上しようと今朝咲いた蓮を摘んできました。」
一个人……?可是……我、我是听说父亲要来,特意摘了这朵今早新长出的莲花,想要献给父亲。
【帝釈天の父】
「さすがは私の自慢の息子だ、二人の兄より物分かりがいい。あの子達はとても忙しいんだ。顔を出すこともできないが、悪く思わないでくれ。」
不愧是我最爱的小儿子,比起你的两个哥哥乖巧许多。你的哥哥们课业繁重,没法抽出时间来看你,你不会怪罪吧?
【少年帝釈天】
「とんでもない!兄上達がお忙しい中僕のことを気にかけてくださって、嬉しいです。」
当然不会!兄长们百忙之中挂念我,我高兴还来不及。
【帝釈天の父】
「お前が生まれてから、この家は十天衆様に重用されるようになった。私が今の地位に立っていられるのも、お前のおかげだ。将来お前の兄が神殿で官職に就く時にも、お前の力が必要だ。」
这个家族因你的出生而尊贵,重新被十天众的诸位大人重用。父亲我能够有如今的地位,全是因为你的降生,将来你的哥哥想要在神殿下谋个一官半职,也要靠你。
【少年帝釈天】
「はい、父上。父上と兄上達の期待を裏切らないよう頑張ります。それに、母上にも頼れられる人になりたいです。」
是,父亲,我一定会尽力,不辜负父亲和两位哥哥的期望。帝释天也想,也想成为让母亲大人也能够依靠的人。
【帝釈天の父】
「母上?なぜ母上の話をする?」
你母亲?提她做什么?
【少年帝釈天】
「母上は病気で人に会えないと父上からお聞きしましたが、どうしても会いたくて。僕が降神の儀で授かり、忉利天の祝福を受けている者だというなら、僕が母上に会えば、病気を治せるのではないでしょうか?そのために純白無垢な蓮花を用意したんです、母上に渡そうと思って。母上は蓮花が大好きなんですよね。僕の花も気に入ってくれるでしょうか?」
父亲,您一直说母亲在养病所以不能见人,可我一直想要去探望她。您说我是降神仪式诞生的,是受忉利天福泽的人,或许我见到母亲,母亲的病就能好转呢?我已经为母亲准备了最洁白清香的莲花,想要献给她。您说过母亲最喜欢莲花,也许母亲也会喜欢我的花?
【帝釈天の父】
「もちろんだ。母さんは聖なる子供であるお前の神の力に耐えられなくて、病にかかってしまったんだ。それでも、母さんはお前のことを恨まずに愛している。十天衆様が言っていた、お前は天人一族の運命を変えられるかもしれないと。だから余計なことは考えなくていい、母さんもわかっている。蓮花は私が預かろう、母さんに渡しておく。」
你母亲当然会喜欢。你是降世的圣子,你母亲因无法承受诞下你的神力而染上了病。即使如此,她也依然深爱着你,无怨无悔。但十天众的诸位大人说过,你可能是改变天人一族在鬼域的命运的人。所以不要整日想着那些无用之事,你的母亲也是这样想的。你的莲花我会代为收下,替你转交给你母亲。
【少年帝釈天】
「ありがとうございます、父上!」
太好了,谢谢父亲!
帝釈天は、笑顔で父を見送った。父の姿が見えなくなると、帝釈天は家の前の石段に座った。
帝释天的父亲在夜里离开,帝释天面带笑容送他出门。一直到已经看不到对方的身影,帝释天才坐下在门前的石阶上。
【阿修羅】
「ほらな、言った通りだろ?」
怎么样,我没有骗你对不对?
【少年帝釈天】
「……」
【阿修羅】
「浮かない顔だな。」
为何闷闷不乐。
【少年帝釈天】
「別に。父上は忙しい中会いに来てくれた。兄上達に替わって僕のことを気にかけてくれたし、母上に蓮花を渡してくれる。僕はこれで満足だし、嬉しい。」
我没有闷闷不乐,父亲百忙之中来探望我,替兄长们问候我,又替我给母亲带去莲花。我心满意足,再快乐不过了。
【阿修羅】
「お前が言いたくないなら、俺が言おう。お前が浮かない顔してるのは、他人の心の声が聞こえるお前には、本当のことがわかっているからだ。兄が来ないのはお前が嫌いだからだ。父は蓮花のことを口実に、お前の霊神体を強くさせたいだけだ。何が聖なる子供だ。皆十天衆に近づくために、お前を利用しているだけだ。ここに座っているのは、お前が母親に渡すつもりだった蓮花を、父親が道端に捨てようとしているからだ。母親に会いに行くつもりなどはなからなかった。」
既然你不说,不如让我说给你听。你闷闷不乐,是因为你能够听到他人心声,知道事情真相。你听到你的兄长是厌恶你才不肯来访,听到你的父亲只想以莲花为借口来逼迫你锻炼灵神体。听到你的族人根本不相信什么圣子降神,只想靠你与十天众搭上关系,谋求利益。你坐在这里,更是因为临走时,你听到你父亲已准备将你献给母亲的莲花丢在路旁。你的母亲他根本不会去造访。
【少年帝釈天】
「本当に地獄から来た鬼なんですね。こんな残酷な話、聞きたくないのに……」
你果真是地狱来的恶鬼,我明明不想听见这样残忍的话,你却偏要说给我听……
【阿修羅】
「自分を騙しても仕方ない。いずれわかることだ。」
自欺欺人毫无益处,总有一天你会明白。
【少年帝釈天】
「皆自分を騙し、目を背けています。でも僕は、目を背けることができない…代わりにこの手で皆の目を隠すことしか。」
人人都想自欺欺人,想捂住自己的眼睛,我捂不住自己的眼睛,至少能伸出手来,帮大家捂住他们的。
【阿修羅】
「お前はどうなる?」
那你自己呢?
【少年帝釈天】
「皆が目を瞑っていたら、僕のことは見えないでしょう?」
大家都闭上了眼,又有谁来看我是不是也闭上眼了?
阿修羅は帝釈天の腕を掴み、幼い彼を引っ張り上げた。
阿修罗抓住了帝释天的手腕,把年幼的帝释天从石阶上提了起来。
【阿修羅】
「お前の手は、そんな事をするためにあるのか?手に入れたいものを、知りたい真実を、この手で掴み取れ。それともあいつらが言うように、聖なる子供とやらを気取って、誰かに献上してもらうのか?」
你生了这双手,难道就拿来做这种事吗?想要的东西,想知道的真相,不用这双手去夺取。难道真的如他们所说,想做什么圣子,让人献上在你面前吗?
【少年帝釈天】
「違う!僕はただ、家族やここにいる従者達を傷つけたくないだけです。」
当然不是!我只是不想伤害父母兄弟,也不想伤害这里的侍从们。
【阿修羅】
「目を開けて、よく見ろ。俺はお前の家族でもなく、従者でもない。俺はお前の鬼神、お前の地獄から来た。」
睁开双眼,将我好好看清楚,我不是你的父母兄弟,也不是你的侍从。我是你的鬼神,来自你的地狱。
帝釈天は驚いた。彼の目の中に、一瞬子供らしい悩みが見えた。その後目の中にはまた希望が燃え上がり、彼は顔を上げて阿修羅の手を掴んだ。
帝释天吓了一跳,他眼中孩子气的懊恼一闪而过,又暗淡下去。紧接着眼中又燃起希望,他抬起头来抓住了阿修罗的手。
【少年帝釈天】
「鬼神様、母上のところに連れていってくれませんか?」
鬼神大人,你能带我去见母亲吗?
阿修羅は記憶を頼りに、帝釈天を善見城外の療養地に連れてきた。
阿修罗于是凭着记忆,带帝释天来到了位于善见城外的疗养地。
【阿修羅】
「ここが貴族専用の療養地だ。お前の母が本当に病にかかっているなら、ここで静養しているはずだ。」
这里是善见城中贵族们专用的疗养地,如果你的母亲真的身患重病,她应该被你父亲安置在了这里。
【少年帝釈天】
「あそこにうちの紋章があります。母上はきっとここにいます。でもどうして……扉と窓に鍵がかかっているのでしょう?」
看这里,这是我族的家徽,这里一定是父亲为母亲安排的地方。只是……这门窗为什么都是锁着的?
【阿修羅】
「どいてくれ。」
你让开些。
阿修羅が霊神体を使って扉の錠を壊すと、帝釈天は礼を言うのも忘れて中に入っていった。
阿修罗用灵神体劈开了门锁,帝释天来不及感谢他就直接冲了进去。
【少年帝釈天】
「母上、ここにいるのですか?」
母亲,您在这里吗?
【帝釈天の母】
「……誰?誰がそこにいるの?」
……是谁?谁在那里?
【少年帝釈天】
「母上、帝釈天です。覚えていますか?あなたの息子です。今朝咲いた蓮花を採ってきました。母上は蓮花が大好きだと、父上から聞きました。」
母亲,我是帝释天,您还记得我吗?我是您的小儿子。我给您准备了今早刚刚盛开的莲花,父亲说过,您最喜欢莲花的。
【帝釈天の母】
「蓮花……蓮花?ああああああああ!来ないで!来ないで!悪魔め!産んであげたじゃない!どうして私につきまとうの!」
莲花……莲花?啊啊啊啊啊啊啊!滚开!滚开!你这恶魔!我已经将你生下来了!你为什么还要来缠着我!
【医師】
「何だ、誰が帝釈天を中に入れたんだ?」
怎么回事,是谁放你进来的?
【帝釈天の母】
「ああああ!私の頭の中で喋らないで!出ていけ!私の頭の中から出ていけ!」
啊啊啊啊!不要在我脑海里说话!滚出去!从我的脑海里滚出去!
【医師】
「早く薬を!」
快拿药来!
【少年帝釈天】
「お医者様、母上は一体?」
医师大人,我母亲得的到底是什么病?
【医師】
「彼女は狂っている。神の力は、常人には耐えられないものだ。ましてや体内に宿すなど。これは聖なる子供を産んだ証拠だ、誇っていいことだ。」
她得的是疯病,常人本就无法承受神力,更不要说被寄生在身体中。她的疯病正是她诞下圣子的证明,是她的荣耀。
【少年帝釈天】
「そんな……母上は僕のことを誇りに思っていると、父上が言っていたのに。僕はずっと母上を思って、待っていたのに。狂うことが母上の誇りなら、一族の誇りだと言われている僕は、一体何なんだ?」
怎么会这样,父亲分明说过,母亲以我为荣,我一直在等,也一直在思念她。如果疯癫是母亲的荣耀,那父亲说我是家族的荣耀,我又算是什么?
【阿修羅】
「お前はとっくにわかってるいるんだろう?お前の父親は、お前を母親に会わせることを拒んでいた。お前はとっくに父親の噓を見抜き、本当のことを知っていた。とぼけるにもほどがある。帝釈天、現実を見ろ。」
你其实心中早有论断不是吗?你的父亲百般推脱,阻挠你和生母相见,你早就看穿了他的谎言,你早就知道这摆在眼前的真相。自欺欺人总该有个限度,帝释天,你是时候从这梦中醒来了。
【少年帝釈天】
「いいえ、きっと方法はあります。僕はこの力を失ってもいい。命をかけてもいい。愛する人を救う方法は、きっとあるはずです。」
不,一定还有办法,我宁愿不要这力量,也不要这性命,一定会有办法,让我救下我爱的人。
帝釈天は諦めず、療養地に数日間留まり、母親が寝ている間だけ様子を見に行った。
不肯放弃的帝释天在疗养地留了数日,只在母亲沉睡的时候才能走近她身边。
【少年帝釈天】
「母上は常に狂っているわけじゃない。少しだけ正気に戻る時がある。狂っている時の母上の狂気、苦しみが、僕にはわかる。この檻から抜け出したくても、どうにもできないんだ。母上の苦しみを感じられるのに、どうして僕が代わりに背負うことはできないんだろう?苦しみや狂気を肩代わりできれば、僕の愛する人は解放される。」
母亲并非是一直疯癫,她时而清明,只是不能长久。当母亲疯癫时,我也能够感受到她的疯狂,她的痛苦,她想要逃出这个牢笼,却又无能为力。如果命运让我能体会她的痛苦,她的痛苦为何不能全部由我承担?让我替人痛苦,替人疯癫,这样一来,我爱的人,就能重获自由。
【阿修羅】
「……帝釈天、お前はここに長居しすぎだ。今日こそ連れて帰るぞ。」
……帝释天,你已在这里留了太久。今天我必须带你离开。
【少年帝釈天】
「鬼神様、付き合ってくれてありがとうございました。今日で最後にします。最後に母上と散歩に行かせてください。すぐ戻ります。」
鬼神大人,谢谢你帮我到现在。我保证今天是最后一天,请容许我最后带母亲去散散心,很快就会回来。
【阿修羅】
「勝手にしろ。」
就随你吧。
日が落ちても、帝釈天は戻ってこなかった。二人の行方を捜すために療養地を出た阿修羅は、近くの森で鬼族の気配を感じた。気配を追っていくと、金細工と戦いの痕跡を見つけた。
到了天黑时分,帝释天依然没有回来。阿修罗离开疗养地四处找寻二人的踪影,却在附近的树林里感受到了鬼族的气息。追踪气息而去,一路找到了一些掉落的金饰和打斗的痕迹。
【阿修羅】
「当時、鬼族が善見城近くの天人貴族の領地に潜伏して、帝釈天親子を攫ったというのか?……とんでもない裏がありそうだ。帝釈天、母親を連れて、お前はどうやって生き延びたんだ?」
当年,竟有鬼族潜伏在善见城附近的天人贵族领地,还掳走了帝释天母子二人吗?……这背后必定暗流汹涌。帝释天,你又是如何带着你的母亲,从这场劫难中活了下来?
痕跡を辿り、阿修羅は鬼族が隠れる洞窟を見つけた。洞窟の入り口には鬼の死骸が散乱している。鬼は惨い殺され方をし、妙な姿勢のまま倒れている。地面に伏せ右手を伸ばし、己の心臓を貫いている。
顺着痕迹,阿修罗很快找到了鬼族藏身的洞穴,只见洞口满地是恶鬼的尸骸。死去的恶鬼面目狰狞,死相惨烈,姿势诡异。无一不是伸出右手趴伏在地,心口被自己的利爪掏穿。
【阿修羅】
「?!帝釈天!どこにいる!」
?!帝释天!你在哪里!
阿修羅が洞窟に飛び込むと、奥で血にまみれた帝釈天と彼の母親を見つけた。帝釈天の母親は気絶している。帝釈天は傷を負っているが、致命傷ではない。阿修羅は二人を療養地に運んだ。一夜が明けて、先に目を覚めたのは帝釈天の母親だった。
阿修罗冲进了洞穴,在深处找到了帝释天和他的母亲,两人都倒在血泊中。帝释天的母亲只是昏迷了过去,帝释天则是身上有些伤痕,并没有致命伤。阿修罗将两人抗回了疗养地,修养一夜后,先醒来的却是帝释天的母亲。
【帝釈天の母】
「ここは……私は一体、何を?そうだ、あの子は、あの子はどこ?」
这里是……我到底是,发生了什么?对了,那个孩子,那个孩子呢?
正気を取り戻した女は隣で眠っている帝釈天を見ると、彼を抱きしめて泣き崩れた。意識が朦朧とした帝釈天が、驚いて目を覚ました。
清醒过来的女人看到了躺在自己身边的帝释天,急忙低头抱住了他,然后嚎啕大哭了起来。将还昏昏沉沉的帝释天从梦中惊醒了过来。
【少年帝釈天】
「母上……ご無事ですか?」
母亲……您没事吧?
【帝釈天の母】
「今までずっと、何がどうなってるのか分からなくて。もうこんなに大きくなったのね。私のせい。私が悪かった。愛しい我が子よ、これからは一緒にいましょう。」
我这些年浑浑噩噩,都记不清发生了什么,你竟然已经长得这么大了。是我不好,是我错了,你是个好孩子,我今后一定会好好地对你。
【少年帝釈天】
「母上、治ったのですか?本当に良かった、家に帰りましょう。父上と兄上達もきっと喜びます。これからは家族皆一緒です。」
母亲,您果然痊愈了?太好了,我这就接您回家,父亲和哥哥们一定会很高兴,我们一家人终于可以团聚。
【帝釈天の母】
「そうね、帝釈天、家に帰りましょう。」
我们回家吧,帝释天,我们这就回家吧。
【阿修羅】
「これは一体……どういうことだ。」
这究竟是……怎么回事。
夢の中の親子二人は、阿修羅のことを無視する。白い蓮花が咲くはずだった帝釈天の背後には、血の色の蓮花が咲いた。その光景を見ていた阿修羅は、思わず赤い蓮花に手を伸ばした。花びらに触れた瞬間、夢は鏡のように砕け散った。
梦中的母子二人对阿修罗熟视无睹。阿修罗却看到帝释天的背后本应生出白莲的地方,长出了一朵血色的莲花。面对着这诡异的一幕,阿修罗不由伸手去触碰那株红莲。然而就在触碰到花瓣的一刻,梦境如同镜子一般碎裂开来。
……深淵の獄、地獄道の陣眼前
——深渊之狱,地狱道阵眼前
【小白】
「阿修羅様、戻ってきましたか!」
阿修罗大人,你回来了!
【晴明】
「陣眼は解き放たれた。夢の中で何か分かったか?」
阵眼已经解开,不知阿修罗大人在梦中,是否看到了想探明的东西。
【阿修羅】
「不思議で悲しい夢だった。ある程度見当はついている。」
是一个诡异却悲伤的梦。我的心中有了一些猜测。