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69、祈神之宴 ⑦ ...

  •   ——幻境の中、女王の宮殿

      ——幻境之中,女王宫殿

      【翠】

      「孔雀明王様、家を失った民の救助と国に忠誠を誓う兵士の再編成は完了しました。皆は次の命令を待っています。残りの長老は、始末しておきますか?」

      孔雀明王大人,失去家园的民众已被重新安置,选择忠于国家的卫队也被我们收编,就等您下一步的指示了。那些剩余的元老,需要我帮您处理掉吗?

      【孔雀女王】

      「いいの、権力や財産を押収して更生を促すよ。彼らにとって、これは死よりも辛い罰。」

      不用,我会剥夺他们的权力和财富,让他们自力更生,这比要了他们的命更有价值。

      【翠】

      「一つだけ解せないことがあります。悪神は我々の守護神を取って代わり、孔雀の国で悪逆の限りを尽くしたのに、真相を知っている大長老は、どうして一度も本気で抵抗しなかったのでしょう?」

      我有一点不是很明白,恶神取代了我们的守护神,肆意侵害孔雀国,大长老明知真相,为何从未真正反抗过?

      【孔雀女王】

      「彼らの祖先は、最初に色欲の神に降伏し、色欲の神の力を笠に着て孔雀の国を手に入れ、権力を握ったのだから。だから、彼らは孔雀の国から霊力を吸い取る色欲の神に対しては見て見ぬふりをする。そして孔雀の国の女王は、最初から操り人形で、一時の平和を求める大長老が捧げた生贄でしかない。これからは…… 」

      因为他们的祖辈就是第一批投靠色欲之神的人,在色欲之神的赐福下掌控了孔雀国,登上权力的宝座。所以,他们会放任色欲之神吸食孔雀国的灵力。而孔雀国的女王,从始至终都只是被操控的傀儡,是大长老为求一时安宁而献出的祭品。至于下一步……

      その時扉が開き、入ってきた兵士達は、女王に敬礼をする。

      此时门扉拉开,一队侍卫进入宫殿,向女王敬礼示意。

      【孔雀女王】

      「皆、色欲の神は際限なく孔雀の国の霊力を吸い取るせいで、人々は苦しい生活を強いられている。決めた、先手を取り色欲の神を打つ。この戦いは、先手を確保しなければならない。前哨部隊は悪神がいる砂漠神宮に潜り込み、宮殿を内部から破壊して、増援のために有利な環境を作る。勇気を持つ者に前哨部隊に参加してほしい、隠すつもりはない。前哨部隊は危険な目に晒される可能性が大きい。だから私も前哨部隊に参加する。他にも前哨部隊に参加する者がいるか?」

      诸位,色欲之神肆意吸食孔雀国的灵力,孔雀国民不聊生。我决意主动出击,攻击色欲之神。此次战斗,我们需要抢占先机,先行军队将会潜入恶神的荒漠神宫,从内破坏,以减少后续军队的伤亡。而我需要勇士组成这支先行队伍,我不会隐瞒先行队伍将会面临的凶险,因为我自己就是这支队伍的第一人。不知你们中有谁愿意加入这支队伍。

      孔雀明王は剣を握り締め、皆の返事を待っている。

      孔雀明王握紧了手中的剑柄,等待众人的答复。

      【晴明】

      「孔雀明王様、私に参加させてください。」

      孔雀明王大人,请算上我。

      晴明が最初に応募したあと、残りの兵士達も入隊を志願した。

      随着晴明主动请缨,剩下的侍卫也都纷纷表达了意愿。

      【孔雀女王】

      「全員決意したね。孔雀の国は必ずや悪神を討ち滅ぼし、繁栄を取り戻せる!」

      诸位,有你们这样的决心,孔雀国定能铲除恶神,恢复繁荣!

      【晴明】

      (孔雀明王の邪心の火の源に近づいているようだな)

      (看来我离孔雀明王心邪之火的来源应该越来越近了。)

      ———監禁塔

      ——监禁高塔

      閉ざされている薄暗い塔の中。

      阴冷幽闭的高塔之中。

      【大長老】

      「はー、孔雀明王様は監獄に来れるほど暇だったか。勝てば官軍、負けた者を活かす必要はあるのか?」

      呵呵,没想到孔雀明王大人还能抽空来这个地方看我。成王败寇,何必要留我一条性命呢?

      【孔雀女王】

      「できれば、無意味な犠牲を出したくない。それに今のあなたは脅威にすらならない。」

      可以的话,我并不想沾染无意义的鲜血,何况现在的你,对我也构不成任何威胁。

      【大長老】

      「どうやら白の女王とは違い、今の女王は慈悲深い方みたいだな。」

      看来您与那位白女王不同,是多么的仁慈高洁。

      【孔雀女王】

      「それはどういう意味?」

      你这话是什么意思?

      【大長老】

      「知っているぞ。今まで、お前は何度もこっそりとあの捨てられた寝殿を訪れた。例えあの女がとっくにいなくなったとしても。一人で冷めきった暖炉の前に腰を下ろすのは、素敵な過去を思い返しているか?」

      我知道的,一直以来,你有私下光顾过那处废弃寝宫,即便她已经不在那里了。独自一人坐在那寒冷无火的壁炉前,是在回忆过去的美好时光?

      【孔雀女王】

      「全部見たか?」

      你都看到了?

      【大長老】

      「ああ、例えお前が自分の気持ちを抑え込み、一度も他人に教えなかったとしても。わしだけは知っているぞ。お前を突き動かし、命をかけても孔雀の国を変えたい原因は、どうせあの女だろう?何を期待している?なんとしても助けたい姉は潔白で純潔な人だと本気で思ってないよな?」

      当然,纵使你压抑着自己的内心,从不在他人面前表露。但我知道的,致使你走到这一步,冒死也想改变孔雀国的原因,一直都是因为她?你在期待着什么呢?难道你真的以为,你心心念念想要救回的姐姐就是纯白无辜的么?

      【孔雀女王】

      「……」

      【大長老】

      「祈りの儀式とやらが気になるのでは?月の初め、白の女王は一度も怠らなかったあの謎の儀式が。」

      你不是好奇那个所谓的祷告仪式么?每个月初白女王都会参加的神秘仪式。

      【孔雀女王】

      「その儀式は、色欲の神と同調するあなた達が、闇の術を研究する場所でしょう。」

      那个仪式,是你们与色欲之神进行精神连接,研习暗黑法术的地方吧。

      【大長老】

      「ふふふ、そうだとしても、わしは夢でも神の力を手に入れたい。しかし皮肉なことに、色欲の神にはただの手駒、ただの道具しか思われてない。」

      呵呵,没错,我做梦都想获得神明的力量。但很可惜,我不过是色欲之神眼中的棋子,神明的工具罢了。

      大長老は足の甲を見せてくれた。それは黒い痼がみっちり並んでいて、反吐が出るほど醜い。

      大长老露出了他的脚背,上面布满了黑色疙瘩的硬块,触目惊心的丑陋。

      【大長老】

      「力を求め、神の使いになりたいと懇願した。しかしこんなものしかもらえなかった。一方、お前の姉は、見た目がいいからって、たやすく色欲の神の寵愛を手に入れた。あの時は羨ましすぎて狂いそうだった。あれだけ努力して神を喜ばせてみたわしは、結局取るに足りない術しか得られなかった。」

      我向他祈求力量,渴望成为他的神使,他却赠予我这一颗硬石之心。而你的姐姐,只是因为那副皮囊就能不费吹灰之力,得到色欲之神的垂怜。那个时候真是令我嫉妒啊,如此努力取悦神明的我,换来的,只是一些旁门左道的法术。

      【孔雀女王】

      「以前流行っていた黒石病は、あなたが散布したでしょう。」

      之前民间流传的黑石病,便是你传出去吧。

      【大長老】

      「それがどうしたんだ?わしは神の恵みを皆に分け与えたいだけだ。ははは、諸行無常、貴族の支配を覆したってどうにもならない。お前を導き、光を分け与えた星は落ちる。実に楽しみだな、お前ら姉妹二人の末路が。」

      是又如何?我只是想将神迹分享给大家罢了。哈哈哈,世事无常,即便你推翻我了我的统治又如何,那颗引领你、照耀着你的明星亦将陨落。真是令人期待啊,你们姐妹之间的末路。

      【孔雀女王】

      「……」

      ——夜

      ——夜间

      薄暗い月明かりを浴びながら、皆は砂漠神宮の付近に待ち伏せる。おかしなことに、まるで「お客」が来るのを知っているかのように、神宮は明かりをつけ、扉が開いている。それに気づくと、孔雀明王は隠れるのを諦め、そのまま神宮に入った。神殿の中、一人の猛々しい大柄な男は気だるそうに玉座に座り、現れた孔雀明王を見つめている。

      月光幽寂,众人埋伏在恶神的沙漠神宫附近。尤为诡异的是,仿佛得知有「客人」到来,神宫前灯火通明,大门敞开。见状,孔雀明王也不再选择隐藏,径直走入神宫。神殿之上,一位身材魁梧的英气男子慵懒地坐在王座之上,凝视着到来的孔雀明王。

      【迦摩天】

      「待っていたぞ、孔雀明王様。この前汝の舞を目にしてから、その美しい姿はどうしても忘れられない。だから、花束を用意し、下僕に愛の詩を伝えとも命じた。それらは届いたか。」

      等你很久了,孔雀明王大人。自上次观赏到你在台上的一舞,你那曼妙的身姿便在吾的心中留下了深刻的印象。在此之后,吾为你制作了花束,也差遣吾的仆人为你书写了情诗,不知你是否收到。

      【孔雀明王】

      「花束って、人の皮を使って作られたあれか?」

      你指的花束,是那人皮制作的玩意儿吗?

      【迦摩天】

      「そうとも、汝に送る血肉の花には、例外なく我の愛情が宿っている。」

      是的,赠予你的每一朵血肉之花,都包含了我沉甸甸的爱意。

      【孔雀明王】

      「恥って言葉が知らないの?」

      我看是无耻吧?

      【迦摩天】

      「汝は我を知らない。女王様、我は紛うことなき色欲の神だが、誰よりも純粋で真摯なる愛を求めている。我が憧れる究極の愛は、即ち血肉の融合となる。我は望んでいる、汝が我の一部になることを。お互いの呼吸を、脈動を感じ、同じ心臓の鼓動を分かち合おう。汝の美しい目、なめらかな髪、艶かしい唇、すべての美しさは、最も美しい時間に止まり、我だけのものになる。」

      你并不了解吾,女王陛下,吾虽是色欲之神,但吾追寻的爱,比任何人都要纯粹且真诚,我所渴求的究极之爱,乃是骨肉相融。吾无比渴望着,你能成为吾的一部分。一起感受彼此的呼吸,感受彼此的脉搏跳动,共享同一颗震动的心脏。你那明媚的双眸,柔顺的发丝,红艳的双唇,那所有美好的一切,都将永远停留在最美的那刻,让吾独自占有。

      【孔雀明王】

      「褒めてくれてありがとう。でも今日はね、あなたの命を絶つために来た。」

      感谢你的盛赞,但我今天此行,是来取你性命的。

      【迦摩天】

      「ちょうど同じことを考えてた。一緒に黄泉に赴こう、女王様。」

      我也正有此意,与我携手共赴黄泉吧,女王陛下。

      【孔雀明王】

      「誘ってくれて嬉しい。でも黄泉に赴くなら、あなた一人で十分だわ。」

      承蒙邀约,不过要去往黄泉的,仅有你一人罢了。

      孔雀明王は色欲の神の両目を狙い定め、数え切れないほどの矢を放った。色欲の神の後ろで蠢く砂はなだれ込んできた。一方、孔雀明王は羽を広げて砂を防ぐ。砂が地面に落ちた瞬間、神宮は全て変わり、昔の景色は今一度再現されていく。懐かしい人影は目に映った、それは白の女王だった。この時、彼女は悪神の向かいの席に座っている。明かりに明るく照らされる机には、美味しそうな料理が置いている。

      孔雀明王的手中飞出了无数羽箭,径直射向色欲之神的双眼。而色欲之神的身后,如蝎状触手的黄沙奔涌而出,孔雀明王则展开羽屏阻挡住了黄沙。黄沙落下,整个神宫都发生了变化。如同画面再现一般。一个熟悉的身影映入眼中,那是白女王。此刻,她正与恶神面对面而坐,餐桌上点着烛火,面前摆着一道美味的佳肴。

      【迦摩天】

      「愛しい女王様よ、これは我が用意した晩餐。最近食欲がないと聞いたが、きっとこの前使った脚肉がまずかっただろう。だから今度は新鮮な内臓を一緒に素敵な晩餐を楽しもう。」

      我亲爱的女王陛下,这是吾为你准备的晚餐。听闻你食欲不佳,或许是之前选用的腿肉过柴,所以这次专门选择了新鲜的肝脏,让我们一同享受此刻美妙的晚宴吧。

      【白孔雀】

      「この食材は……」

      这食材是……

      【迦摩天】

      「食材?それはもちろん——先代の女王様だよ。あ、すまん、気にすんな。我が本当に愛しているのは、いつでも汝だよ、愛しい白の女王。で、どうするつもりだ、汝の気持ちが知りたい。」

      食材?当然是——上一位女王陛下。哦,抱歉,请你不要多虑,如今我真正所爱的,一直都是你,我的白女王。那么你呢,我想知道你的心意。

      【白孔雀】

      「私もあなたを愛しています、我が王よ。」

      我也一样爱着你,我的王。

      白孔雀はお肉を綺麗に切り、優雅に口に入れた。まるでこの世で一番美味しい料理を楽しんでいるみたい。

      白孔雀切开肉片,优雅地放入口中。仿佛在品味一道世上最美味的料理。

      【白孔雀】

      「とても……美味しいです、我が王よ。」

      甚是……美味,我的王。

      【迦摩天】

      「そうかな?我から見れば先代の女王もこの程度のもんだ、まったく味気無い。汝と比べると、まったく話にならない。」

      是么?不过在我看来前代女王的滋味也不过如此,寡淡无味,比起你来说,根本不值一提。

      【白孔雀】

      「……それは私への告白と受け取ってもいいかしら?」

      ……我能理解成这是你对我的告白么?

      【迦摩天】

      「ははは、愛しい妻よ、汝は初めての素直に向き合ってくれる、我を恐れない女だ。汝は他の女のように、我を知った瞬間、震え上がるかと思ってた。我の足元にひれ伏し、涙を流して許しを請うかと想像してた。」

      哈哈哈,我亲爱的妻子啊,你是第一位如此坦然的,不曾恐惧我的女人。我本以为你会像她们一样,在了解我之后,瑟瑟发抖,双腿打颤。跪在我的面前,涕泪横流,请求我的饶恕。

      【白孔雀】

      「うふふ、そんなことないでしょう、あなたは私の愛しい夫ですもの。あなたに私のすべてを捧げます。ご存知でしょう、私はあなたに憧れている、そしてあなたは私を選んでくれた。これはもう運命ではありませんか。ですから、どんな人でも私は受け入れ、愛を捧げるのです。」

      呵呵,怎么会呢,你可是我最爱的夫君。我愿意将我的全部都奉献给您。您知道的,我一直都仰慕着您,而您也选择了我,这是神赐的良缘。所以,无论是怎样的您,我都会无条件地包容,并爱戴着。

      【迦摩天】

      「愛しい妻よ、世の中で本当に我を理解し、受け入れる女よ、言ってみろ。汝の願いはなんだ?」

      我亲爱的妻子啊,你是这个世上真正理解我,并包容我的人,说吧,你的愿望是什么?

      【白孔雀】

      「嬉しいです、愛しい夫よ。実は打ち明けたいこと、そして協力してほしいことがあります。」

      真是令我感动,亲爱的夫君啊,其实我也有一事想向您坦诚,同时也请您帮我一个小忙。

      【迦摩天】

      「ほう?それは?」

      哦?是什么?

      【白孔雀】

      「代わりに、孔雀の国を攻め落として……」

      替我,攻打孔雀国……

      景色はそこで途切れ、後ろに現れた迦摩天は、嘲笑を浮かべる。

      眼前的画面戛然而至,迦摩天现于身后,发出嗤笑的声音。

      【孔雀女王】

      「……そ、そんなのありえない、白の女王をどこに隠した?」

      不……不可能,白女王被你藏到了哪里?

      【迦摩天】

      「見ただろう、それでも、真相を受け入れたくないか?それが汝の姉の願いだ。ただし、もし我の愛を受け入れるのなら、白の女王を愛しているように、汝を愛してやる。そうすれば、姉と再会できるじゃないか?」

      看到了吧,即便如此,也不愿接受真相么?这就是你姐姐的愿望。不过,若你接受我的爱意,我也会像爱着白女王那般,爱着你。这样,你们姐妹两也能再次重逢了,不是么?

      【孔雀女王】

      「ふざけるな、必ず姉を見つけ出して見せる。彼女を隠したならば、この神宮をひっくり返すだけ。彼女を食ったのなら、お前の腹を切り裂くまで。」

      真是大言不惭,若是你将她藏起来了,我便把你的神宫掀翻,若是她被你吞了,我就将你开膛破肚。

      【迦摩天】

      「はははは!滾ってきた。しかし、神宮に足を踏み入れた時、汝はすでに追い詰められたも同然。」

      哈哈哈哈!那才叫人兴奋。不过,自你踏进神宫起,你就已经是我的囊中之物。

      この瞬間、迦摩天の神宮は肉色の壁に姿を変え、孔雀明王に迫ってくる。不敵な笑みを浮かべたあと、意外なことに、孔雀明王は一本の羽になって地面に舞い落ちた。本当の孔雀明王は外側で、神宮の変化を観察している。

      此刻,迦摩天的神宫霎时化为血红的肉壁,朝着孔雀明王逼近。孔雀明王冷笑一声,身形竟化为了一根羽毛,飘落而下。真正的孔雀明王正浮在神宫之外,凝视着神宫的变化。

      【孔雀女王】

      「矢を放て!」

      放箭!

      飛び舞う孔雀神火は矢に塗り付けた燃料に火をつけた。爆発音が響き続ける中、砂のように流れる神殿は何度も爆破された。神火に当てられた色欲の神は痛みを我慢できずに正体を現し、砂嵐で人々を襲おうとする。

      无数的孔雀火从她身后飞出,箭矢上涂抹的可燃物一一被点燃,随着此起彼伏的爆炸声化为沙状的神殿不断遭到爆破。受神火炙烤的色欲之神疼痛难忍,露出原型,试图以沙暴将地面上的人们卷起。

      【晴明】

      「皆離れて、一箇所に集まるな!」

      大家分散开来,不要站在一处!

      気ままに砂嵐を引き起こした迦摩天は急に背中が痛いと感じた。砂嵐をくぐり抜けた孔雀明王は、ひらりと彼の背中に舞い降り、剣を甲羅の中に深く刺し込んだ。迦摩天は孔雀明王を振り落としてみたが、身軽な彼女を振り落とすどころか、むしろ逆に甲羅をこじ開けられ、そのまま肉を敵の攻撃に晒した。孔雀神火は甲羅をくぐり抜け、無防備になった肉をぽつぽつと焼いている。

      肆意卷起黄沙的迦摩天背部突然传来疼痛,孔雀明王穿过漫天黄沙,轻盈地落在他的背甲之上,将手中的羽剑深深地刺进了他的背部。迦摩天想要将背部的孔雀明王甩下,但孔雀明王过于灵活,不仅未能将其甩下,倒是被她借力撬开背甲,露出了背甲下的软肉。孔雀神火钻入背甲之下,燃烧着软肉,发出滋滋作响的声音。

      【孔雀女王】

      「焼け焦げた匂いかと思ってたけれど、まさか肉を焼くのようないい匂いがするとはね。」

      我原以为你的肉焚烧起来会是一股焦臭味,但没想到却是烤肉的香气。

      神火は剣を伝って迦摩天の体に入り込み、彼の内臓を燃やしている。怒り狂う迦摩天は今まで以上の勢いで再び空を覆い隠す砂嵐を呼び起こし、その場から逃げようとする。

      神火顺着羽箭烧入了迦摩天的身体之中,炙烤迦摩天的五脏六腑,愤怒的迦摩天以更强的力量再度唤起风沙,遮天蔽日,试图遁匿。

      【孔雀女王】

      「私と一緒に黄泉に赴くじゃなかったの?どこに行く気なの?」

      你不是要与我共赴黄泉的么?这是要逃去哪?

      【迦摩天】

      「ふん、この前傷を負い神力を消耗しなかったら、この程度の攻撃などどうということはない。白の女王に会いたいだろう?その思いに免じ、願いを叶えてやろう!」

      呵,若不是我本就带伤在身,折损了神力,这点伎俩算什么。你不是要见白女王么?既然你们姐妹情深,那我便成全你!

      迦摩天が言い終わった瞬間、孔雀明王は後ろに誰かがいると気づいた。振り返ってみると、それは白の女王だった。

      迦摩天话音刚落,孔雀明王察觉到身后有人,转身望去,发现来人正是白女王。

      【孔雀女王】

      「姉……様!うっ……」

      姐……姐姐!嘶……

      白の女王は無表情のまま、凶器で孔雀明王の胸を貫いた。彼女は幻のように透けていき、同時に汚れた煙に包み込まれた。

      白女王神色冷漠,她手执尖刺径直刺穿了孔雀明王的胸口。她的身形如幻影般,忽隐忽现,同时冒出污秽的烟雾。

      【迦摩天】

      「実に感動的な再会じゃないか。さらばだ、女王様。傷が治った時、必ずまた会いに来るよ。」

      多么激动人心的再会啊。再见了,女王陛下。等我养好伤,定会回来与你再续前缘。

      青は落ち続けている、一方、迦摩天は白の女王に手を差し伸べた。姉様が迦摩天の手を取り、一緒に遠くに消えたのを青は見た。大きく開いた羽衣は落下速度を落としてくれたおかげで、孔雀明王は軽やかな羽のように地面に舞い降りる。上の様子に気づいた晴明は、落ちてくる孔雀明王を受け止めた。

      青不住地向下坠去,而迦摩天向白女王伸出手,她望见姐姐握住了迦摩天的手,两人一起消失在了天际。羽衣张开,减缓了下落的速度,孔雀明王如同一根羽毛般轻轻落下,晴明抬首,接住了落下的孔雀明王。

      【孔雀女王】

      「姉様、どうして……」

      姐姐,为什么……

      さっきまで揺るがなかった決意は崩れたみたい、孔雀明王はぼうっとしている。一方、貫かれた胸倉は、汚れた邪気が漂っている。その瞬間、晴明は孔雀明王が邪心の火に侵される理由を、彼女が怖がっているものを悟った。同じ瞬間、世界は再び激しく揺れ出し、砕けた鏡のように崩壊していく。目の前には、孔雀明王は泥沼に囚われている。鋭い棘に縛られているせいで、手足は血が滲んでいて、傷口は邪気が漂っている。近くにいる白の女王と迦摩天の幻影は重なり、融合している。

      孔雀明王不似方才的坚定,此刻只是恍惚,而她被刺穿的胸骨处,正散发着一股污秽邪气。在那一瞬,晴明知晓了孔雀明王的心邪之火来源何处,以及她心中恐惧之物为何。也是在这一瞬间,整个世界开始再次发生了剧烈的坍塌,如同碎镜一般,剥落碎开。眼前,孔雀明王深陷泥潭之中,锋利荆棘将她束缚住,她的四肢渗出鲜红,伤口正在被邪气所腐蚀。不远处,白女王与迦摩天的幻影,正不断地交织、融合。

      【白の女王幻影】

      「妹よ、あなたは私を恐れている。会いたいけれど、会うのを恐れている。残酷な真相をすべて知った時、あなたはどうやって私に向き合うかしら?信じている私には裏の顔があると気づいた時、きっと辛かったでしょう?あなたがそうなりたいと願う人は、実は追いかけるべき目標じゃないかもしれない。」

      我的妹妹啊,你的内心在恐惧我,既想见到,却又害怕见到。若你知晓了所有残酷真相,你该如何直面我?当你发现你所坚信的我是另一幅模样,内心应该很痛苦吧?你想要努力成为的人,或许并不值得你去追逐。

      【迦摩天幻影】

      「すべてをかけたのに、結局、知りたくもない答えを手に入れるとはな。まるで旅に出て、帰り道が分からなくなった旅人みたいじゃねえか。汝に孔雀の国に革命をもたらし、我を殺そうとしている。すべては愛しい姉様のためだろう?」

      你所付出的一切,换来的,却是你最不想知道的答案。就像启程之人,再也无法找到归途。你改革孔雀国,妄图将我杀死,所做一切皆是为了亲爱的姐姐,不是么?

      【白の女王幻影】

      「妹よ、私をも刃に掛けるのか?私の体を貫いて羽衣を赤く染め上げるの?憶えているかしら、月明かりを浴びて舞を踊る時、私の側で守ってくれると言ったでしょう。」

      我的妹妹啊,你舍得对我挥剑而下么?将我的羽衣染红,将我的身躯刺穿,你还记我们月下的共舞么?你说过会站在我的身边,守护我。

      恍惚としている孔雀明王は泥に呑まれ、沼の奥に落ちていく。

      陷入恍惚中的孔雀明王正被污泥吞噬,渐渐沉入沼泽之中。

      【晴明】

      「青!」

      久しぶりに本当の名前を呼ばれたので、孔雀明王はわずかに動いた。

      这是孔雀明王许久以来听见有人再次呼喊自己的真名,她似乎有所反应。

      【晴明】

      「よく見てください、あれはあなたの姉様ではありません!あなたが恐れるものは分かった。あなたは愛する人を恐れていて、自分の気持ちに素直になれません。」

      好好看清楚,那并不是你的姐姐!你心中恐惧之物,我已寻得,你所惧怕的是你最爱之人,你无法面对的却是自己的情感。

      【孔雀明王】

      「……おっしゃる通りだわ、晴明様。私は頑張って彼女の後ろ姿を追いかけてて、何度もつまずいて、何度も立ち上がった。彼女のために、私はこの国を変えたいと思った。しかし最終的に、彼女も私を邪魔していると気付かされた。幼い頃、尾羽が不完全なせいで、歩くことすらままならなかった。その時は姉様が苦労して、満開の舞の残本を修復してくれた。舞を手取り足取り教えてくれたおかげで、足と尾羽はやっと治った。満開の舞を練習する時はつらい思いしかない。でも姉様と一緒に練習する時だけ、少し楽になる。書庫の古文書も、全部姉様が修復したもの、以前の私は古文書を紐解き、本の世界に浸っていた。姉様がいたからこそ、今の私がある。孔雀の国の王として、民の期待に応えるため、私は躊躇せずに冷静な判断をするべきだった。でも……私は彼女に向き合う勇気すら持ってない。不甲斐ない自分がとても憎い。」

      ……你说得没错,晴明大人。我曾努力地追寻着她的背影,跌跌撞撞,断骨重生。因为她,我想改变这个国度,但到头来却发现,阻拦我的人中亦有她。小时候,我尾羽残缺,无法前行,是姐姐千辛万苦,修复了原是残本的绽放之舞。手把手抱着我练习,因而我的双腿和尾羽才能得到治愈。我对绽放之舞留下的只有疼痛的记忆,但唯有与姐姐一起练习时,我能感到一丝温暖。书库中的古文献,也是由姐姐一一修复的,我曾沉迷于此,在文献的熏陶下长大。可以说没有姐姐,就没有今天的我。但作为孔雀国的王,为了回应民众的期待,我本该毫不犹豫,作出最为理性的决断,但我……甚至没有勇气直面她。我无比痛恨这般软弱的自己。

      【晴明】

      「あなたは他でもなんでもありません、あなたは孔雀明王、同時に青でもあります。そして白の女王の妹であることも永遠に変わりません。今まで、あなたは孔雀の国のために抗っています。自分の気持ちを抑え込み、皆の前で強がっている。しかしこのままでは、いつか必ず背負うものに押し潰されます。」

      你就是你,既是孔雀明王,亦是青。同样也是白女王的妹妹,这一点永远都不会改变。一直以来,你都在为了孔雀国而抗争。约束自己,压抑情感,在众人面前逞强,但这样下去总有一日,你会被积压的一切所压垮。

      【迦摩天幻影】

      「足掻けば足掻くほどつらくなる。いっそう何もかも忘れて、我と一緒に堕ち、楽しいことも、辛いことも、絶望した思いも、悲しい思いも、全部なくなるんだ。」

      越是挣扎便越是痛苦,不如忘却一切,与我沉沦,所有开心的,痛苦的,绝望的,悲伤的,所有情感都将化为虚无。

      執念の魔は拘束されている孔雀明王におびただしい数の砂の刃を投げ飛ばした。その時、一人の幼い女の子が現れ、彼女の代わりにすべての攻撃を引き受けた。

      心魔朝着被束缚住的孔雀明王射出无数沙刃。此时一个幼小的身影出现在她的面前,为她挡下了所有沙刃。

      【孔雀明王】

      「青!」

      【青】

      「ずっとあなたに憧れていて、あなたはおとぎ話に出てくる英雄みたいで、私なんかが想像すらできない存在。あなたになりたいなんて一度も思わなかった。あなたが色んなものを捨てざるを得ないのは知っている。あなたはそんなことを求めていない、だから辛い気分にさせる。でもそれこそが人生じゃないか、時につらい選択をしなければならない。でも信じている。強い心を持つ舞姫なら、どんな事故が起きようと、きっと躊躇なく踊り続けると思う。違う? だから、自分の気持ちに素直になって選択をするのよ。」

      一直以来我都仰慕着你,你就像童话中的大英雄,是我不敢肖想的存在。我从未想过能成为你,我也知道你为此,不得不放下很多东西。那并非你所渴求的,因而让你感到痛苦。可有些时候就是这样,不得不面对难以抉择的困境。但我相信,一个内心强大的舞者,无论现场发生了怎样的不测,都能义无反顾地、坦然地跳下去。不是么?所以,请遵循内心,作出你的抉择吧。

      言い終わった瞬間、傷ついた幼い青は、体が透け消え始めた。執念は再び白の女王に化け、孔雀明王に向かって手を広げる。

      话语落下,怀中受伤的小青,她的身影渐渐消散而去。心魔再次幻化成白女王,朝着孔雀明王张开了双臂。

      【白の女王幻影】

      「おいで、私の懐で眠りについて。あなたを慰めて、つらいことから解放してあげるわよ。」

      到我这里来吧,你将在我的温柔乡中沉睡,我会安抚你的痛苦,让你不再受折磨。

      しかし白の女王の下半身には、恐ろしい巨口が浮かび上がってきた。孔雀明王は姉様の幻影をまっすぐに見つめ、彼女との思い出を、優しさを、抱擁を、言葉を思い返している。昔の自分は確かにそれに溺れたかった。やがて、茨を振りほどいて高く飛び上がった孔雀明王は、襲ってくる執念の魔に向かって羽の剣を振り下ろした。執念は忽ち塵となって消えた。

      而白女王的身体下方,赫然出现了一个血盆大口。孔雀明王直视着姐姐的幻影,想起曾经与她的回忆,她的温柔,她的怀抱,她的话语,曾经的自己确实想要沉沦其中。终于,孔雀明王挣脱了荆棘,一跃而起,举起羽剑朝着袭来的心魔一刀劈下,心魔瞬间湮灭,只剩尘埃浮于空中。

      【孔雀明王】

      「私は逃げないよ。もし彼女が本当に悪神の味方になったのなら、私が必ず取り戻してみせる。しかし彼女は言うことを聞かず、悪神に組するのを諦めなければ、この手で引導を渡す。彼女の命を絶ったあと、私は強く抱きしめてあげ、目を閉じてあげ、歌を聞かせてあげる。何であれ、彼女は私の姉様、私が大切にしていた姉様だから。これが答えなんだ、私はもう迷わない、旅の結末を迎えよう。」

      我不会再选择逃避。若她真的站在恶神那边,我会尝试将她争取回来。但倘若她一意孤行,执意与恶神作恶,我也会亲手将她了结。我会让她倒在我的怀中,为她阖上双眼。为她哼唱歌谣。无论结果如何,她都是我的姐姐,我曾爱过的姐姐。这便是我的答案,我将为此行至终局。

      ——平安京

      ——此刻平安京

      寝台の上で目覚めた晴明は、ずきずきするこめかみを押しながら、長い夢を見た気がした。彼が目覚めたのを確認すると、隣にいた孔雀明王は微笑んだ。

      晴明从床榻上醒来,揉着略微疼痛的太阳穴,像是做了场漫长的梦。孔雀明王坐在他的身旁,见他醒来,对他莞尔一笑。

      【孔雀明王】

      「晴明様。ありがとう、呼び覚ましてくれて。」

      晴明大人。谢谢你,将我唤醒。

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