下一章 上一章 目录 设置
51、天魔归来 地狱挽歌①②英雄 ...
-
二人の霊神体が空中でぶつかり合う。阿修羅の破壊力は凄まじい。しかし素早さは帝釈天のほうが勝っている。帝釈天は剣の攻撃を全て受け止めた。
二人的灵神体在空中碰撞,阿修罗的破坏力无人能及。但敏捷上帝释天更胜一筹,长剑的攻击被帝释天一一挡下。
【帝釈天】
「強さには色んな形があると、あなたが教えてくれた。」
强大也分很多种,这还是你当年教给我的。
【阿修羅】
「十善業道を実施した瞬間から、お前は最も大切な強さを失った!」
而在你颁布十善业道的那一刻,你就失去了最重要的那一种!
阿修羅の剣が再び触手に変化し、六本の触手が帝釈天に襲いかかる。
阿修罗将长剑重新化成触手,六条触手从不同方向向帝释天袭来。
【阿修羅】
「俺の知っている帝釈天は、最後の瞬間まで、誰一人見捨てないやつだ。なのにお前は忉利天のために、全ての人の自由を奪おうとした!」
我认识的帝释天,是个不到最后一刻,不会放弃任何人的家伙。可你却为了忉利天,断绝了所有人的自由!
帝釈天の蓮花から無数の鋭い鬼手が現れ、阿修羅の触手に対抗する。
帝释天的莲花中突然伸出无数锋利的鬼手,与阿修罗的触手缠绕起来,互相撕咬。
【帝釈天】
「私はもう誰かに理解してもらう必要はないんだ、阿修羅。私に必要なのは、あなた達の服従なんだ!」
我已经不再需要任何人的理解了,阿修罗。我需要的,是你们的服从!
蓮花の鬼手が阿修羅の霊神体を引っ張り、阿修羅を善見塔の外に投げ出そうとしている。
莲花中的鬼手突然狠狠地拉住阿修罗的灵神体,意图将他丢向善见塔外。
【阿修羅】
「振り切れない?」
居然无法挣脱?
鬼手の気配は阿修羅の霊神体と極めて近く、ほとんど一つになっている。阿修羅は仕方なく触手の末端を切り落とした。束縛から解放された阿修羅は、塔の天辺の宮殿の端に立っていて、危うく塔から振り落とされるところだった。阿修羅は顔を上げ、帝釈天は彼を見下ろす。最初に出会った時と同じように、眩しい光に包まれた帝釈天は、阿修羅に向かって微笑んだ。
鬼手的气息和阿修罗的灵神体极为相近,几乎融为一体。情急之下,阿修罗斩断了触手的末端,挣脱束缚,堪堪站稳在塔顶王殿的边沿,身后就是万丈高空。阿修罗抬起头来,而帝释天低下头看他,他一如二人初见时一般闪耀着无瑕的光,朝着阿修罗露出笑容。
【帝釈天】
「あなたの言葉を借りよう。服従か、それとも死か。」
借你的一句老话。服从,或者死。
二人の頭上、雲の彼方から金色の光が放たれ、忉利天が雲の影から現れ始めた。
在二人的头顶,云端的彼岸散发出黄金般的光芒,忉利天的身影逐渐从乌云身后显现。
【阿修羅】
「帝釈天。お前にその言葉を発する資格はない。」
帝释天。你没有说这句话的资格。
阿修羅が突然飛び上がった。帝釈天は目で追ったが、忉利天の光が阿修羅の姿を隠した。帝釈天は急いで蓮花を召喚し、迎撃に備える。光の中から黒き影が現れ、襲ってきたのは損傷した霊神体触手ではなく、傷だらけの剣だった。
阿修罗突然向高空跃起,这回换帝释天抬头仰望,然而忉利天的万丈光芒隐去了阿修罗的身形。帝释天急忙召唤莲花围在自己身侧准备迎击。然而从光芒中显露出漆黑的身影,落下的并非是受损的灵神体触手,而是伤痕累累的长剑。
【帝釈天】
「何?」
什么?
慌てて後ろに後退した帝釈天は、阿修羅の渾身の一撃をすんでのところで躱したが、剣に胸を擦った。帝釈天は無意識に心魂のある左胸を抑え、血を吐いて更に後退した。
他急忙后退,堪堪躲过了阿修罗的全力一击,被长剑划开了胸口。帝释天下意识伸手捂住了左胸口心魂的位置,大口吐出鲜血,一再后退。
【阿修羅】
「お前は逃げられない。」
你逃不掉的。
阿修羅が左手に持っていた剣は帝釈天に落とされ、右手が突然動く。阿修羅の右手が帝釈天の胸を貫いた。
阿修罗左手剑被帝释天击落,右手突然向前,阿修罗的右手直接贯穿了帝释天的胸口。
【帝釈天】
「ゲホッ!ゲホッ……はは、はははは……阿修羅、狙いを外していないか?」
咳咳咳!咳咳……哈哈,哈哈哈哈……阿修罗,你是不是,搞错位置了?
帝釈天は右手で、自分の左胸を貫いた阿修羅の腕を掴んだ。そして自分の胸に突き刺し、阿修羅の手を掴んで己の心魂を引き抜いた。
帝释天右手握住了阿修罗穿透自己左胸口的手臂。突然刺穿了自己的胸膛,抓着阿修罗的手将自己的心魂扯了出来。
【帝釈天】
「これがほしいんだろう?」
你是来找这个的,不是吗?
帝釈天の左手は阿修羅の指を握り締め、拍動する心魂を握らせた。しかしそれは帝釈天の心魂ではなかった……
帝释天的左手握紧了阿修罗的手指,指引他握住跳动的心魂,然而那颗心魂却并非是属于帝释天的——
【阿修羅】
「俺の最後の心魂の欠片が、なぜお前の体の中に?まさか……」
我的最后一片心魂,为什么会在你的体内,难道……
【帝釈天】
「阿修羅、なぜ忉利天神が忉利天を滅ぼしたのか覚えているか?邪竜ヴリトラを倒し、殺したからだ。彼は勝った。でも私は……勝ちたくない。やっと、自分の執念に勝つことができた。あなたと一緒に。」
阿修罗,你可还记得忉利天神为何会毁灭忉利天。是因为他战胜了恶龙弗栗多,杀死了他。他赢了。我却……不想赢。今天,我终于战胜了我的心魔,却是和你在一起。
帝釈天の構えていた霊神体が突然消えた。阿修羅が脱力した彼を受け止める。
帝释天原本蓄势待发的灵神体突然消失,全身脱力,阿修罗一把接住了他。
【帝釈天】
「阿修羅、この心魂を食し、最強の天人となり、私を殺せ!」
阿修罗,吃下这心魂吧,回归天人之身,成为最强,然后将我斩杀!
【阿修羅】
「これで負けたつもりか?帝釈天、勝負はまだついていない。」
难道你这就认输了吗?帝释天,胜负还远没有结束。
【帝釈天】
「勝負?はははは!阿修羅、私はあなたとの勝負を待っていたわけではない。私は死の判決書を待ち焦がれる罪人だ。あなたという執行人を待っていた。」
胜负?哈哈哈哈!阿修罗,我从来就不是在等待你来一决胜负。我不过是一名在死囚狱中拿着判决书焦急等待的罪人,所等的你就是为我一人而来的行刑人。
【阿修羅】
「やはりお前は死を求めてる……」
你果然是在求死……
【帝釈天】
「死を?いいえ、私が求めているのは私だけの公正さだ。あなたに悔いなく、この世の全ての不公平を断ち切ってほしい。私の罪を暴き、私という暴君を世間に曝せ!あなたは王となり、敬われ、英雄と称えられる!この全ては、あなたが手にするべきものだった。あなたに返す。」
求死?不,我求的是属于我一人的公正。我要的是你了无遗憾,亲手斩杀这世上所有的不公!我要的是你将我的罪行公诸于世,告诉世人我是个怎样的暴君!我要你登上王位,受万人景仰,高呼英雄之名!这本该属于你的一切,我要将它们,亲手还给你。
【阿修羅】
「いらない。」
我不需要。
【帝釈天】
「何?」
什么?
【阿修羅】
「お前はのし上がって、賢明な王となり、暴君となり、亡国の王となった。このざまになってまで、俺を天人の王に仕立てるというなら、俺は王になどなりたくない!帝釈天、お前は何もかも計算済みだったが、俺が英雄になりたいかどうかを聞き忘れたな。」
如果你完成这一切,成为明君,成为暴君,又成了亡国之君。落到如此田地,就是为了让我名正言顺地成为天人之王,那这王位我不要也罢!帝释天,你什么都算到了,却唯独忘了问我到底想不想做一个英雄。
【帝釈天】
「私が間違っていたというのか、阿修羅?英雄にしか人々を救うことはできない、その英雄になれるのはあなただけだ。私は人々を、あなたを……手放したくないんだ。」
我难道做错了吗,阿修罗?只有英雄能救世人,而能做英雄的人只有你。我放不下世人,但也……放不下你。
阿修羅はゆっくりと帝釈天を地面に寝かせた。頭上の暗雲は消え去り、金色の忉利天がよりはっきりと見える。金色の光が二人を照らした。
阿修罗将抱着的帝释天缓缓放在地面,头顶的乌云逐渐散去,金色的忉利天越发清晰。金色的光芒落在二人身上。
【阿修羅】
「俺達は、どうしてこんなことになった。」
我们究竟为何会走到如今这一步。
【帝釈天】
「薄々気づいていると思うが、私の能力は本当の意味の浄化ではない。昔の忉利天神と同じ、心の共感を通じて悪念を吸収する力だ……」
你大概已经猜到了,我的能力并不是真正的净化。而和当年的忉利天神一样,是通过心灵共感,来吸收恶念……
【阿修羅】
「俺の悪念がお前を苦しませ、お前を狂わせたのか?」
是我的恶念使你痛苦,使你变成了如今疯狂的样子吗?
【帝釈天】
「違う。乱世に生きる人々は、多かれ少なかれ、誰もが狂った欲望を抱えているものだ。貴族の強欲、平民の欲望、十天衆の我欲……貧しい村人、来るはずのない救援を待つ兵士……全ての悪念、全ての屈辱と悔しさが私の元に集まる。私には選ぶ権利も選ぶ意思もなく、全てを受け留めた。あなたが私に選ぶ権利を与えてくれたんだ、阿修羅。私があなたを選んだんだ。しかし人の狂気はとどまることを知らない。あなたの果てしない強さがその証拠だ。なのに私の命には限りがある……私は王になった後、ずっと答えを探していた。忉利天に行き、精神の海で忉利天神が残した残留思念を見た。死んで千年経った今も、私達と再会し、私達の魂をありのままの姿に浄化することを望んでいる。忉利天神はもういないが、彼と同じ能力を持つ私はここにいる。私が忉利天神に代わって、一族の人々の悪念を吸収する。それだけではない、天人、鬼族、人間、陽界に生きる者の悪念もすべて受け止める。忉利天神のように人を側に束縛し、魂の自由を奪って己の孤独を埋めるようなことはしたくない……忉利天神の浄化は不完全だ。悪念を人々から切り離せば、人はもう欲望に抗わなくていい。だから、人々が忉利天で再会を果たした時、私はそこへ行かない。私は人々の悪念を取り込んだ忉利天神以上の破壊神となり、最強の天人に倒されるんだ。そしてその最強の天人は阿修羅、あなただ。阿修羅、知っているか?蓮の実は泥の中で千年以上眠ることができる。意識がなければ命もない。ただ咲く夢を見ているだけだ。私の人生は、もう十分なほど蓮花を咲かせた。泥の底へ戻り、永遠の眠りにつくべきだ。」
不,在那样一处乱世之中,人人都或多或少有着疯狂的欲念。贵族的贪婪,平民的欲念,十天众的自私……缺粮短衣的村人,永远都等不来援兵的战士……所有的恶念,所有苟且偷生和不甘的死都汇集到了我身上,我不能选也不想选,不自量力地全都收下。是你给了我选择的权利,阿修罗,是我选上了你。然而世人的疯狂是无止尽的,你那没有上限的强大正是证据,可我的生命却如此有限……在登基为帝后,我为探寻答案,曾亲自去往故土忉利天,在精神之海中,见到了忉利天神残存的思念。即使在死后千年,他还在期待着能再度与我们相见,将我们的灵魂净化为最初的样子。然而忉利天神已经不在了,和他有着同样能力的我却还在。我会代替忉利天神,吸取所有族人心中的恶念。不仅如此,天人,鬼族,人类,阳界所有生灵的恶念我都会照单全收。可我不想像忉利天神那样将人们束缚在自己身边,更不想剥夺任何灵魂的自由来填补自己的孤寂……忉利天神那样的净化是不完美的。我想帮助世人一口气脱离这恶念,再也不在欲海中挣扎。因此,当众生在忉利天重逢时,我并不会去往那里。我会带着世人的恶念化为比忉利天神更甚的破坏神,死在最强的天人手中。而那个人只能是你,阿修罗。阿修罗,你知道吗?莲子能在淤泥里沉睡千年,没有意识也没有真正的生命,只是做着盛开的梦。而我的一生,已经开出了足够多的莲花,是时候沉眠到淤泥之底,不复醒来。
【阿修羅】
「帝釈天、寝るな。俺に言っただろう、忉利天で待ってるって。」
帝释天,别睡,你不是说,你会在忉利天等我吗?
【帝釈天】
「夢の中のあの丘の上の、扉の前に蓮池がある小さな家で。あなたの帝釈天は、そこで待っている。」
在梦中的那座山坡,在那门口有莲池的小房子里。你的帝释天,会在那里等着你。
忉利天が完全に姿を現わした。暗雲は消え去り、天域上空に金色の光が溢れた。地上と善見城の人々は、目の前の光景に仰天した。その時、忉利天が突然空から落下し始め、善見塔にぶつかろうとした。善見塔はその圧迫を感じたかのように、崩壊し始めた。宮殿の地面はひび割れ、壁は砕け散り、破片が落下していく。善見塔の天辺で、阿修羅は帝釈天を見ている。
忉利天的身形已经无比清晰,乌云尽数散去,天域上空金色的光芒万丈。地面上与善见城中的人们,都不由得为眼前的景象而震惊。就在这时,忉利天突然开始从高空向下坠落,朝着善见塔顶压来。善见塔仿佛感受到压迫一般,突然开始崩塌,王殿大地龟裂,墙壁碎开,沙石不断下落。善见塔顶,阿修罗低头看着帝释天。
【阿修羅】
「俺達は親友だが、俺はお前のために自分が歩みたくない、歩むべきではない道を選んだりはしない。忉利天と融合して、新たな忉利天神になるなんて、俺が許さない。俺がヴリトラとなり、伝説の戦いのように勝つこともない。俺は歴史を書き換える。そしてお前を追い詰めたこれを、捨てる。」
你我是挚友,但我不会为了你而选择自己不想走,也不该走的路。我不会让你和忉利天融合,成为新的忉利天神,我也不会化为弗栗多,打赢那场传说中的恶战。我要将历史改写。而这将你逼至绝境的东西,没有也罢。
阿修羅が二人の血にまみれた心魂を握り潰した。心魂の欠片は去るのを惜しむかのように、二人の周りを舞う。
阿修罗捏碎了手中沾染着二人鲜血的心魂,心魂的碎片如同不肯离去一般,像流光一样萦绕着二人飞舞。
【阿修羅】
「俺は天人ではなくなった。善見城に攻め込み、お前と敵対したあの日から、いいや、生まれた時から天人ではない。だから俺が、お前に用意された道を歩むことはない、帝釈天。それは俺が、阿修羅だからだ。」
我早已不再是天人,在我杀回善见城,而你出来迎战的那天,不,从我出生的那天起,就从来都不是。所以我不会按照你安排的道路走下去,帝释天。因为我,正是阿修罗啊。
阿修羅の答えを聞いて、帝釈天は笑った。
帝释天听到阿修罗的回答,反而笑了起来。
【帝釈天】
「あなたはいつだって、私が思うよりも強い。強者の頂点に達したと思った矢先に、あなたは更なる高みへと飛んで行く。この世に本物の強者などいないのかもしれない。皆運命の風に逆らって飛び、より高い場所を目指す小鳥なのかもしれないな。そして私は、随分と高いところまで来た。さようなら、私の阿修羅。」
你永远都比我想象的要强大,每当我以为你已经走到了强者的顶点,你却又飞向了更高处。或许这世上本就没有真正的强者,每一个人都不过是在命运中不断飞往高处的飞鸟。而我,也算是飞到了,很高很高的地方。再见了,我的阿修罗。
善見塔は忉利天の引力によって完全に崩壊した。轟音が空に響き渡り、雲の上で白い鳥が鳴く。
帝釈天は昏睡状態になり、深い眠りに落ちていく。忉利天は帝釈天を喰らおうとする巨竜のように、急速に落下してくる。巨塔が崩れる瞬間、阿修羅は落下してくる忉利天に逆らって、更なる高みへと飛んた。金色の忉利天は、金色の幻境をもって彼を迎えた。精神の海が心魂の欠片と共鳴を起こし、阿修羅が追い求め続けた真実を見せた。
瑠璃城で、深淵の戦いの後、帝釈天は一歩も離れず深手を負った阿修羅を看護し続けた。軍医がいなくなると、彼は自分の心魂を傷だらけの阿修羅の胸の中に入れた。そして阿修羅の傷だらけの心魂は、帝釈天の体内に入れられた。
善见塔因为忉利天的引力而彻底崩塌,巨大的轰鸣传至云霄,云端的白鸟发出了鸣叫。
帝释天也彻底陷入了沉睡,在沉睡中坠落下去。下坠的忉利天如同要吞食帝释天的巨龙一般,急速地压了下来。而阿修罗在巨塔坍塌的一瞬,迎着坠落的忉利天而上,朝着更高的高处跃去。金色的忉利天用金色的幻境迎接了他,精神之海与心魂的碎片共鸣,展现出了阿修罗一直寻找的真相。
琉璃城,深渊一战之后,帝释天寸步不离地守在重伤的阿修罗身边。在军医离开后,他将自己的心魂放进了阿修罗伤痕累累的胸口,而阿修罗重伤的心魂则放进了帝释天体内。
【帝釈天】
「あなたは言っていた、自分は強靭な体持っているが、私には強い心があると。だから今、私の心をあなたに贈ろう。いつでも、どこでも、私に会いたければ、振り返らなくても、私はずっとここで待っている。」
你总说你有一具坚韧的身体,但我却有一颗坚韧的心,如今这颗坚韧的心,我把它送给你。无论何时,无论何地,当你想要找到我,你甚至都无需回头,我都会在这里等你。
真実を知った阿修羅は二人分の力を込めて、思い切り忉利天の偽りの光にぶつかった……
得知了真相的阿修罗以两人份的全力,狠狠地击向了忉利天那虚伪的光明——
【阿修羅】
「最強の体は、最強の心の勇気を胸に抱く。俺は絶対に勝つぞ、帝釈天。待ってろ。」
最强的身体,怀抱着最强之心的勇气,我一定会赢,帝释天。等着我。
衝撃の後、忉利天神の残留思念は昔帝釈天を迎え入れた時のように、阿修羅の来訪を受け入れた。本当の忉利天神は帝釈天に似ているが、同時に阿修羅にも似ている。天人に似ているが、天人以外の万物にも似ている。
撞击后,忉利天神残存的意识如同当年迎接帝释天那般,迎接了阿修罗的到来。真正的忉利天神像帝释天,却也像阿修罗,像天人,却也像天人以外的万物。
【阿修羅】
「慈悲深いと自惚れる忉利天神よ、何と残酷なんだ!闇の子供として生まれたというだけで、俺の全てを奪うのか?善悪は元々表裏一体のものだ。善人の心にも悪念が生まれる。悪人も気まぐれに善をなす。人は傷付くと苦しみ、勘違いされると怒り出す。怒りに支配されると破壊に手を染めたり、何も考えずに他人の所有物を奪ったりする。誰もが悪念を抱いている。悪念はどこにでもある。神とて例外ではない。天国とて免れることはできない!お前は全ての天人を創り出し、彼を創り出し、そして俺をも創り出した。しかしなぜなんだ、なぜ俺の存在を恐れるあまり、彼に生涯をかけて、どちらかが死ぬまで俺と戦い続ける使命を与えた?」
自诩慈悲的忉利天神,你是何等残忍!难道只因我生来是黑暗之子,你就要夺走属于我的一切?善恶本就一体两面,互为表里,善人心中会诞生恶念,恶人也会一时动容而行善。人受伤就会痛苦,被错怪就会愤怒,怒火中会想要破坏,也会想要不管不顾地夺取他人的所有物。恶念人人皆有,到处皆是,即使是神也不能免俗,即使是天国也不能例外!你诞生了所有天人,诞生了他,也诞生了我。可你为什么,就这样地惧怕我的存在,怕到非要让他穷尽一生来与我争斗,不死不休!
忉利天神は慈悲深い眼差しで阿修羅を見つめているが、一言も発さなかった。
忉利天神悲悯地注视着阿修罗,却一言不发。
【阿修羅】
「ならば、俺は闇と化し、破壊神と化し、お前に押し付けられた運命に抗う!この俺が彼の代わりに、全ての罪悪を背負う!」
既然如此,就让我化为黑暗,化为破坏神,来反抗你强加给我的命运!就由我来代替他,承受所有罪恶!
忉利天が降臨する寸前に、阿修羅の霊神体が帝釈天の代わりに精神の海に溶け込んで、鬼域中の悪念を吸収し始めた。
在忉利天降临前的最后一刻,阿修罗代替帝释天将灵神体融入了精神之海,吸收起鬼域中的恶念。
【阿修羅】
「足りない、全然足りないぞ!たかがこの程度の悪念でこの阿修羅を押し潰す気か?俺はお前らの新しい神だ!全ての魂は俺に平伏し、全ての精神は俺好みに生まれ変わるべきだ!俺の願いは全て、この鬼域にて真実となる!天人の聖なる子供である帝釈天は、神託を受け世に生まれ、若くして軍に入り、鬼族の侵攻を挫き、唯一無二の才能を見せて人々に敬われ、やがて将軍となった。その後翼の団を立ち上げ、天人と鬼族の和解のために辺境を駆け回り、最後には平和をもたらした。しかしそれを拒んだ金翅鳥一族は竜巣城に巣食い、天域を攻め落とすことを企んだ。帝釈天は自ら兵を率いて討伐に当たり、見事に勝利を収めた。城に戻った帝釈天は、人々に推薦され戴冠を果たした。彼は民を愛する王として、強者も弱者も、老若男女に平等に接し、良き政策を実行した。しかしそれは天域の辺境にいる魔神一族に妬まれる種となった。魔神に唆された竜巣城が敗れたあと、魔神一族は百年蟄伏したが、やがて大軍を率いて善見城まで攻めてきた。天人の王帝釈天は城の民を避難させ、善見塔の頂にて自ら魔神の王阿修羅を迎撃した。しかし魔王は礼儀知らずで残酷非道な上、悪事の限りを尽くし、天域と鬼域を諸共破壊すると嘯いた。故に帝釈天は魔王の命を絶つと決めた。二人の戦いは丸一日続いた。翌日の朝、帝釈天はようやく阿修羅に打ち勝ち、魔神軍を撃退して、深淵の底に追い払った。これにより、天域と鬼域は平和を取り戻し、善見城の民も無事に故郷に戻ることができた。深手を負った帝釈天は姿を消したが、三日後の朝に帰還を果たし、はぐれてしまった家族と城門で再会して、感動の涙を流した。民は歓声をあげて彼を出迎え、花束を贈った。人々の笑い声は王宮まで聞こえてくる。帝釈天はそこで皆に囲まれて再び玉座についた。天域と鬼域は、それで永遠の平和を手に入れ、戦乱をもたらす者は一人も残らずに消えた。しっかりと胸に刻め。偽りの不平等な世界よ!新たな神の名をもって、服従を命ずる!この阿修羅の欲望に、従え!」
不够,还不够!只是这点恶念就想把我阿修罗压垮吗?我是你们的新神!我要所有的灵魂都臣服于我,所有的精神都随我的喜好而重铸!我要我心中所想的一切愿望,皆在这鬼域中化为真实!天人圣子帝释天,受神谕降生于世,年少参军,抵御鬼族侵扰,一鸣惊人,为兵将民众所爱戴,成为一方大将。又创立翼之团一军,为两族和谈奔走于边境,终于使两族和解。然金翅乌一族不肯归顺,盘踞龙巢一城意欲攻取天域,帝释天亲自举兵讨伐,龙巢城大捷。帝释天回城后,千万人簇拥其登上王位。其为王爱民如子推行仁政,无论弱小强大,青壮老幼,一视同仁。却遭天域边境魔神一族妒恨,魔神族挑唆龙巢城攻打天域失利,韬光养晦百年,最终举魔神大军攻打善见城。天人之王帝释天遣散城中百姓,于善见塔顶亲自迎战魔神之王阿修罗。却见魔王行仪粗鄙,行事残忍,无恶不作,口出狂言要将天域鬼域一并摧毁,终于决心将其斩杀。二人大战一日之久,直至次日清晨,帝释天战胜阿修罗,又将魔神一军击退千里,打入深渊之底。天域鬼域从此重归和平,善见城百姓重归家园。帝释天重伤失踪,于三日后清晨时归城,与失散的父母兄弟团聚城门前,喜极而泣。百姓夹道高呼,村人献上鲜花,欢声十里,直至王殿门下,千万人簇拥帝释天重登王位。天域鬼域,从此永享和平,天上天下,再无求战之人。记好了。这虚伪而不公的世界啊!我以新神之名,命令你服从我!臣服于,我阿修罗的欲念!
忉利天は最後に空中で、万物を金色に染め尽くす眩しい光を放った。そして鳥すら辿りつけない、一番高い空に消えた……
忉利天最后一次在空中爆发让万物为之变色的金色光芒。最终消失在飞鸟也不能到达的,最高的云端——
【源頼光】
「結局こうなったか。まあ、こんな結末も悪くないだろう。」
到头来却成了这样吗。也罢,也算是另一种不错的结果了。
【鬼王酒呑童子】
「阿修羅、お前は一体どんな結末を選んだ。」
阿修罗,你究竟是选了怎样的结局。
最後の神と対峙したあと、狂気と暴虐にまみれた破壊の欲望に侵されながら、阿修羅は必死に自我を保ち、帝釈天が墜落する前に彼を受け止めることに成功した。
与最后的神明对峙后,在疯狂暴虐的破坏欲中,阿修罗撑着自我意识,终于在帝释天坠落前接住了他。
【阿修羅】
「帝釈天……俺は闇の子供として生まれたが、お前は俺に光を見せ、人情を感じさせてくれた。お前は光の中で生き続けるべきだ。闇に落ちる怪物は、永遠に俺でいい。もうすぐ瑠璃城の近くに着く、そこで一旦休もう。起きたか、帝釈天。」
帝释天……我生来就是黑暗之子,而你却让我看到了光明,给了我情谊。你应该一直活在光明之中,就让我成为永堕黑暗的怪物。我们很快就能到琉璃城附近了,暂时在这里歇息吧。你醒了吗,帝释天。
【帝釈天】
「ゴホ、なぜあなたがここに、私はどうして……?」
咳、你怎么会在这里,我又为什么会……?
【阿修羅】
「別れを告げに来た。俺はじきに理性を悪念に蝕まれ、正真正銘の破壊神と化す。そしてお前は俺達が追い求めた世界の中で目覚める。」
我是来告别的。我的理智很快就会被恶念占据,成为真正的破坏神,而你会在我们共同追寻的世界中醒来。
【帝釈天】
「悪念、破壊神?違う、それは私がやるべきことだ、あなたがやるべきことではない。あなたには…」
恶念,破坏神?不,那是我该做的事,你该做的不是这些,你该做的是……
【阿修羅】
「結局のところ、俺達は同じぐらい頑固だな。しかし今だけは、お前の執念も少し理解できた気がする。だが残念だ、最後になっても、俺はお前のように優しくはなれなかった。以前、俺が欲しいのは自分が創り出した世界、この手で奪い取った全てと言ったことがあるよな。俺にとって、人々の自由など、俺の執念と比べたら取るに足りないものだ。」
到头来你我完全是一样的脾气,只是在这一刻,我似乎有点理解了你的执念。只可惜啊,我终究还是没你这样的好脾气,我说过我想要的是自己亲手创造的世界,亲手夺来的一切。众生的自由在我眼前,如何比得上我心中的妄念。
【帝釈天】
「……一体何をした?」
……你究竟做了什么?
【阿修羅】
「我が名は阿修羅、魔神一族を統べる者で、天人と鬼族との戦争を引き起こした張本人。そして天域を狙う悪者で、お前の宿敵だ。俺達は善見塔で雌雄を決するために、今日初めて出会った。俺が破れたから、もう二度と会えない。」
我的名字是阿修罗,魔神一族的将领,挑起天人和鬼族之间战火的罪魁祸首,觊觎天域的魔族,你的宿敌。我们今日初见,是在善见塔上一决高下,自我败后,永不再相会。
【帝釈天】
「違う、阿修羅は昔からの知り合いだ。今日初めて会ったのではない。私達は辺境の村で出会った。阿修羅は鬼族に襲われていた私達を救ってくれた。阿修羅は魔神を統べる者などではない、天人一族の英雄だ。」
不,阿修罗与我相识已久,并非是今日初见。我们相遇在边境的村外,他从鬼族手中救下了我们一行,他也并非魔神将领,而是我天人一族的大英雄。
【阿修羅】
「それは記憶違いだ。」
你记错了。
【帝釈天】
「記憶違いではない。阿修羅は強い霊神体を持っているが、ずっと狂気に苛まれている。私は精神感応の力を通じて彼の痛みを分かち、仲間になった。私は彼と共に戦場に赴き、数々の功績をあげた。」
我没有记错,阿修罗灵神体强大,却饱受疯病之苦,我用心灵感应分担他的痛苦,与他结为搭档。我同他一起上过战场,打了无数胜仗。
【阿修羅】
「そうか、一体どんな功績をあげた?」
是吗,那你们都打过什么胜仗?
【帝釈天】
「瑠璃城で大勝利を得た。彼が鬼族に成りすまし、私を敵の首領に捧げたあと、私達は力を合わせてその首領を殺し、城の民を救った。竜巣城でも大勝利を得た。私は彼と二手に分かれた。彼は城の中に潜入し、太鼓を鳴らして偽の情報を流し、私は兵を率いて後門から城の中に攻め入った。善見城で、私は新しく王に任命され、反乱軍が城門下まで攻めてきた。阿修羅は…阿修羅は……どこへ行った?」
琉璃城大捷,他扮作鬼族,将我献给贼首,我们二人合力刺杀贼首,救了城中百姓。龙巢大捷,我与他兵分两路,阿修罗潜入城中,命人佯击战鼓,我领兵从后门趁虚而入。善见城中,我被任命为新王,叛军兵临城下,阿修罗他……阿修罗……去了哪里?
【阿修羅】
「それは記憶違いだ、帝釈天。」
你记错了,帝释天。
【帝釈天】
「記憶違いではない、後生だから教えてくれ、彼は一体どこへ行った?」
我没有记错,求你告诉我,他到底去了哪里?
【阿修羅】
「彼は敵の情報を探りに行った。お前はまだ寝ていたから起こさなかった。そして俺は伝言を預かった。英気を養い、明日になったら竜巣城を攻めるようお前に伝えてくれと言っていた。」
他去勘察敌情,看你还在睡就没有叫醒你,他让我等在这里,告诉你要养精蓄锐,明天我们攻打龙巢城。
【帝釈天】
「竜巣城を攻める…」
攻打龙巢……
【阿修羅】
「そうだ。竜巣城を攻め落とすのはお前の宿願だと知っているから、彼はお前と共にそれをなし遂げたいと言っていた。もう少し寝ろ。目が覚めたら、彼は帰ってくるだろう。」
没错,他知道攻下龙巢城是你的夙愿,他说一定要和你一起完成。睡吧,等你醒来,他就会回来。
【帝釈天】
「そうかな。」
会吗。
【阿修羅】
「そうだ。目が覚めたら、戦争はもうお前の手で終止符が打たれていて、二度と起こらない。鬼族と天人は互いを理解し合い、敵対することはない。そしてお前は凱旋する。民が歓声をあげて出迎え、花束を贈る。ずっとお前のことをよく思っていなかった家族も城を出て、善見城の下で、お前の帰りを待っている。夢の中には、かつての戦友がいる。そして目覚めると、また今の友人に会える。」
会的。等你醒来,战事已经终结于你手,两族再不会燃起战火,鬼族与天人能够互相理解,不再敌对。而你乘胜归来,平民为你夹道欢呼,村人为你送上鲜花。就连一直冷待你的家人,都会亲自出城来,在善见城下,恭迎你归来。在你的梦里,有你曾经的战友,而等你醒来,又会见到现在的友人。
【帝釈天】
「そんな日が本当に来るのか。」
会有那样的一天吗。
【阿修羅】
「お前が望みさえすればな。」
只要你希望。
阿修羅が子供の頃母親がよく歌っていた小唄を口ずさむと、帝釈天はあっという間に眠りについた。
阿修罗小声地哼起儿时从母亲那里听来的调子,帝释天很快就沉沉地睡了过去。
【阿修羅】
「できることなら、俺もこの世界に残って全てをこの目で見たい。だがどんな願いにも対価が必要だ。忉利天神の過ちは、対価を払わなくても願いが叶う世界を創り出したことだ。だが俺は、二度とその過ちを犯さない。俺達の理想は実現できた。今度は俺が対価を払う番だ。俺が全ての悪念を背負い、深淵に持ち込む。そうすれば二度と悪が光に触れることはない。お前の世界に残るのは、美しさと喜びだけだ。誰もが闘神阿修羅のことを忘れる。これからは深淵天魔しか存在しない。そして人々はお前の名を称える。お前は人々に慕われる慈悲深い王だ。だから前に進め。過去を振り返るな。もう誰かのために足を止めるな。そして俺も、歩みを止めることはない。」
如果可以,我也想留在这个世界里亲眼看看它的样子。然而一切愿望都有代价,忉利天神的错误,就是创造了一个只有愿望却没有代价的世界。而我,不会重蹈他的覆辙。我已经实现了我们曾经的理想,现在到了我支付代价的时候了。我要将背负的所有恶念一并带入深渊,邪恶再也无法触碰光明,让你的世界只留下美好与欢愉。我要这世上再无人记得战神阿修罗,从此世间只有深渊天魔,而人们欢呼着你的名讳。你是万人爱戴的仁慈之王,你该走了,不要再看向过去,不要再为谁而停滞不前。而我,也同样不会停步。
阿修羅は最後の力を振り絞って、自分と共に無数の悪念を深淵に送り込み、再び深淵を封印した。これをもって、阿修羅は永遠に闇に堕ち、光の世界に踏み込めぬ唯一の魔王となった。
阿修罗以最后的力量,将自己和万千恶念一同打入深渊,并再度封印了深渊。自此,阿修罗将永堕黑暗,成为无法走入光明的唯一的魔王。
……数日後の朝、善見城
——数日后的清晨,善见城
【雷公鬼】
「この戦いもようやく終わった。仲間の商人達と共に天域の辺境で何日も待って、今日ようやく中に入ることができた。」
这场仗终于打完了,我们几个商队在天域边境上等了好些天都没能进来,这会终于开结界了。
【赤潮鬼】
「これは善見城が先日注文した品だ。いつもの品物以外に、天人の王が注文した善見城復興用の物資もたくさんある。」
这是善见城一早订下的货物,除了平日里那几样,还有天人之王订下来的几车重建善见城的物资。
【天人の兵士甲】
「本当にご苦労様です。」
真是辛苦你们了。
【赤潮鬼】
「いいえいいえ、天人の王はあの天魔様を追い払ってくれたんだ、我々は感謝するべきです。」
不辛苦不辛苦,天人之王帮我们赶跑了那个天魔大人,我们高兴还来不及。
【雷公鬼】
「本当に帝釈天様のおかげだ。百年前には、天人と鬼族が商売するなど、誰も想像だにしなかっただろう。そういえば、帝釈天様は今日の朝善見城に戻るのか?」
也多亏了帝释天大人,换做百年前,谁能想到两族还能这么通商呢。说起来,帝释天大人是今早就回善见城?
【天人の平民甲】
「そうだ、帝釈天様は今日の朝に城に戻ってくる。皆、準備はできているか?」
没错,今天早上帝释天大人就会回城,大伙都准备好了吗?
【天人の平民乙】
「花束も酒も用意した!」
鲜花美酒都已经准备好了!
【天人の平民甲】
「しかし帝釈天様が必ず今日の朝帰ってくると、一体誰が言い出したんだ?」
不过到底是谁说帝释天大人今早一定会回来的?
【天人の平民乙】
「俺も分からない、きっと衛兵か誰かが言っていたんだろう!」
我也不知道,大概是听守军里的谁说的吧!
【天人の平民丙】
「私は帝釈天様の凱旋を祝うために、この三日間ずっと歌を練習していた!だから帝釈天様は、必ず今日お帰りになる!」
我苦练了三天的歌,准备为帝释天大人归来高歌一曲呢!所以帝释天大人今天一定会回来的!
帝釈天は起きたばかりで、まだぼんやりとしている。しかし自分が馬車に乗って、善見城に向かっていることに気づいた。
帝释天迷迷糊糊地醒过来,发现自己正在马车上,车一路往善见城驶去。
【帝釈天】
「ん…ここは?」
唔,这里是?
【毘瑠璃】
「帝釈天様、お目覚めですか!」
帝释天大人,您醒了!
【帝釈天】
「私は……一体何が……」
我这是……怎么了……
【蘇摩】
「私達が帝釈天様を発見した時、帝釈天様は重い怪我を負って瑠璃城近くの崖に倒れていました。今は善見城に向かっている途中です。」
我们找到您的时候,您一个人重伤躺在琉璃城边的山崖上,现在我们正在返回善见城的路上。
【毘瑠璃】
「帝釈天様はあの深渊天魔に打ち勝ち、再び天域に光を与えました。しかしご自身も重傷を負って、意識を失いました。だからあそこに倒れていたのです。幸い姉様がすぐ帝釈天様を見つけました。帝釈天様の心魂はひどい状態でしたが、忉利天神のご加護か、数日のうちにすっかり回復しました。」
大人是打赢了那深渊天魔,给天域重新带来了光明,却重伤失去了意识,所以才会倒在那里。幸好姐姐发现得及时,您的心魂虽受了重伤,但也许是得到了忉利天神明的庇护,这几天还是很快恢复了。
【帝釈天】
「深淵……魔王?」
深渊……魔王?
【毘瑠璃】
「覚えていらっしゃいませんか?天人一族は鬼域に落とされてから、ずっと深淵の魔神一族と戦っていました。この戦争は千年間ずっと続いています。そしてあなたが翼の団を結成し、鬼族という外敵との紛争を終わらせ、魔神一族をも怯えさせ、天域に平和をもたらしたのです。しかしそれでも深淵天魔は諦めず、兵を挙げて善見城を攻め落とそうと企みました。その時、帝釈天様は城の民を避難させ、一人で天魔に挑んだのです。」
大人不记得了吗?我们天人一族自从坠入鬼域,就与深渊中的魔神一族敌对,战争千百年不曾停息。是您一手创建了翼之团,平定鬼族外乱,又震慑魔神一族,给天域带来了和平。然而那深渊天魔却不肯死心,居然举兵欲攻取善见城,您疏散了城中百姓,独自迎战。
【帝釈天】
「私が覚えているのは、高いところから落ちて、誰かに助けられ、命の恩人の顔を確認したいと思っていたのに、また眠り込んでしまったということだけだ。」
我只记得自己好像从很高的地方摔了下来,被人救下,想要看清救我的人是谁,却昏昏沉沉地睡了过去。
【毘瑠璃】
「恐らくは決戦で深手を負い、一時的な記憶障害が生じているのでしょう。なにはともあれ、天人一族は一日たりとも王を欠くわけにはいきません。よって独断ですが、先に帝釈天様を善見城に送り返すことに決めました。どうかお許しを。」
恐怕您是因为决战时重伤而暂时失去了记忆。不管如何,一族不能一日无王,于是我自作主张先护送您回善见城,还望大人见谅。
【帝釈天】
「あなたの言う通りだ。善見城は未だ復興問題に悩まされている。急いで戻らなければ。蘇摩、毘瑠璃、あなた達は魔神一族の王……深淵天魔の……名前を知らないか?」
你说的没错,善见城百废待兴,确实急需我回去坐镇。苏摩,毗琉璃,你们知不知道魔神一族的王……深渊天魔他……到底叫什么名字?
【蘇摩】
「分かりません。彼の者の名前は禁忌中の禁忌です。噂では、その名前を口にしただけでも、死を招くと。だから天域でも鬼域でも、その名前を口に出す者は一人もいません……」
属下不知,那人的名字是禁忌中的禁忌。传闻只要提及,就会招来杀身之祸,因此天域鬼域之中,无人敢颂其名……
【帝釈天】
「そうか……」
是这样吗……
【天人の兵士甲】
「あそこを見ろ!蘇摩様の側近の部隊だ!馬車に乗っているのは、帝釈天様だ!」
你们看那里!是苏摩大人的近卫队,马车里的,是帝释天大人!
【天人の平民甲】
「よかった!帝釈天様が無事に戻られました!」
太好了!帝释天大人平安回来了!
【天人の平民乙】
「帝釈天様が戻られました!帝釈天様、万歳!早く花を撒け!」
恭迎帝释天大人!帝释天大人万岁!赶快撒花!
【天人の平民丙】
「皆!早く帝釈天様に歌を捧げましょう!」
大家!快为帝释天大人唱歌!
【帝釈天】
「これは?」
这是?
【毘瑠璃】
「一族は帝釈天様を迎えるため、帝釈天様のお帰りを祝うため、歌を歌っています。」
是族人们在为帝释天大人唱起迎接的歌谣,为恭候大人回城,重归王座。
優美で高らかな歌は、天域と鬼域との境目にある村で暮らす子供にすら歌える旋律だ。歌は翼の団のおかげで辺境から善見城に伝わった。そして今、善見城からまた他の場所へ伝わっていく。
柔美又高亢的歌声曾是天域与鬼域交界之处两族的孩童都会唱的调子。被翼之团从边境带来善见城传唱,如今又远远地从善见城的方向传来。
【帝釈天】
「この歌を知っている。これは白い羽を持つ小鳥の歌だ。小鳥は雷雨の朝に雲と風を越え、少しずつ飛び方を学んでいる。物語の最後、小鳥は雲の彼方に辿りつく。そして雨の降らない、いつも晴れているあの場所に残った。」
我记得这首歌。它唱的是一只白羽的鸟儿,在一个雷雨交加的清晨穿过云层与风,慢慢学会飞的故事。故事最后它飞到了云端之上,留在了那个永远晴朗无风的地方。
【蘇摩】
「雷雲の中では、小鳥は飛ぶこともできないでしょう?歌の最後の部分は、小鳥が嵐の中で死んだことをほのめかしているかもしれません。」
小鸟在雷雨里如何能飞?或许这首歌的最后,是在影射鸟儿死在了暴风雨中。
【帝釈天】
「そうかもしれないな。それでも、小鳥は一生懸命に飛んだ。」
或许吧。但至少,它曾不顾一切地飞过。
深淵の下、天人の歌は阿修羅の耳にも届いたようで、彼は一瞬だけ頭を上げ、上から差し込む一縷の光を見上げた。深淵の中で、笑い声と断末魔が響き渡った。阿修羅の手の中で引き裂かれた魔神は、まだ謳うように彼の名前を繰り返している。
深渊之下,阿修罗似乎也听到了天人们的歌声而有一瞬间抬起了头,望向头顶的一丝光明。深渊之中响彻着笑声和撕心裂肺的惨叫,而阿修罗手中被撕裂的魔神还在如同吟唱一般反复地念着他的名字。
【魔神】
「阿修羅……阿修羅……」
阿修罗……阿修罗……
【阿修羅】
「生きとし生けるものの心に生まれる闇、その全てを取り込んでも、俺の心を埋めることはできない。我が心は光の中にある、故に我が身は永遠に闇に堕ちない。いつかきっと、俺は再び帰還を果たし、追い求める光の中に帰る……帝釈天。」
即使千千万生灵心中的黑暗,都归于我一人,也无法填满我心。我心仍在光明之中,我身也不会永堕黑暗。终有一日,我将再度归来,回到我所渴望的光明中……帝释天。
ぼろぼろになった魔神は地に捨てられ、頭も阿修羅に踏みつぶされたが、それでも魔神はまだ彼の名を称え続けている。
肢体残破的魔神被丢在了地上,即使被阿修罗踩碎头颅,也不曾停止称颂他的名字。
【魔神】
「阿修羅……阿修羅!……破壊神……阿修羅!」
阿修罗……阿修罗!……破坏神……阿修罗!
……後日談
——后日谈
数ヶ月後、鬼域の平原の中を、都に戻る馬車が走っている。
数月后,鬼域平原上,奔驰着一辆返回京都的马车。
【鬼切】
「鬼域の鬼族から聞いた話だが、あの天魔の名前は阿修羅というらしい。深淵の魔神はいつも彼の名を称えていて、夜中に崖に行くとその声が聞こえるらしい。あいつらはもったいぶっていて、まるでその名を口に出したら誰かに殺されるようだった。俺が刀を抜いて脅したら、ようやく聞き出せた。」
我也是听鬼域的鬼族说的,那个天魔的名字是阿修罗。深渊里的魔神们一直高呼他的名字,夜里站在悬崖上还能听见。他们搞得神神秘秘,仿佛诉诸于口就会被杀人灭口一样,我拿出刀逼他们才肯说。
【煉獄茨木童子】
「阿修羅……帝釈天に協力してあいつを撃退したが、連中はいつも天魔様と叫んでいたから、名前は初めて知ったな。友は昔鬼域を訪れたことがあるだろう。その名前を耳にしたことはあるか?」
阿修罗……虽然帮帝释天击退了这家伙,但是光听那群家伙高呼什么天魔大人,还是头一回知道他的名字。挚友你过去来过鬼域,可曾听过这个名字?
【鬼王酒呑童子】
「あるとも、あいつは俺様の酒友達だ。」
听过听过,还是我酒友呢。
【煉獄茨木童子】
「なに?!」
什么?!
【鬼王酒呑童子】
「冗談さ。」
开个玩笑罢了。
【小白】
「酒呑童子様の冗談は、恐ろしいですね……幸い天人の王帝釈天に協力して魔神一族を撃退したから……その後は快く雲外鏡の欠片を浄化してくださいました。つまりめでたしめでたしですよね。」
酒吞童子大人的玩笑,好吓人……不过好在因为帮天人之王帝释天抵御了魔神一族……他事后痛快地为我们净化了云外镜碎片,也算是皆大欢喜啦。
【鬼王酒呑童子】
「そうか?これはあいつが最後に選んだ結末だから、俺様も喜ぶしかない。」
皆大欢喜吗?那家伙最后选了这样一个结局,我也是只好跟着欢喜了。
【晴明】
「あの英雄の犠牲のおかげで、都と鈴鹿山の霊力の一部が戻った。我々が旅に出た甲斐があった。都の復興にはまだまだ時間がかかるが、全てが好転していることだけは事実だ。」
京都和铃鹿山的部分灵力也因那位英雄的牺牲而回归了,我们不枉此行。虽然京都恢复如初还需一段时间的休养生息,不过一切都在朝着好的方向进展。
【源頼光】
「人々があの英雄の存在を忘れても、深淵天魔の伝説は、必ず受け継がれていく。」
即使人人都不记得那位英雄的存在,但深渊天魔的传说,总会有人相传。
【鬼王酒呑童子】
「あいつはお前に覚えていてほしくはないだろう、源頼光。」
我看他可能不怎么想让你这家伙记得呢,源赖光。
【源頼光】
「そうかな?もしいつかまた会うことができたら、彼に聞いてみようか。その日はそう遠くないはずだ。」
是吗?那有朝一日能再会,不如问问他好了。毕竟那一天,应该并不会远。
……善見城宮殿内部
——善见城宫殿内
【帝釈天】
「城に戻った民の生活がようやく落ち着き、鬼域の外から訪れた客人を送り返すこともできた。善見城の復興も軌道に乗った。ここ数日は本当に疲れた、休みたくて仕方がない。」
终于安置好了归城的居民,也把鬼域外面来的几位客人们给送走了,善见城的重建也上了日程。这几天好累,真想好好休息一下。
【毘瑠璃】
「帝釈天様は遠慮なくお休みになってください。残りの仕事は私にお任せを。夜はご家族とお食事されるご予定ですよね?」
大人请去休息吧,剩下的工作就交给我来完成,您晚上不是还要去家中赴晚宴吗?
【帝釈天】
「そうだ。母上の手料理を食べるのはいつぶりだろう。兄上達は辺境へ行ってからずっと会っていなかったから、私のことが分かるだろうか。十善業道を施行してから……ん?十善業道とは一体……」
是啊,母亲亲手做的菜已经好久都没吃到了。哥哥他们去了边境许久不见,不知道还认不认得出我,自从颁布了十善业道……嗯?十善业道是什么……
【毘瑠璃】
「帝釈天様はきっと大変お疲れなのです、どうかお休みになってください。私は先に失礼いたします。」
大人一定是太累了,请好好休息,我这就先下去了。
毘瑠璃が去り、帝釈天はやっと一息ついた。彼は城外へ行き、木の下で腰を下ろした。見上げると、木の上に立っている白い鳥が、興味津々に自分を見つめている。
毗琉璃走后,帝释天终于松了一口气,他走出城外,坐在了树下。抬头看见一只白色的飞鸟正站在树上,也在好奇地打量自己。
【帝釈天】
「時々鳥であるあなた達が羨ましくなる。いつも自由で、何か言いたいことがあれば、空高く飛んで、風や雲に教えることができる。私はかつて自分の部隊を翼の団と名付けた。その名前には皆を連れて束縛を破り、空を飛び、自由になるという願いが込められていた。しかし結局私は、憧れていた強く特別な戦士になることはできなかった。もしかしたら、世界のどこかには、鳥のように身の危険を顧みない人がいるのかもしれない。でも彼はあまりにも高く遠くへ飛んで行って、永遠に止まらないから、私と出会うことはない。彼女を心配させたくないから、ずっと毘瑠璃には黙っていた。だが天魔との戦いには何か大事なことが隠されている。私が重傷を負って記憶をなくしただけではないはずだ。理由は分からないが、私の体内には他人の霊神体の欠片がある。しかも取り出すことができない。この欠片は明らかに私と天魔の霊神体が融合したものだが、どうしてそんなものが私の体内に?」
有时候真羡慕你们飞鸟,自由自在,想要说什么,就飞到高处,然后告诉风和云彩。我也曾经给自己的军队取名为翼之团,希望能带领大家挣脱束缚,飞向云端,变得自由自在。可是到头来,我还是没能成为所向往的那样,强大又特立独行的战士。或许在这世界上的某一个地方,有着像飞鸟那样奋不顾身的人。只是他飞得太高太远,永远也不会停留,也不会与我相识。我一直没有告诉毗琉璃,怕她担心,但天魔一战可能并不是我重伤失忆那么简单。不知为何,我的内体竟有一枚并不属于我的灵神体碎片,而且无法取出。这枚碎片分明融合了我和天魔的灵神体,到底为什么会在我身体里呢?
小鳥がつまらなさそうに羽をばたばたさせる。帝釈天の独り言は退屈だと思っているのかもしれない。そして最後には飛んで行ってしまった。あっという間に、小鳥の姿は雲の中に消えてなくなった。一枚の白い羽が、ゆっくりと舞い落ちる。帝釈天が手を伸ばしてその羽を受け止める。羽に触れた瞬間、馴染みがないのに同時に懐かしく感じる思い出が彼の頭の中をよぎった……帝釈天は驚いて目を覚ました。
飞鸟百无聊赖地拍了拍翅膀,似乎是觉得帝释天的自言自语过于无趣,终于转身飞走。不一会就消失在了云间,只留下一片洁白的羽毛飘落。帝释天伸手接住那片羽毛,然而在触及的瞬间,一段陌生却又熟悉的回忆突然在他脑海中闪过——帝释天惊醒过来。
【帝釈天】
「今のは一体?」
刚才那究竟是?
鬼域と天域の境目にある深淵の一角では、深淵の冷たい風が深淵の中から声を運んでくる。風の中の声は阿修羅という名前を繰り返している。
鬼域与天域交接的深渊边缘,深渊之中的冷风带来深渊中的声音,风中反复回响的是一个叫阿修罗的名字。
【ヤマタノロチ】八岐大蛇
「取引は失敗した。結局、帝釈天は負けただけではなく、約束を守るどころか、約束自体を忘れてしまった。本当に悲しいことだ。だがしかし、盛大な芝居を見ることができた。それに免じて許してやろう。それに彼には感謝しなければ。彼のおかげで、お前は私の願いどおりこの世に降臨した。破壊神……阿修羅。」
交易失败了,帝释天那家伙到头来不仅败了,也没有守约,还连和我的约定都忘记了,真是令人伤心。不过看在这场绚丽的表演上,就姑且原谅他一回。而且我还得感谢他一件事,那就是,他让你如我所愿地降临于世了啊,破坏神——阿修罗。
……数ヶ月後、深淵の近く
——数月后,深渊附近
【帝釈天】
「私が王になってから、翼の団の皆と一緒に城を出るのは初めてだな……もうそんなに経ったのか?」
和翼之团大家一起出城,自我登基为帝以后还是第一次……竟然过去了这么久吗?
【翼の団の戦士甲】
「そうですよ、帝釈天様は王になられてから、いつも善見城にいらっしゃる!」
是啊,帝释天大人自从当了王,就躲在善见城里不出来了!
【翼の団の将校】
「今でも時々辺境の皆に聞かれますよ、帝釈天様はどうしていらっしゃらないのかって。」
边境的大家现在还时不时会问,帝释天大人怎么不来了。
【帝釈天】
「こうして来たじゃないか。善見城のことが落ち着いたから、皆と共に辺境の新しく出来た町の様子を見に来た。」
我这不是来了吗,好不容易善见城的事情也忙完了,和大家一起来看看边境的新村镇怎样了。
【翼の団の戦士甲】
「心配いりません、帝釈天様が善見城に転任された後、すぐに辺境を建て直すお金や物資を調達できました。故郷を離れていた皆も、ほとんど帰ってきました。」
当然是好得很啊,当年大人去善见城赴任,重建边境的钱和物资很快就拨下来了。背井离乡的人,也很多都回来了。
【帝釈天】
「それなら一安心だ。」
那我就放心了。
【翼の団の戦士甲】
「帝釈天様、見てください!あの丘はかつて翼の団が食糧を運ぶ時、いつも通っていた場所ですよ!」
大人快看!这座山坡就是当年我们翼之团经常运送粮草的地方呀!
【翼の団の将校】
「そうだな。昔はよく夜に食糧を運んでいた。幸い鬼族に襲われたことは一度もなかったが、今思い返せば本当に運がよかった。」
是啊,当年经常夜里行军运粮,好在从没有被鬼族伏击过,现在想想真是太幸运了。
【帝釈天】
「あの時は薄気味悪い場所でしたが、今ではすっかり綺麗になりました。花がたくさん咲いていて、丘の上には小さな家まであります。これは……蓮池か?」
当年那么阴森的地方,如今看起来却这么漂亮,到处盛开着鲜花,山坡上还有一栋小房子。这里是……一处莲池?
【翼の団の戦士甲】
「この蓮池がどうかしましたか、帝釈天様?」
这莲池有什么不对吗,帝释天大人?
【帝釈天】
「……何でもない、ただ蓮池があるなら、もしガチョウが数羽いれば、もっと活気あふれる光景になると思っただけだ。」
……没什么,只是觉得有莲池的话,要是池水里再有几只白鹅就更有生趣了。
【翼の団の将校】
「帝釈天様はガチョウがお好きなのですか?」
帝释天大人居然会养鹅吗?
【帝釈天】
「まさか!ガチョウはとても苦手だ、ただ友達の……友達の……?誰だ……?」
怎么会!我和白鹅真是难以和睦相处,都是我的友人他……我的友人?他……?
その時、一行は突然襲われた。
就在这时,队伍突然遭到了埋伏。
【翼の団の戦士甲】
「おそらく山賊だ!帝釈天様は傷がまだ治ってないから戦えない、早く帝釈天様を守れ!」
似乎是山贼!帝释天大人重伤未愈不能迎战,先保护帝释天大人!
【帝釈天】
「こいつら……気配が変だな、鬼族に似ているが、全く生気がない。それに動きがぎこちない、普通の山賊ではなさそうだ。」
这些人……气息十分奇怪,像是鬼族,却又毫无生气,动作僵硬,不像是普通的山贼。
【翼の団の将校】
「しまった!我々は人数が少ない、囲まれてしまった!」
大意了!我们带的人手不够,现在被包围了!
【帝釈天】
「やめろ!ここの食糧、物資、私の命を狙っているなら、喜んで差し上げよう。だが私の仲間達には手を出すな!」
住手!这里的粮草,物资,或是你们想要我的命,都尽管拿走,但请放过我同伴的性命!
【翼の団の将校】
「そんなこと仰らないでください!例えこの命にかえても、帝釈天様を見捨てることなんてできません!」
别说这种话!即使死在这里,我们也是不会丢下帝释天大人您的!
【翼の団の戦士甲】
「うわあああ、お前ら、逃げろ!」
唔啊啊啊啊,你们,快逃!
危ういところで、帝釈天がまだ回復していない霊神体を召喚した。しかし蓮花は出現してまもなく、すぐに切り裂かれてしまった。霊神体が直撃された痛みに苛まれ、帝釈天は地面に膝をついた。
情急之下,帝释天召唤出了尚未恢复的精神体。然而莲花刚刚显现,就被一刀斩断,灵神体被直击的剧痛下,帝释天跪倒在地。
【帝釈天】
「皆私を守るために死んでいる、どうしてよりによってこんな時だけ、私は何の役にも立てないんだ!私は戦わねばならない!」
保护我的人为我而死,为什么偏偏在这个时候,我却派不上一点用场!我必须迎战!
【怪しげな鬼族甲】
「お前にできるのは、ここで死ぬことだけだ。」
你必须做的,是死在这里。
【帝釈天】
「私が来ないことに気付けば、私を待つ人々がすぐに援軍を派遣する。あなた達は例え目標を達成できても、生きて帰ることはできない。」
目的地的人等不到我来,就会马上派援兵来搜救,就算你们得手,也无法活着离开。
【怪しげな鬼族甲】
「援軍が来る前に、お前は死ぬ。」
援兵,你等不到了。
その時、遠くから鬼族の悲鳴が聞こえた。
然而就在这时,不远处响起了鬼族的惨叫声。
【怪しげな鬼族乙】
「ぐああああ!」
啊啊啊啊啊!
漆黒の人影が空から舞い降り、鬼族を一人、また一人と切り刻んだ。彼は帝釈天に向かって突進してきた。途中にバラバラになった死体とたくさんの悲鳴を残して。
一个漆黑的身影从天而降,将鬼族一个又一个撕成碎片。他一路朝着帝释天的方向杀了过来,一路上肢体横飞,惨叫声此起彼伏。
【帝釈天】
「援軍か……?よかった。」
是援兵……?太好了。
帝釈天の目の前にいる鬼族は逃げる様子もなく、ただ急いで手に持つ石槌を高く掲げ、帝釈天を狙って振り下ろした。一本の真っ赤な触手が後ろから彼の体を貫いた。噴き出した鮮血が帝釈天の顔を赤く染める。一部が欠けた死体は横に捨てられた。その後ろにいる漆黒の、血に染まった人影が現れる。帝釈天は目を見張り、目の前にいる彼を見つめる……
挡在帝释天面前的鬼族却丝毫不知逃命,反而急忙举起了手中的石锤,朝着帝释天就砸了下来。一只猩红的触手从他的身后穿透了他,血溅了帝释天一脸。残破的身体被随意地丢在了一边,显现出他身后漆黑,染血的身影。帝释天睁大了眼睛看着眼前的人——
【帝釈天】
「あなたは……」
你是……
…………………………………………
天域の千年戦争は終わりを告げたが、彼らの物語はまだ始まったばかりだ……
天域的千年战争已经终结,但他们的故事才刚刚开始……
……天域篇·天魔の帰還·完
——天域篇之天魔归来·完